Z23.焼森山・鶏足山から花香月山まで

1.動 機
 水戸アルパインクラブの来年度の山行計画として、鶏足山から花香月山まで縦走する案が出された。下山さんから平野さんと私に実際に歩いてみようと誘いがあり、和子とYmさんも同行することになり、総勢5名での山行になった。コースは下山さんのお好みの焼森の里登山口から歩き始めて、焼森山と鶏足山とに登り、花香月山まで縦走してから入口ゲートまで車道を下るコースだった。焼森山と鶏足山花香月山とは夫々単独には登った事はあるが、三山を縦走するのは初めてだった。
 歩いてみると、縦走路は何度も何度も上り下りを繰り返す全長9.5kmのなかなかタフなコースだったが、変化のある面白いコースで、寒気のお陰で余り汗をかかないで済み、風がなかったので寒さに震えるほどでもなく、同行の皆さんと楽しく気持よく歩き通すことが出来た。

2.データ
a)山域:焼森山(423m)、赤沢三角点(赤沢山)(431m)、鶏足山(425m)、倉見三角点山(395m)、花香月山(378m)
b)登山日:2012/2/16(木)曇
c)コースタイム:日立自宅 7:40 = 8:00 日立南IC = 8:10 那珂IC = 8:45 花香月入口ゲート(P1) 9:00 = 9:20 いい里さかがわ館 9:35 = 9:40 焼森の里入口(P2) 9:50 ---- 10:35 焼森山 10:45 ---- 11:00 赤沢山 11:10 ---- 11:20 鶏足山(昼食) 11:50 ---- 12:00 鶏石 ---- 12:40 鉄塔 ---- 13:05 倉見三角点 ---- 13:20 ・386峰 13:40 ---- 13:45 迷い分岐 ---- 14:00 石仏峠 ---- 14:15 NTT鉄塔 ---- 14:20 花香月山 14:25 ---- 14:30 車道出合 ---- 15:00 入口ゲート(P1) 15:05 = 15:30 いい里さかがわ館 15:40 = 15:45 焼森の里入口(P2) 15:50 = 17:10 日立自宅
(焼森山・鶏足山・花香月山縦走ルート)

(焼森山・鶏足山・花香月山縦走ルートの標高差)

d)同行者: 水戸アルパイン会員3名(下山さん、平野さん、Ymさん)、和子
e)地形図:「中飯」

3.山行記録
 朝、部落の会社の出勤時間前に我家を出発したが、日立南ICまでの国道が出勤渋滞で10分余分に時間がかかったが、後は快調に走ることが出来て、那珂ICで降りてから先でバードラインが工事通行止めになっていたハプニングもあったにもかかわらず、花香月山の入口ゲートに予定通りの時間に到着できた。靴を履き替え身支度を整えていると、下山さんを乗せた平野車が到着した。
 平野車に乗せて貰って、Ymさんの待つ道の駅「いい里さかがわ館」に向かう。八瓶山の麓を走って県道39号に入り、県道225号を繋いで赤沢集落を過ぎたところで、運転する平野さんに下山さんから県道1号へ近道しようと指示が出た。この辺の道を知り尽くした下山さんの指示だが、距離は短いが物凄く狭くてダートな道、私の運転では対向車が来たらお手上げだ。流石運転上手な平野さん、高級車に傷一つつけることなく難所を通過、今日の登山口の焼森の里入口を通過して県道1号に出た。ここから5分も走ると道の駅いい里さかがわ館に到着、待っていたYmさんと合流した。
 トイレと買い物を済ませて、平野車に5人乗って焼森の里入口に入った。ここは以前は公園か何かだったらしいが、今は荒れ果ててもの悲しい雰囲気が漂っている。今は焼森山と鶏足山の代表的な登山口になってるらしく、登山ルートを示すコースタイムの入った立派な案内板が立っていた。ここから登っていくと焼森山と鶏足山の丁度中間点あたりに登り着くらしい。
 平野さんが靴を履き替えて登山開始、初めは舗装された車道跡を歩いて行く。
(焼森の里入口)
(初めは車道)

 登山道のすべての分岐点に「焼森山登山道右」か「焼森山登山道左」の道標が立っていて、進む方向に悩むことはない。やがて檜の植林帯になり、次いで明るい雑木林に変わってくる。その雑木林にツツジの苗が植えられていて、一本一本に白い札が取り付けてあった。札には植樹者の名前が書かれていたのだろうが、殆んど全部消えてしまっており、中には「小貫の里つくり」とか「早く大きくなーれ」とか「桜の里栄えあれ」と読める札もあった。
 植樹帯を過ぎると「これから急坂になるから衣服調整」の指示が出て一枚脱いだ。急坂を登って支尾根に取りつくと右下に「神楽石」が見え、どんな石か見に下ってみようかと声がかかったが、急坂を登っている最中で息が切れて余裕がなく、そのまま登山道を登っていった。
 やがて境界尾根に登り着くと、そこから境界尾根を下る踏跡が分れているのが見られたが、下山さんもこの道は歩いたことがないとのこと。更に登っていくとすぐに縦走路に登り着き、「左焼森山200m、右鶏足山290m」「手前小貫1550m」の立派な道標が立っていた。ここから焼森山までは我家も歩いたことのある道、気持のいい稜線歩きである。
(ツツジの植樹帯)
(尾根に上がって焼森山へ)

