Y111.明神ヶ岳縦走(MAC山行)
(柳津側から会津美里側へ)


1.動 機
水戸アルパインクラブの11月例会が「明神ヶ岳」と決まり、幹事役の一人に選ばれた。一般的な会津美里町側からのピストンでは個人的に登った人も多くて参加者が少ないだろうと悩んでいたら、「柳津町に「狭間峠を甦らせる会」が結成されて、昨年、柳津の四ツ谷集落から狭間峠までの道を整備して、柳津から狭間峠を越えて会津美里まで通じる昔の生活道路「狭間街道」を40数年振りに復活させた。」とのニュースが入ってきた。このニュースを聞いてすぐに幹事団の小澤さん、平野さん、福地さんと相談して、MAC山行として柳津側から登って美里側に下ることに決定した。下見のために「甦らせる会」会長の五十嵐さん、事務長の天野さんにお願いして、今年の6月の山開きの日に柳津側からの登山隊と一緒に歩かせてもらったのは報告済。誰も知っていなかった「柳津側から明神ヶ岳に登る」という謳い文句が功を奏して参加希望者は22名に上った。
その後、7月に会津集中豪雨があったので登山道が歩けるかどうかが心配だったが、「狭間峠を甦らせる会」で登山道をきちんと整備し直して10月23日に柳津地区の秋の山行を実施され、我々もその10日後、予定通りに柳津から明神ヶ岳に登り、狭間峠を越えて会津美里町まで縦走することが出来た。当日バスで四ツ谷公民館に着いた時に「狭間峠を蘇らせる会」の方々の暖かいお出迎えを受けて、会津地方に今も残る思いやりの心に接してみんな明るい気持ちになり、その日一日、最盛期の紅葉の中を気持ちよく歩くことが出来た。

2.データ
a)山域:明神ヶ岳(1074m)
b)登山日:2011/11/3(木)曇り
c)コースタイム:
(往路バス)日立自宅 4:55 = 5:05 日立電鉄南営業所 5:10 = 5:20 東海駅 5:25 = 5:45 勝田駅 = 6:05 水戸駅 = 6:30 水戸IC = 6:35 友部PA 6:40 = 7:30 中郷SA 7:35 = 9:15 磐梯山SA 9:25 = 9:50 会津坂下IC = 9:50 コンビニ 10:00 = 10:35 四ツ谷公民館
(歩行)四ツ谷公民館 10:50 ---- 11:40 九々明登山口 11:45 ---- 11:50 徒渉点 ---- 12:20 慰霊碑 12:25 ---- 12:50 馬頭観世音(昼食) 13:15 ---- 13:20 分岐 ---- 13:35 伊佐須美神社 13:45 ---- 14:00 明神ヶ岳 14:05 ---- 14:35 伊佐須美神社 14:40 ---- 14:55 分岐 ---- 15:00 狭間峠 15:05 ---- 15:50 大岩登山口 ---- 15:55 大岩観世音 16:00 ---- 16:05 大岩登山口
(明神ヶ岳縦走ルート)

(明神ヶ岳縦走ルートの標高差)

(帰路バス)大岩登山口 16:10 = 16:40 新鶴温泉健康センタ(入浴) 17:25 = 18:05 会津若松IC = 18:20 磐梯山PA(夕食) 18:55 = 20:45 中郷PA 20:50 = 21:25 水戸IC = 21:55 水戸駅 = 22:10 勝田駅 = 22:25 東海駅 = 22:35 日立電鉄南営業所 = 22:50 日立自宅
d)同行者:水戸アルパイン会員21名(男10、女11)、和子は不参加
e)地形図:1/25000 「会津高田」

