Y53.熊鷹山から丸岩岳
(ついでに十二山と根本山)

1.動 機
分県登山ガイド「栃木県の山」の中でまだ歩いていないコースにNo.39の「熊鷹山・丸岩岳」があった。熊鷹山は「栃木の山120」のNo120にも出ており、2002年の紅葉の時期、下山さんに案内してもらって不死能橋から根本山−熊鷹山の難コースを周回したが、「栃木県の山」のコースは小戸川林道から熊鷹山−丸岩岳を周回する一般コースだ。熊鷹山はツツジの名山で5月末が適期らしいが、5月末は他の山行予定やゴルフコンペなどあって忙しい。5月始めはアカヤシオが楽しめそうだが、アカヤシオなら熊鷹山よりも根本山の方が賑やからしいので、熊鷹山から根本山までのピストンを追加することにした。

2.データ
a)山域:熊鷹山(1169m)、根本山(1199m)、十二山(1143m)、丸岩岳(1127m)
b)登山日:2011/5/8(日)晴一時雨
c)コースタイム:日立自宅 6:50 = 7:05 日立南IC = 8:00 栃木IC = 8:30 小戸林道入口 = 8:55 小戸林道終点 9:05 ---- 9:30 丸岩岳分岐 ---- 10:50 熊鷹山 11:00 ---- 11:45 根本山(昼食) 12:30 ---- 12:50 十二山 12:55 ---- 13:25 熊鷹山 ---- 14:10 丸岩岳 14:30 ---- 15:20 林道出合 ---- 15:40 林道終点 15:55 = 16:40 田沼IC = 17:00 壬生PA 17:20 =18:10 日立南IC = 18:20 日立自宅
(熊鷹山周回ルート)
(熊鷹山周回ルートの標高差)

d)同行者: 和子
e)地形図:「沢入」

3.山行記録
朝早く我家を出発、ガソリンを満タンにして日立南ICから高速に乗り、北関東道を走って東北道の栃木ICで一般道に下り、ナビの案内に従って30分走って小戸林道の入口に着いた。ナビの案内はここまで、あとは案内はなくなったが一本道、狭く荒れた林道を慎重に30分近く運転して林道の終点に着いた。連休の最終日、既に8台の車が駐車していたが、入口近くの道の広くなった所になんとか駐車することができた。
身支度をして駐車場奥の登山道に入って歩き始めた。登山道は小戸川の清流沿いに伸びており、快い沢音を聞きながら歩いて行く。
(林道終点の駐車場)
(林道から登山道へ)

小戸川は急流で、登り始めから源流まで、まな板の滝、五段の滝、仙の滝、小坂の一の滝、小坂の滝、ささら釜の夫婦滝と小滝が次々と現れる。
清らかな急流を使ったワサビ田が多く、このコースは「ワサビ田コース」とも呼ばれることもあるらしい。悪路の林道の奥まで入り、更に急な登山道の奥にあるこんな山奥までやってきてよく栽培、収穫に精出せるものだと、急な登山道に汗を絞られながらその苦労を身をもって感じた。
(まな板の滝)
(ワサビ田)

登山道は途中V字峡谷の様相になり、下を五段の滝を見下ろながら木の桟道や岩壁に穿たれたトラバース道を歩いたりして下の廊下を彷彿とさせる。迫る対岸の岩壁にへばりつくように咲いているミツバツツジが綺麗だった。
やがて「11本杉」の立札があり、大きくて見事な杉の列が現れる。たしかに杉の木は11本並んでいた。その先で対岸に渡ると左に「丸岩岳」への分岐があり、下山時はここに下って来る予定だ。
(絶壁の渓谷)
(11本杉)

渓谷沿いには可愛い花も色々と咲いていていた。ムカゴトラノオ、ニリンソウ、コチャルメルソウ、ハコベ、キケマン、タチツボスミレなど色とりどりで目を楽しませてくれた。
やがて二本の大杉「夫婦杉」を越えると沢は細くなり、ワサビ田も廃田になったものが見受けられるようになってきた。
(ムカゴトラノオ)
(夫婦杉)

やがて沢は枯れ沢になり、踏跡は右の谷間に入って行く。ここで一休みした。
(廃田になったワサビ田)
(枯れ沢)

枯れ沢を登りつめて支尾根に上がると、笹原の道で勾配も緩やかになって一息つける。ツツジの木が多いが、まだ蕾も小さく固い。離れたところにアカヤシオが何本か見られたが少々淋しい咲きっぷりだった。
また道が急登になってきて登りつめると分岐点があり、左が丸岩岳、右が熊鷹山で木の鳥居があった。鳥居のすぐ上に石の祠があり、今日の無事の登山を願ってお参りした。その先に一本の大きなアカヤシオの木がピンクの花をいっぱい付けていて、やっと今日の登山の念願がかなった感じがした。
(支尾根の道)
(アカヤシオの大木)

一登りで熊鷹山の山頂に着くと、何人もの登山者が展望を楽しんでおり、時刻は11時、奥の広場で弁当を広げている団体もあった。
見覚えのある展望台があり、その上に上がると正に360°の大展望だった。
(熊鷹山山頂展望台)
(熊鷹山山頂)

