Y122.花香月山

1.動 機
 分県登山ガイド「茨城県の山」に載っている52座の内、山行記を書いていないのは花香月山だけになった。昨年1月に八瓶山に登った時に、花香月山がすぐ近くなので、ついでに登ってしまおうかと入口のゲートのところまで車で入ったが、ゲートから山頂までひたすら舗装道を歩くのが急に嫌になってきて登るのを止めにした経緯がある。
 今回は花香月山だけに時間をかけて歩くことにして、花香月山の西ある倉見集落から破線の道を登って県境尾根に取りつき、そのまま尾根筋を歩いて花香月山に登頂して通過、東側にある林道に向かって歩いてから林道を南下、そのまま破線の道に繋いで岩下集落まで下り、そこから車道を2km歩いて倉見集落に戻る周回ルートで歩く計画にした。

2.データ
a)山域:花香月山(378m)
b)登山日:2011/12/10(土)晴
c)コースタイム:日立自宅 8:50 = 10:00 倉見路側P 10:15 ---- 10:25 迷い道分岐 ---- 10:35 直登道 ---- 10:50 尾根道出合 10:55 ---- 11:15 石仏十字路 ---- 11:35 #1鉄塔 ---- 11:40 花香月山 11:50 ---- 11:55 #2鉄塔(昼食) 12:25 ---- 12:50 林道出合 ---- 13:00 林道終点 ---- 13:10 275mピーク 13:15 --- 13:25 林道終点 ---- 13:50 岩下集落 ---- 14:05 花香月山入口ゲート ---- 14:20 倉見集落P 14:30 = 14:40 城里物産センタ 14:50 = 15:10 バードライン入口 15:25 = 16:00 日立自宅
(花香月山周回ルート)
(花香月山周回ルートの標高差)

d)同行者: 和子
e)地形図:「中飯」

3.山行記録
朝食を済ませ、車のナビに従ってR61とR51を繋いで栃木県境近くまで走り、中郷から左折して花香月山登山口に向かった。途中、岩下集落の破線の降り口相当点には、良い道が下っていることが確認でき、花香月山入口のゲートは締まっていてその前に一台の車が停まっているのが見えた。ここを通過して岩下集落を過ぎるところに登り口予定の林道が見つかり、その先の路側に車を停めて身支度をして10時15分に歩き始めた。
民家脇から林道に入ると、始めは籔のない歩きやすい道が続いた。
(倉見集落の路側に駐車)
(しばらく林道歩き)

 気持よく歩いて行っているうちに、いつの間にか道が籔っぽくなったかなと思ったら、路側に「間伐作業道:三枚坂北線」の標柱が立っていた。話しながら歩いているうちに、どこかで破線の道を見過ごしたらしかった。作業道も少し籔っぽいとはいえ歩きやすいなだらかな道が続いているので、少し遠回りしてもそのうち尾根に上がることは出来るだろうとそのまま歩き続けた。
(途中から籔っぽくなった)
(作業道に入っていた)

 ところがこの作業道をしばらく歩いて行くと突然密な籔に行き先が阻まれた。少し引き返すと右に上がる踏跡があり、これに踏み込むと幸いにも踏跡らしきものが尾根まで続いていた。
 10時50分に尾根に上がると県境標なのかコンクリの石柱と頭を白く塗られた黒い角柱が立っており、テープがひらひらする木の棒が立っていた。
(軌道修正して尾根へ直登)
(尾根には県界標柱)

