Y823.不帰のキレットと白馬三山縦走3日目
(天狗山荘から白馬大池まで)

1.概 要
今日は天狗山荘から白馬三山を越えて白馬大池まで、いくつものピークを上り下りしながら11.4kmを歩くやや長めのコース、気合を入れて出発。一日中好天気に恵まれて、可愛い花々を愛でながら、素晴らしい展望を楽しみながら歩くことができた。

2.データ
a)山域:鑓ヶ岳(2705m),杓子岳(2728m),白馬岳(2708m),小蓮華山(2778m)
b)登山日:2011/8/9(火)
c)コースタイム:
天狗山荘 6:20 ---- 6:55 鑓温泉分岐 7:00 ---- 7:35 鑓ヶ岳 7:50 ---- 8:55 杓子岳 9:05 ---- 9:25 杓子の肩(間食) 9:45 ---- 10:40 丸山 ---- 11:05 白馬山荘(昼食) 11:40 ---- 12:00 白馬岳 12:10 ---- 12:50 三国境 13:00 ---- 13:45 小蓮華山 13:50 ---- 15:20 白馬大池山荘(泊)
(不帰のキレット縦走コース)

(不帰のキレット縦走コースの標高差)


3.山行記録
朝目覚めると外は青空の様子、外に出てみると東の空が赤く燃え始めていた。待つこと20分、高妻山の肩に朝日が顔を出し、待っている仲間の顔が赤く輝きだした。しばらく大撮影会。
山荘裏の高台に上がると、煙を出している浅間山が見え、美ヶ原の奥、八ケ岳の右にかすかに富士山も見えており、場所を変えると更にその右に南アルプスの山々がくっきりと見えていた。今日はいい天気になりそうだ。
(火打、妙高、高妻に日の出)
(八ケ岳と富士山)

美味しい朝食を頂き、冷たい水をペットボトルに満タンにして準備運動をして出発。朝日を受けて白く輝く鑓ヶ岳に向かうと、昨日までは咲き終わったものしか見られなかったウルップソウやミヤマオダマキが、ここではまだ綺麗に咲き誇っていた。
花を愛でながらゆっくりと歩いて30分ばかり、鑓温泉への分岐点に着いて一休み。みんなで谷間の中に鑓温泉を探したが場所を特定することはできなかった。こんなところは永井さんがいればすぐなのだが。
(鑓ヶ岳へ向かって出発)
(鑓温泉分岐)

東には立山、剱岳、毛勝三山が見渡せ、西には八ケ岳から南アルプスが見渡せて、なかなかの展望だった。

(立山、剱岳、毛勝三山)

鑓温泉分岐から鑓ヶ岳山頂までは砂礫の中のジグザグの急登が続く。後ろを振り向けば、唐松岳の後ろに鹿島槍の双耳峰も見えて来た。
鑓ヶ岳の山頂に登り着いて早速集合写真とめいめいの記念写真と忙しい。
(鑓ヶ岳への登り)
(鑓ヶ岳山頂)

鑓ヶ岳山頂はまさに360度の大展望。南を見れば、大きく両翼を張る天狗の頭の後ろに、不帰の嶮、唐松岳とつながるが、その後ろに鹿島槍の双耳峰、立山、剱、毛勝三山と並び、更にその奥には鑓ヶ岳、水晶などの北アルプスの名峰が並んでいる。永井さーん、一つ一つ説明して下さい。
(鑓ヶ岳山頂から南の展望)

北を見ると、これから向かう杓子岳、白馬岳、小蓮華山へのコースが見えており、その右奥には焼山、火打山、妙高山も遠望できた。白馬の左に見える雪倉岳と朝日岳は、4年前に「栂海新道」で日本海まで歩いた時に通過した山で、苦しかった超ロングコースの思い出話に花が咲いた。
(鑓ヶ岳山頂からの北の展望)

杓子岳へ向かって鑓ヶ岳を下っていると、杓子岳の斜面にくっきりと巻道が見え、巻道から山頂に向かう道が2本見えていた。杓子岳は巻道を通ることが多いらしいが、平野リーダは今朝出発前に「今回白馬三山を完全踏破する」と嬉しい方針を出していた。
鞍部に下って行くとイブキジャコウソウの絨毯や珍しいミヤマアケボノソウが咲いていた。鞍部からも左の砂礫の斜面に薄い巻道が分れていたが、ジグザグに少し登り返すと水平な巻道になった。しばらく水平に歩いたところに山頂に向かう登山道が分れており、この最初の分岐から山頂に向かうことになった。
(鑓ヶ岳から杓子岳へ)
(手前の分岐から山頂へ)

杓子岳への登りはなかなかの急登、頑張って尾根まで登ると右面が切れ落ちた瘠せ尾根になり、下には白馬の大雪渓が見えていた(と思ったが、ここから見えたのは杓子沢だったのかな)。
向かいに見えるピークが杓子の山頂かと思って登って行くと、そのピークの向こうにもう一つ似たようなピークがあり、こっちが杓子岳の山頂だった。杓子岳は双耳峰だった。
(急斜面を登る)
(偽の山頂へ)

一旦下って本当の杓子岳の山頂に登った。白馬三山の一つ、勿論山頂標柱の前で集合写真と撮って、各自の記念写真を撮りあった。
杓子岳からの下りもガレ場の道で歩きにくい。急坂を下って巻道と合流し、しばらくなだらかな道を歩いた先で白馬岳を見上げながら一回目の昼食をとった。
(杓子岳山頂へ)
(杓子岳から長い下り道)

