Z17.奥久慈男体山縦走
(西金駅から袋田駅まで)

1.動 機
 亀楽会の1月例会は男体山から月居山への縦走、JR水郡線の西金駅から歩き始めて、袋田駅にゴールインする歩行距離18kmを越えるロングコースである。それに亀楽会はみんな健脚揃い、ここのところ短い山行ばかり続いて鈍ってきた我家の足には厳し過ぎるとは思ったが、久しぶりに亀楽会メンバーに会いたく、途中で付いて歩けなくなった時には別行動をとることを許して貰ったうえで参加することにした。
 予想以上の積雪があって部分的に難渋する所もあったが、稜線のなだらかな登山道では、陽だまりの中、まっ白い雪を踏みながら気持よく歩くことが出来た。リーダの歩行タイムがほぼ標準タイムだったので、最後まで何とか皆さんと一緒に歩き通すことが出来た。

2.データ
a)山域:男体山(654m)、鍋転山・後山(423m)、月居山(404m)
b)登山日:2012/1/28(土)晴
c)コースタイム:日立自宅 6:35 ---- 6:50 大甕駅 6:55 = 7:19 水戸駅 7:27 = 8:36 西金駅 8:45 ---- 9:00 湯沢温泉跡 ---- 9:45 大円地登山口 9:50 ---- 10:35 大円地越 10:40 ---- 11:20 男体山山頂 11:55 ---- 12:35 白木山分岐 12:40 ---- 13:50 第二展望台 13:55 ---- 14:05 後山・第一展望台 ---- 14:20 トンネル分岐 ---- 14:40 月居山 14:50 = 15:00 鐘撞堂 ---- 15:20 豊年万作 15:25 ---- 15:35 袋田の滝 15:40 ---- 16:30 袋田駅 16:46 = 18:01 水戸駅 18:15 = 18:36 大甕駅 ---- 19:20 日立自宅
(奥久慈男体山縦走ルート(西金駅から袋田駅まで))

(奥久慈男体山縦走ルート(西金駅から袋田駅まで)の標高差)

d)同行者: 亀楽会会員8名、和子
e)地形図:「大中宿」「袋田」

3.山行記録
 電車で出かけるのは久しぶり、遅れないように目覚し時計に起こされて、身支度と朝食を済ませて6時35分に我家を出発した。大甕駅で植木さんと今永さんと挨拶して入ってきた電車に乗り込むと、日立、多賀からの岩田さん、漆原さん、水野さん、番田さんが揃っており、東海駅で矢作さんが乗り込んできて、現地直行の野沢さんを除いて9名全員揃って水戸に向かった。
 水戸駅の1番線で郡山行きのカラフルな電車に乗り込んだ。何十年ぶりに乗る水郡線、周りの景色も珍しく、玉川村駅とか野上原駅とか聞いたこともない駅名を聞きながら行くと、盛金富士登山で駐車させて貰う下小川駅を通過、次が西金駅だった。切符を持って電車を降りて駅出口に向かうと、車掌さんが「切符を下さい!」と追いかけて来た。無人駅だった。
 西金駅は無人駅にしては大きいなと思ったら、部落の公民館が併設されているのだった。
(水戸駅で水郡線に乗りかえ)
(西金駅)

 西金駅で車で来ていた野沢さんと合流し、トイレを使ってすぐに歩き始めた。R118を渡って県道322を歩いて行く。入口には「茨城百景 奥久慈渓谷」と書かれた立派な石碑を見て歩いて行くが、速くは歩けないとの我家の訴えが利いたのか、リーダはゆっくりペースで歩いてくれた。
 15分歩いてつつじヶ丘への分岐に着くと、分岐点に建っていた湯沢温泉ホテルの大きな建物が、廃業して寂れた姿をさらしていた。
(県道322)
(湯沢温泉)

 いつもは車で走る車道も、ゆっくりと歩いて行くと色々と面白いものが目に入って来る。豪華で綺麗なつららがあったり、高台で高らかに吠えかけてくる忠犬がいたり、なかなか面白い。
 川向こうに「明治神宮うるしの森」の石碑と立札があるうるしの畑があり、「植樹祭現場への入口」の橋がかかっていた。明治神宮と何の関係があるのかと後で調べたら、昭和61年に明治神宮で開かれた日本漆工協会の総会で高松宮殿下のお言葉を受けて第1回植樹祭が開かれたかららしい。大子町の漆は品質に定評があって,日本で第2位の生産量を誇っており、それ以降毎年植樹祭が行われているらしい。
(忠犬)
(明治神宮うるしの森)