 右下に作業道が下から上がって来ているのが見えていたが、これが途中まで歩いてきた三枚坂北線の続きなのかどうかは分らない。
 尾根筋には、しっかりとした登山道が通っていて一安心、花香月山へ向かって歩き始めた。その時、向かいから単独行の男性が下ってきて、「インターネットに山行記を書いている御夫婦ですね」と声をかけられた。夫婦二人の真顔を恥ずかしげもなく公開しているので、一目でわかったとのこと。聞けばこの男性はヤマレコのtak1155さんという水戸在住の方で、シモンさんのHPも御贔屓とのこと。ゲートのところに車を置いて花香月山に登ってここまで下ってきたところとのことで、これから県境尾根を鶏足山まで歩いてから、さらに八瓶山まで尾根筋を歩いてから車に戻る積りと、我家の計画とは段違いの長い周回コースを地形図を指しながら説明して貰えた。ポケナビ頼りの私と大きな違いは、ポケナビは持ち歩いてはいるが軌跡を残すためにだけ使える機種で、現在地点の確認は地形図だけにしてルートファインデイングを楽しみながら歩いておられるとのこと。
 私も真似したいが、永いこと車も山歩きもナビに頼りっぱなしを続けて来たので、今更地形図と周りの地形を見比べて現在地を確認しながら歩く昔の生活には帰れそうにもない。これからもポケナビ頼りの気楽な山歩きを続けましょう。せいぜい、電池切れをおこさないように気を付けながら。
(作業道も登ってきていた)
(尾根筋には気持のいい登山道)

 別れ際にtak1155さんに「花香月山までは気持のいい道ですよ」と励まされて、尾根道を歩いて次のピークに登り着くと、向かいに二つのアンテナ鉄塔が立つ花香月山が見えて来た。30分もあれば花香月山山頂に着きそうだ。
 ピークを越えて急坂を下った鞍部には一つの石仏が祭られていて、両側からしっかりとした登山道が登ってきていた。林道から作業道に迷い込まないで破線の道に進んでいたら籔漕ぎしないで楽にここまで登り着くことが出来たことだろう。その時の時刻は11時15分、歩き始めて1時間がかかっていた。時間も30分位余分にかけたようだ。
(花香月山が見えて来た)
(石仏)

 tak1155さんから「ここまで登山道沿いに色々な標柱があったが、どれが県界標なんでしょうね」との疑問を投げかけられた。尾根に取りついた時に見たコンクリの角柱が県界標式だと思っていたが、他にもあるらしい。
 あったのは頭を赤く塗られた黒い角柱と赤いプラスチック丸棒だった(花香月山に近づくと丸棒は黄色になった)。丸い標柱には片面に「界」反対面に「茨」の文字が成形されていたので、多分茨城県が立てた県界標、そうすると角柱は栃木県のものだろうか。そう言えば、二つの標柱が並んでいるところでは、丸棒が栃木県側にあり、角柱が茨城県側にあって、互いに自分の領域を広く主張しているように思えて面白かった。
 その他に青い角柱があったが、これには「国土調査」の表示があったので国土地理院のものに違いない。
(二つの標識)
(国土調査の標識)

 石仏の十字路からも明るい尾根道が続き、何度も小さなピークを越えながら歩いて行く。左の樹間に、白くお化粧した日光連山を眺めながら歩いて行くと、巨大な通信鉄塔のところに辿り着いた。鉄塔は金網柵で囲まれていて、その周りには狭い歩道があるだけでゆっくりと休むような場所はなかった。
(更に尾根道が続く)
(#1アンテナ鉄塔)

 金網柵の周りを歩いて反対側に廻り、踏跡を辿って登って行くと三角点のある花香月山山頂だった。コーヒで乾杯して、栃木山紀行さんと大塚山友会さんの山名板両方を入れた証拠写真を撮った。山頂は風が吹きつけて寒いので、目の前に見える二つ目のアンテナ鉄塔に向かった。
 二つ目の鉄塔は一旦舗装道に下りて、その舗装道の終点にあった。こちらの鉄塔の前には広場があったので、ここで弁当を広げた。
(花香月山山頂)
(#2アンテナ鉄塔)

 #2鉄塔からは境界尾根の隣の尾根に破線の道がある。道があるといっても、籔の中に極く薄い踏跡らしきものがあるだけ、とにかく尾根を外さないように気を付けながら下っていった。最初、割合はっきりとした踏跡を辿っていったら、ポケナビ上で少し方向がずれていることが分って慌てて軌道修正したこともある。何回か大きくカーブしながら踏跡を辿っていって、下に目標の林道が見えた時にはホッとした。
 林道に出るとカーブミラーもある手入れの良い道が続き、「京内畑林道:笠間営林署」の看板もあり、しばらく心配することもなく気持よく歩いて行った。
(その先の尾根は籔道)
(京内畑林道)