鞍部近くまで下ると向かいの白馬岳が高く聳えて見え、「あんなところまで誰が登るの?」ときつい登り返しが差し迫ってきたことをひしひしと感じる。右下には大雪渓が見え、大勢の登山者が数珠繋ぎで登ってきていた。4年前の栂海新道の時に同じ形で登ってきたのを思い出した。
振り返ると下ってきた杓子岳のガレた斜面が迫力満点に見えて何回もシャッタを押した。
(鞍部から白馬岳を見上げる)
(鞍部から杓子岳を振り返る)

ガレと草原とがまだらに混じる道を辿って行くと、ムカゴトラノオやハクサンフウロ、カンチコウゾリナ、タカネシオガマ、タカネツメクサ、タカネアオヤギソウなどの群落があちこちに見られ、さすが花の名山「白馬岳」を思わせた。
(丸山から白馬岳への稜線)

大雪渓分岐の手前のピークが丸山、登山道から少し外れて立ち寄って見たが、山頂を示す何物もなかった。証拠写真だけ撮って皆さんを追いかけた。
大雪渓分岐を過ぎて少し登って白馬山荘で昼食休憩になった。私は天狗山荘謹製の美味しい弁当を頂いたが、和子は多勢の仲間とレストランに入ってラーメンなどを食べていた。
(丸山山頂)
(白馬山荘で昼食)

山荘でゆっくりと休憩してから白馬岳への登りにかかったが、思ったよりも簡単に山頂に着くことができた。このころからガスが立ち込め始めて、山頂からの展望はまったくなくなっていた。
人気の山だけに大勢の登山者が屯していて、記念写真を撮るのは順番待ち。集合写真のシャッタ押しをお願いする人を探す苦労はなかったが-----。
(白馬岳への登り)
(白馬岳山頂)

記念写真だけ撮って白馬岳を後にして次に向かう。なだがらかな下り坂が続くが、反対側から登って来る登山者が意外に多いのに驚かされた。格好のいい山ガールや元気な小学校4年生の集団もいて、挨拶をすると元気な声が返って来る。
白馬から40分下ったところが三国境で、雪倉岳(栂海新道)と小蓮華山との分岐である。一休みして平野リーダの発声で気合を入れて小蓮華山に向かった。
(白馬山頂を越えて)
(三国境で気合を入れる)

小蓮華山まで砂礫の道が続くが、小さなアップダウンの繰り返しで、今度こそは小蓮華山頂だとの期待を何度も裏切られた。
(小蓮華岳へ何度もだらだらと登り下り)

やっと小蓮華山の山頂に着いて一休み、思い出深い西側の雪倉岳から朝日岳の稜線が素晴らしい。
(栂海新道への山並み:白馬岳(山頂はガス)、鉢ヶ岳、雪倉岳、朝日岳)

小蓮華山の山頂部は崩壊のためロープが張ってあり、山頂に立っている鉄剣には近づけない。
小休止して歩き始めようとしたら、西にぽっかりと雲間ができて、山上の池が見えてきた。もしかして白馬大池かと思って聞いてみると「あれが白馬大池だよ」との答えだった。ここから稜線を大きく回って谷間の向こうに行くらしい。
(小蓮華山(山頂立入禁止))
(雲間に白馬大池が見えた!)

歩き始めて少しするとガスが晴れてきて、白馬大池までの稜線がはっきりと見通せるようになってきた。まだ2km以上ありそうだ、遠いなあ。
(白馬大池への長い稜線歩き)

今日列を作ってせっせと歩いて行っていると、突然リーダの足が停まってしまった。何事かと前を見ると、登山道の真ん中でライチョウの親子が砂浴びしていた。大分手前から青い服を着た一人の男性が立ち止まっているのが見えていたのだが、この男性はビデオカメラを構えてずうっとライチョウ親子の観察を続けていたのだった。
そのうち向かいからおばちゃんがやってきて、こっちからの制止にも構わずライチョウ親子を追い払って通り過ぎていった。ライチョウはこの場所が気に入っていたのか、親鳥がまたすぐに戻ってきて砂浴びを再開した。我々も余りゆっくりともしておれないので、みんなでシャッタを切ってからライチョウさんに道を開けていただいて通過した。

それでも小蓮華山から30分もしたら白馬大池の山荘に到着した。その道すがらは、まだチングルマが群落を作って咲いており、ハクサンイチゲやハクサンコザクラ、タテヤマリンドウ、イワイチョウが咲き誇り、見事ななお花畑だった。
(白馬大池へ下る)
(白馬大池山荘)

山荘の前庭がテン場になっていて、中学生の集団登山もいて賑やか、色とりどりのテントが夕日を受けて綺麗だった。
昨日は飲み過ぎて沈没したので、今日は生ビールは一杯だけにして、豪華なカツカレーの夕食後、一人で散歩に出てみた。始め栂池へ向かう道に入って大池の周りを散策して色々な花や大池などの写真を撮ってから、蓮華温泉への道に入って夕日の鑑賞場所まで下ってシャッターチャンスを待った。日没時間になると日の入りの方向に雲が出てきて余り綺麗な日没にはなりそうにならなくなった。あとから大きなカメラを抱えた二人のカメラマンがやってきて「雲が消えるかも」と言いながら三脚を構えたが、私は適当にして山荘に引き返した。翌朝カメラマンに尋ねたら、やはり雲がそのまま大きくなって夕日は綺麗にはならなかったとのこと。
(テント村)
(日の入り)






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