まず日光連山が目に入る。男体山を中心に右に大眞名子と女峰山、左に太郎山、奥白根山と錫ガ岳、更には袈裟丸連峰と皇海山や赤城連山まで見渡すことができた。
(熊鷹山山頂から日光連山展望)

根本山からやってきた人に聞くと、「根本山は今アカヤシオが真っ盛り、綺麗だったよ」とのこと、空模様の怪しくなってきたので証拠写真を撮って根本山へと急いだ。
何人もの登山者と行き交いながら、途中の十二山などのピークは全部巻道を歩いて行くと、根本山神社の奥宮跡があった。立派な石でできた由来書によれば、昔はここに古い立派な社殿が建っていたようだが、今は朽ち果てて見る影もなく、代わりに奉納された御影石の祠があるだけだった。
ここから根本山への登り坂にはアカヤシオがたくさん咲いていた。立ち止まってはシャッタを押していると、上から見覚えのある人が下ってきた。群馬のアカヤシオオフなどでご一緒した山のベテラン、warabeさんが奥さんと御一緒での登山だった。奇遇を喜び合い、「山頂は賑やかですよ」の励ましに元気をもらって最後の急登を頑張った。
(根本山神社)
(道中のアカヤシオ)

山頂に登り着くとアカヤシオの花があちこちに咲いていて見事だったが、20人ほどの団体さんが賑やかに下山の準備中だった。warabeさんの「山頂は賑やかですよ」はもしかしたらこの団体さんのことだったのかもしれない。
山頂直前から雨交じりの風が強くなり、寒くなって合羽をはおった。団体さんが下りて行ったのでゆっくりとアカヤシオの写真を撮ろうとしたが、風が強過ぎて花がま横を向いて風に耐えている。風が納まるのを待とうと、大木を風除けにして座り込んで弁当を広げた。
間もなく雨も止んで、山頂標の前で証拠写真を撮った。シャッタを頼んだ人に、念のためもう一度押してちょうだいとお願いすると、同じポーズでは面白くないとカメラを斜めに構えて面白い記念写真を撮ってくれた。
(嵐に耐えるアカヤシオ)
(根本山山頂)

風も収まりお日さまも出て来るとアカヤシオは光り輝くように綺麗になり、熊鷹山から2kmほど足を伸ばして来た甲斐があった。あちこち歩き回ってはシャッタを押しまくった。
(根本山のアカヤシオ:一俊撮影)

(根本山のアカヤシオ:和子撮影)

満開のアカヤシオを存分に楽しんでから熊鷹山に引き返した。途中、十二山にも立ち寄って証拠写真を撮り、その先の三滝分岐のところでは綺麗なアカヤシオが咲いていた。
十二山から熊鷹山の間の稜線にはなだらかな道が続き気持が良かった。ツツジの木が多かったので、あと2週間もするとツツジのトンネルになってもっと嬉しい登山道になるのだろう。
和子がここで足のつっぱりを訴えて、薬を飲んだ。いつもより少しペースが速かったかもしれないが、これからの夏山登山に備えて毎日の鍛錬が要るかもしれない。
(十二山山頂)
(熊鷹山へ)

熊鷹山に引き返すと、相変わらず大勢の登山者が屯していた。展望台からの眺めは先ほど済んでいたのでそのまま丸岩岳に向かった。
小戸川の分岐を過ぎるとなだらかな草原の中の道になり、丸岩岳に近づくとミツバツツジの花が見られるようになってきた。丸岩岳への50mの登り坂で和子の足痛が再発し、ミツバツツジの写真を撮りながらゆっくりと登って行った。相当痛そうだが、頑張り屋の和子はどんどん登って行く。
(丸岩岳へ)
(丸岩岳山頂)

丸岩岳の山頂でコーヒを飲みながらゆっくりと休憩して、小戸川に向かって「いちろう新道」を下って行った。この「いちろう新道」は凄い急登の登山道で、ここを登るのは大変だろうなと言いながら、足を滑らさないよう気を遣いながら下って行った。
少し下るとミツバツツジの紫の花が賑やかになり、ミツバツツジのトンネルの様相になってきた。根本山山頂のアカヤシオよりもむしろ賑やかだった。ミツバツツジは期待していなかったので儲けもの。
(いちろう新道を下る)
(ミツバツツジのトンネル)

ここでも何回もシャッタを押した。
(ミツバツツジ:和子撮影)

(ミツバツツジ:一俊撮影)

ミツバツツジの群落を過ぎると、今度は若葉の新緑がお日さまの光を受けて綺麗になってきた。
新緑を楽しみながら尾根筋を下って行くと、植林に突入する手前で踏跡が右の谷間に向かって方向変換した。尾根筋を直進すると崖に行く手を阻まれるのだろう。ロープも張られたトラバース道を辿って谷間に下ると、落ち葉に積もった急斜面を下ることになった。
(燃えるような新緑)
(谷間の急坂下り)

谷間を下って行くと踏跡はまた右の尾根に上がり、そのまま小戸川まで下った。小戸川まで下ってからは11本杉など往路をそのまま辿って駐車場に戻った。
帰りは栃木ICより少し近い北関東道の田沼ICから高速に乗って、壬生PAでトイレ休憩してから連休最終日の渋滞に遭うこともなく一気に日立まで帰ってきた。




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