3.山行記録
3日前まで晴天だった会津地方の天気予報が、前日になると急に雨の予報に変わった。都合で参加できない和子に、車で日立電鉄南営業所まで送ってもらい、暗い気持で始発のバスに乗った。東海、勝田、水戸と回って22名の参加者が揃い、水戸ICで常磐道に乗って北上、磐越道に入って郡山あたりまでは空は晴れていて、もしかして雨に会わないで済むかと期待させる。ところが、磐梯熱海を過ぎてトンネルを通過するとバスのフロントガラスに雨が吹きつけて来るようになった。次々と現れるトンネルを通過するごとにその雨が強くなったり、弱くなったり、その都度バスの中の空気は暗くなったり明るくなったり、幹事役は気が気ではない。「雨が降ったら明神ヶ岳はパスして昔の狭間街道を歩くだけにする」と予防線も張った。
会津坂下ICを下りて現地の天野さんに連絡をとると、「現地は晴れ間も出ているから大丈夫ですよ」との嬉しい情報、バスの中の空気はいっぺんに明るくなった。
柳津の街を過ぎて国道252号から県道32号、59号と道が細くなるに従って道が定かでなくなってくる。春の下見の効果はまるでなかったが、分岐ごとに「狭間峠へ」の手作りの道標が立っていて運転手さんはこれを見て安心してバスを走らせた(この道標は「狭間峠を甦らせる会」で立てられたもの)。お天気の方も目的地の四ツ谷公民館に向かうに従って空は明るくなってきて幹事団も気が楽になってきた。
トイレを使えるようにお願いしていた四ツ谷公民館の駐車場に入ると、到着が30分以上も遅れたのに「狭間峠を甦らせる会」会長の五十嵐さんと事務長の天野さんに四ツ谷地区の区長さんのお三方が並んでお待ちになっていた。驚きながら久しぶりの再会のご挨拶をすると、「遠路御苦労さま。土地の饅頭を食べて元気に登って下さい」といって、一人2個づつの饅頭が入った箱を渡された。みんな夫々に頂戴し、私も早速一つ頬張ったが、まだ暖かく甘くて美味しい栗入り饅頭で、胃袋も心も温かくなった。
公民館のトイレを使わせていただいてから、お三方にも加わっていただいて集合写真を撮った。忙しい三人の方の出迎えを受け、暖かいおもてなしを受けた素晴らしい思い出が何時までも残る良い記念写真が出来た。
(道標完備)
(四ツ谷公民館)

身支度を整え、熊が出る恐れもある道なので熊避け鈴もザックに付け、お三方に見送られて歩き始めた。いつものように平野さんが先頭で皆さんの様子を見ながら快調にひっぱってゆく。3km近く平坦な林道歩きをするので準備運動は省略だ。すぐに村道から分れて、春には車で走った林道を歩いて行った。周りの山々は紅葉していて綺麗そうだが、少々ガスがかかっていて薄ぼんやりとしか見えない。
始めは舗装された道だったが、やがて両側が広葉樹が茂るようになると未舗装の道になり、路面一面が錦の絨毯を敷いたようになってきた。上も下も紅葉で彩られた気持のいいハイキングだ。これにお日さまが照ってくれれば申し分ないが贅沢というものだろう。バスはここまで入れないので已むなく徒歩にしたのだが、車で走るよりも気分が良かったようだ。長い林道歩きにも不満をこぼす声は聞こえてこなかった。
(放送された林道)
(紅葉散り敷く林道)

1時間近く歩いて駐車場近くまで来ると、左下に魚留川が見えてくる。清らかな流れで、会長さんの話では「ここから上流にはだれも住んでいないから飲める水ですよ」とのこと。10台位は駐車出来そうな広場が駐車場になり、ここが九々明登山口だ。
登山口で一休みして少し歩くと魚留川の徒渉点になる。春には細い丸太三本を束ねた仮橋だったが、今は太い丸太二本の一面を平にして作った頑丈な橋になっていた。豪雨の時に大木が流れてきて引っかかっていたので、それを使って作ったとのことで、帰宅後確認したところ、この橋は雪解け水で流されない限りこのまま残しておくとのことだった。
(九々明登山口)
(徒渉点)

魚留川を渡ると道は登山道らしくなってきて、傾斜も少しきつくなってくる。急坂をヘアピンで登ると三人の遭難者を慰霊する明治39年建立の石碑が立つ小さな広場があり、その先の紅葉がとても綺麗なところで一休みした。残りの饅頭もここで頂いて元気を付けた。
紅葉を楽しみながら歩いて行くと、立枯れの木にキノコが生えているのが見つかった。会員にはキノコに詳しい仲間が大勢いるので「これはムキタケだ」と言いながら早速収穫が始まる。キノコには縁のなかった仲間も嬉しそうに実習している。
(紅葉の絶景)
(キノコのおまけ)