 目の前に鷹取岩などの男体山系の岩壁が見えてくると、車道も傾斜がきつくなってくる。道の勾配に関わらず、リーダの足取りはむしろ早くなってきて、気温は1℃と低いのに、付いて歩くのに汗ばんできた。
 大円地登山口に入る所で、後ろから追いついてきた車が停まって「今日は何事?」と声がかかった。MACの皆川さんだった。男体山が大好きで、暇さえあればここに通っていると聞いていた。「今年何回目?」と聞いても「数えられない」とのご返事だった。
 西金駅から丁度1時間で大円地登山口に到着し、トイレを使って一般道を登ることになり、茶畑の道を登っていった。
(大円地では男体山が目の前に)
(茶畑)

 健脚コースを左に見送って杉の樹林の中をジグザグに登っていく。ところどころ行く手に大きな岩が転がっていたが、311震災の爪後だろう。ガレ場を通過するところでは、「落石注意」の立札があり、上のガラガラの急斜面を見ながら急ぎ足で通過した。
 登っていくに従って道にも雪が見られるようになり、足元にも気を使いながら登っていった。登山口から45分で大円地越に登り着くと、先着の団体さんがお休み中で、これから持方に下って高崎山や白木山に登るとのことだった。
(一般コースを登る)
(大円地越で一休み)

 休憩中に、私はここまでの雪を見て慎重にアイゼンを装着したが、皆さんはまだまだ大丈夫とアイゼンなしで登っていった。登りでは積雪をあまり気にしないで登れるが、下りになると体重移動の負荷もかかるので滑りやすくて気を遣う。
 下り部分で多少アイゼン効果があったが、大部分のなだらかな稜線歩きでは皆さん素足で気分良く歩いていた。
(急坂は慎重に)
(尾根道は軽快)

 そのうち展望のいい道になり、太平洋沿岸の東海原発から筑波山、雨巻山まで綺麗に見えており、ますます気分がよくなってくる。リーダの足取りは速いが、景色に励まされながら付いて歩いて行った。山頂手前で、また皆川さんと出会った。健脚コースを登ってきたが、雪は余り付いていなかったとのこと。
 大円地越から40分で山頂に到着して、早速山名板の前で集合写真が撮られた。ツーショット写真のシャッタも押してもらった。
(展望の稜線)
(男体山山頂)

 風が強くて寒いので、山頂神社の前に陣取って弁当を広げた。眼下には180度の展望が広がっていたが、残念ながら遠くの山は霞んでいて、日光男体山の裾野がやっと見えるだけ、近くの高鈴山や筑波山などの茨城の山や太平洋近くの展望で我慢した。
(神峰山・高鈴山)
(筑波山・雨巻山)

 男体山からはみんなアイゼンを付けて歩き始めた。アイゼンを持参しなかった強者もおられたが、雪の積もった急斜面の下りでは苦労していた。後部にアイゼン付けない人が歩いていたので、我家とともに先頭集団に水をあけられてきた。
 なだらかな道になると多少追いついてきたが、何度か上り下りをしているうちに先頭集団の姿が見えなくなってきた。
(下りはアイゼン必携)
(尾根はハイキング気分)

 白木山分岐に男体山から40分で到着して一休み、出発時、アイゼンなしと我家がリーダの後ろに付くよう編制替えして歩き始めた。
 白木山分岐からの下りは夏場でも苦労する程の急斜面である。雪道を横滑りするようにしながら下っていった。
(白木山分岐で一休み)
(また急坂下り)

 急斜面を下り切ると、2ヶ所の丸太の橋を渡るが、滑りそうで気持が悪いことこの上ない。
 登ったり下ったり、慎重に歩いて行くと、後続の健脚組はもっと速く歩きたそうにピターっとくっ付いてくる構図になった。
(木橋)
(上ったり下ったり)

 白木山分岐から1時間10分で第二展望台に到着した。眼下の大子の街並みや田園風景、奥久慈の山々を眺めながら一休みした。 
(第二展望台で一休み)

 ここからまたもとの健脚組が前の編成になって歩き始めた。第一展望台の展望は第二展望台とあまり変わり映えがしないので、ノンストップで通過、月居れトンネルの分岐まで一気に下った。
 トンネル分岐の手前の「男体山登山口」の石碑には皆さん余り気が付いていないようだった。
(第一展望台は通過)
(トンネル分岐)