 地形図で2本線が破線に変わる所で林道がUターンしていて、直進方向には籔が立ちはだかり、その上に小さなピークが見えていた。谷間に向かう破線の道を探しても歩けそうな道は見つからず、このピークへ向かう尾根に踏跡が見つかった。ピークを越えて尾根伝いに行けば車道に下りることができそうだと思って、この尾根を登り始めた。尾根筋にずっと踏跡は続いたが、ピークを越えたところで行く手の尾根に伐採材が放置されたままになっていてとても通過できそうになくなった。これをかわそうと考えて少し右斜面に下って見たが、伐採材は随分下まで続いていた。この斜面をこのまま下っていけば破線の道に下りる訳だが、凄い急斜面でそれは危なそうだ。
 諦めて林道のUターン部迄引き返してロスタイム25分、ここから#2鉄塔まで引き返さなければならないかなと落ち込んでいると「この林道を行けるところまで行ってみよう」と和子の提案あり。奥様の提案通りにするのが我家の家庭円満の原則、即採用してUターンした林道を進んだ。だが進んだと言うほども歩かないうちに林道はお終いになった。
(林道終点で道迷い)
(Uターンする林道へ)

 諦めることはない、林道終点の先に踏跡があった。とにかく前進あるのみ。斜面をトラバース気味に付いた薄い踏跡を行くと、すぐにはっきりとした道になり、やがて尾根筋を歩くようになった。左に先ほど登ったピークが見えており、破線の道はその間にある訳だ。このまま尾根通しに歩いて行ければ破線の道を歩くよりも気分が良さそうだ。
 やがて目の前に八瓶山の鋭鋒が見えてきて、このまま歩いて車道に下りられそうだと確信が湧いてきて元気も出て来た。
(尾根に道あり)
(八瓶山が見えて来た)

 下に車道が見えて来たところで踏跡が乱れてきたが、立木に掴まりながら強引に急斜面を下って無事車道に下り立った。時刻は13時50分、林道終点から25分、倉見集落から歩き始めて3時間35分、もっと長い時間歩いたような気がする面白い山歩きでした。
 逆方向に歩いていれば、すぐ近くの破線の道の入口から歩いて行って難なく林道終点に登り着いたかもしれないし、石仏のところから破線の道に下って行けば作業道に迷い込むこともなかった訳で、歩行時間は1時間短くて済んだかもしれない。色々あって面白かったとは強がり、余り道を間違えないよう慎重に行動しましょう。大いに反省!
 車道に出てからは2kmの舗装道を30分間ひたすら歩くのみ、途中、花香月山入口のゲートのところに停まっていた車はそのままだった。tak1155さんはまだまだ頑張って歩いておられるようだった。
(2kmの車道歩き)
(花香月山への入口)

 倉見集落に着いて車に乗ってからの帰途、城里町の農産物直販店の「山桜」に立ち寄って、お安い野菜などを色々と買い込んだ。なかでも、直径20cm、重さ4kgもある巨大な聖護院大根に圧倒された。近所の奥さんが「美味しいんだよ」と御奨めだったので、少し気持悪かったが100円也を払って買って帰ったが、柔らかい美味しいふろふき大根が食卓に出て来た。二人で食べきるには何日かかることでしょう。
 帰宅した夜は皆既月食の日だった。皆既直前の月を見てみようと目論んでいたが、写真整理に夢中になって、気が付いた時には既に皆既月食の真っ最中だった。それでもどこかに月が見えるかと寒い外に出て夜空を見渡したが、見つからなかった。諦めて皆既月食が終わってから再び外に出て見て驚いた。月は真上に見えていた。そうか、月食の時には月は真上にあるんだと当たり前のことにやっと気が付き、さっきの皆既月食時に真上を見なかったことが悔やまれた。小学生の理科の勉強をもう一度やり直して、3年先に皆既月食の月を見ることが出来るように山歩きを続けて健康維持に努めましょう。
(お化け大根)
(月食)





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