登り坂を登り切って平坦な所に出ると、馬頭観世音の石塔が立つ広場がある。時刻は13時に近い、流石の饅頭腹も空いてきたので。紅葉も綺麗なのでここで弁当を広げた。
馬頭観世音広場からなだらかに歩いて行くと、会津美里町側の大岩登山口からの道と合流した。春と同じく、大岩登山口からの道に入るにはテープの通せん坊を潜らなければならない。大岩登山口から登って来る人が柳津側に迷い込まないようにとの配慮だろうが、柳津側の登山道が立派に開通した今は、柳津から登ってきた登山者には嫌な気分を与えそうだ。テープは取り外して「大岩登山口・明神ヶ岳・九々明登山口」の分岐の道標を立てる方が自然だろうと思いながら通過した。
(馬頭観世音広場)
(大岩登山口の道と合流)

分岐点から伊佐須美神社までの登りは、ここまでの比較的なだらかな道に慣れた身体には急坂に感じられる。春にはこれほどではなかったと思ったのだが、みんなの後をストックを頼りに登って行った。
15分ほどで赤い鳥居の神社奥宮に到着した。幹事としては、由緒深い伊佐須美神社について皆さんに何か解説をすべきところだが、悲しいかな記憶力減退激しく何も話ができない。
(もうひと踏ん張り)
(伊佐須美神社奥宮)

奥宮から山頂までには急登が待っているので、奥宮にザックを置いて空身で登ることになった。始めは背丈もありそうな熊笹の中を登る。半袖で登って行ったが、笹が腕に触って気持が悪かった。少し暑くても長袖にするのだったと反省。
熊笹の次はいよいよ急登が待っていた。春にはロープが張ってあったが、今は撤去されていた。脇の立ち木や笹に掴まりながら登ったが、下は黒土なので雨が降っていたら足がずるずる滑ってとても登れそうにもない
(熊笹掻き分けて)
(空身でもきつかった急登)

急登を15分頑張って明神ヶ岳山頂に到着。平野リーダの発声で万歳三唱で喜びを分かち合った。キノコ採りで随分時間もずれ込んできたので、明るいうちに下山するため集合写真だけ撮ってすぐに下山にかかった。
(ヤッター!)
(山頂集合写真)

急坂は登りよりも下りの方が怖い。落ち葉の下に滑りやすい木の根っこも隠れているので、一歩一歩足元を確認しながら下って行った。熊笹の斜面は、熊笹を掴むと格好の補助になるので助かったが、山頂から奥宮までは、下りの方が登りよりも時間がかかった。
奥宮でザックを担いでからの下りは丁度いい傾斜で、気持よく軽快に下ることができた。
(下りは慎重に)
(途中からは軽快に)

分岐点から狭間峠までは平坦な道を歩いてすぐだったが、峠は広場になっているだけで何もなく、一休みしてすぐに下りに向かった。
こちら側の道にも紅葉や古木があったりで結構楽しませてはくれるが、総じて柳津側の道の方が気分が良い登山道だったとの声の方が多かった。
(紅葉あり)
(古木あり)

杉林を抜けたところに分岐があり、直進すれば大岩観世音に直接お参り出来たのに、左の道に入ってしまった。広域林道に下りて待っているバスにザックを預けて大岩観世音に登り返してお参りした。
(大岩登山口に到着)
(大岩観世音にお参り)

バスに戻ったのは16時過ぎ、もう薄暗くなり始めていた。文化の日は催しがあって入れない伊佐須美神社里宮に、参道だけでも歩いてみようかと思っていたのだが、早く汗を流してビールを飲みたいとの雰囲気なので、直接日帰り温泉に飛びこんだ。
汗を流しいっぱい飲んで気持よくなり、郡山ICで高速に乗り、磐梯山PAで頂いた喜多方ラーメンが美味しかった。今回も良い想い出になる楽しい山行でした。




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