 月居山への登りが、南向き面なので雪は解けているのだが、ここまで頑張ってきた足にはなかなかきつい。重いザックを背負った人が座り込んでしまったので、これ幸いと我家も休ませていただく。
 第二展望台から月居山に40分で到着すると、先頭集団は待ちくたびれた顔つきで休憩中、我々もお八つを出して一休みさせて貰った。ここまでの雪の状態から、前山から袋田の滝に下る階段道も積雪や凍結で危険な状態であることが予想されるので回避、鐘撞堂から袋田の街に直接下ることになった。、
 雪が消えていると、落葉がアイゼンにくっついて団子になって歩きにくくなるので、皆さん、ここでアイゼンを外したが、我家は鐘撞堂までの急斜面に雪が積もっていたら大変だと心配してアイゼンを付けたままで下ることにした。
(月居山への登りはきつかった)
(月居山で一休み)

 案の定、月居山からの下りにはまだ雪がしっかり残っており、それも半分凍結状態だった。我家はアイゼンのお陰で助かったが、アイゼンを外した皆さんは、凍結した登山道から外れて笹の斜面に入り込んで器用に下っていった。
(月居山からの下りは凍った雪道)

 帰りの電車の時間を気にしてか、リーダの足取りがやけに速い。10分で鐘撞堂に下っても、鐘を付くこともなくどんどん下っていった。
 アイゼンを外しかねてコンクリートの道をガチガチ鳴らしながら懸命に後を追いかけた。杉林の中になると雪は全くなくなってきて、四阿のある休憩場所でアイゼンを外して、皆さんから遅れて歩いていたお二人と一緒に下っていった。去年10月に歩いた時には、通行止めの立札だけがあった滝見茶屋へ下る分岐には更に厳重な閉鎖処置がされていた。
(鐘撞堂からは雪が溶けていた)

 鐘撞堂から20分で豊年万作の前まで下り着くと、リーダが「ここで解散にします。温泉に入りたい人いますか。滝を見に行きたい人いますか。駅までタクシを呼びたい人は」と組分けをして解散になった。
 和子は折角着替えを持ってきたので温泉に入りたい風情だったが、温泉に入る希望者はゼロで、今永さん、水野さんと連れだって4人で氷結の袋田の滝を見に行くことになった。
 今の時期、氷結の滝を見に来る観光客が多くて、駐車場所は殆んど満車状態で、交通整理の街の人が大声で交通整理に当たっていた。
 滝の手前に、人工で水を凍らせた滝やモニュメントが作られており、モニュメントは半分溶けて形をなしていなかったが、滝は結構綺麗で観光客の目を集めていた。
 滝の入口の吊橋を渡ったが、ここから展望台まで入っていては帰りの1時間1本の電車に間に合わなくなる。入場券売り場の前からの眺めで満足して帰途に付いた。
(人工氷瀑)
(展望台と岩壁)

 展望台から真正面に見る滝は迫力があるが、入口から斜めに見る滝の姿も美しくてなかなかいい眺めだと私は思っている。
(氷結した袋田の滝)

 滝から袋田駅まで4km近くある。ゆっくり歩いていては1時間遅れの電車になる。ここまで15kmも歩いてきた足にはきついが、お二人さんを巻きこんでは申し訳ないので一生懸命頑張った。
 R118の交差点に出たところでは、長福山の左に、男体山から月居山までの山並みが見えていて、よく歩いて来たねと自分を褒めてやった。
(袋田駅までてくてく)
(歩いてきた稜線)

 袋田駅近くの鉄橋のところまで来ると、踏切の警笛がチンコンチンコンなり始めた。下りの電車が袋田駅に入ったところのようだ。「この鉄橋を電車が渡る情景は1時間に1度しか見られない貴重なチャンスだ。まだ上りの電車までにはゆとりがあるので、少し待って見ていこう。」ということになった。
 鉄橋を通過する電車を眺めてから、滝から50分で駅舎に着くと、3人の仲間が到着済、食事をしようと温泉にも入らないで歩き始めたが、ここまでそれらしいところがなく、駅で随分長い事時間を潰していたとのこと。外の3人はタクシを呼んで一つ早い電車で帰られた模様。
(電車通過を待つ)
(袋田駅到着)

 15分待ってやってきた電車に乗り込み、今日の縦走のことなど話ながら1時間15分で水戸駅に到着、丁度待っていた常磐線の電車に乗り換えた。18時36分に大甕駅に到着、今永さん、植木さんと別れて、駅前のラーメン屋で暖かいラーメンを頂いて我家に帰ってきた。
 久しぶりのロングコースに疲れ果て、階段の上り下りに足が痛くてたまらない。これでは夏山の本格的登山にはとても耐えられそうにないと大いに反省し、明日から少し足を鍛えることを真剣に考えようよと話し合ったのでした。




inserted by FC2 system