 座禅岩の脇を通過して焼森山の山頂に登り着き、早速、山頂標識の前で集合写真を撮った。この山頂標識には「鶏足山山頂まで1100m」とあったが、小貫から登った分岐点には「左焼森山200m、右鶏足山290m」とあり、490mにしかならない。赤沢三角点のところにある「鶏足山へ260m」を加えても750mである。どうなっているんだろう。
(座禅岩を巻いて)
(焼森山山頂)

 焼森山の山頂からの展望はなかなかいい。日光男体山は樹木に隠れるが、女峰山から高原山が展望出来、塩原から那須にかけては霞み加減だったが、八溝山の三角錐がくっきりと見えていた。南方には難台山・吾国山・仏頂山・加波山・筑波山・高峰・雨巻山が見えていて、Ymさんの説明を聞く。
(南方の展望)

 焼森山で展望を楽しんでから鶏足山に向かう。座禅岩はみんな往路と同じように脇をすり抜けていったが、元気のいいYmさんだけは大岩に攀じ登って通過した。登ってきた下小貫からの道との合流点を過ぎると、ここから花香月山までは全部茨城県と栃木県の県境線上を辿ることになる。
 次のピークに登り返すと、そこは標高430.5mの赤沢三角点峰だった。色々な山頂標識が立ち並んでいたが、一番大きな標識の前で集合写真を撮った。
 一般的にはここを鶏足山として標高431mと表示される事が多いが、並んでいる標識を見る限りでは、ここは赤沢山であって、もう一つ北のピークが鶏足山と解釈するしかない。国土地理院の三角点の名前に赤沢の名前が付いているのは茨城県側の赤沢集落からとられたのだろうから、栃木の人には抵抗があっても、この山を赤沢山と呼ぶのは茨城県人からすると自然のことである。栃木の人は鶏足山が出来るだけ高い標高になるようにここを鶏足山にしたいだろうから、ここを赤沢山とする山頂標識を立てたのは茨城県側の人達なのだろう。
(分岐点を過ぎて鶏足山へ)
(赤沢三角点)

 三角点峰(赤沢山)にはテーブルやベンチがあるが、昼食は次の正式な鶏足山にいってから、360°の展望を楽しみながらゆっくりととった。
(鶏足山へ)
(鶏足山山頂)

 ここには、この鶏足山と弘法大師との関係があるという由緒を記した立て看板が立っていて、近くに小さな石の祠もあった。この看板によると、この山で護摩を焚いて修業し、この山に鶏足山と命名した弘法大師が滞在したのも茨城県側であったらしい。
(弘法大師と鶏足山の関係)

焼森山よりも天候も少し良くなって、日光連山から那須連山まで全部を見渡すことが出来た。
(西方の展望)

 これから歩く花香月山までの縦走路もしっかりと確認でき、八瓶山の向こうには日立の高鈴山も見えていて嬉しくなった。
(これから歩く縦走路)

 鶏足山から下っていくと弘法大師ゆかりの護摩焚岩という岩があって展望が良さそうだったが、特に立ち寄る気にもならないで通過した。次のピークに登って縦走路から離れて茨城県側に少し下ったところに鶏石があった。そう思って上から眺めると確かに鶏のトサカのように見え、下に回って見上げると大きな岩であることが実感できた。
(鶏石)
(境界杭と指導標)

 鶏石からピークまで引き返して縦走路に戻ると、ここからまた何度も何度も上り下りを繰り返すことになった。県境を辿る縦走路にはところどころにハイキング用の道標もあったが、栃木県や茨城県の立てた境界杭が頻繁に出てきて、国土地理院の青い標識もあって道の確認になって助かった。
(下ったり)
(登ったり)

 鶏足山から何度も上り下りをくり返しながら1時間近く歩くと、見覚えのある鉄塔が見えて来た。「ヤマケイ分県ガイド茨城県の山」の完登を目指した2000年の秋に、ここから鶏足山と焼森山に登ったのだ。日記によると、この鉄塔は小山衛星通信所で、並柳集落からここまで車で上ってきて焼森山まで往復したとあり、ピークの数が鉄塔峰から鶏足山まで12個、鶏足山から焼森山まで6個で茂木の役場の人に聞いたよりも多かったとぼやいていた。
 鉄塔まで舗装道路が上がってきていて、この道を少し下ると分岐があり、分岐方向はフェンスで通行止めされていた。踏跡がフェンスの右にあり、少し入ったところからガードレールを乗り越えて舗装地に上がる。そこは何か設備を作るために整地されたところだったのだろうが、今は荒れ放題になっている。広場の先でフェンスが尽きるところで2mの擁壁を材木の足場を使って降りると、その先に登山道が続いていた。この辺の地理は、縦走路を歩いたことのある下山さんとYmさんの先導がないと行き先が分らなくなりそうだった。
(見覚えのある鉄塔)
(車道は柵止め)

 鉄塔から上り下り25分で倉見の三角点峰に着き、我家はまだタッチしていない三角点なので、ツーショットのシャッタを押してもらった。
 更に15分ばかり歩いて・386峰に着くと、そこは伐採されたばかりの山で西側の展望が開けていた。目のいい人には花香月山入口ゲートにデポしてある我家の愛車が見えていたらしい。ここまでの山行を振り返りながら話が弾み、ゆっくりとお八つ休憩をした。
(三角点峰)
(・386峰は伐採地)

(・386峰からの展望)

 ・386峰から下って、次の小ピークを越えるところで方向を間違えた。今回唯一の迷走である。ピークを少し下ったところで行く手に細い紐が張ってあり、目指す花香月山の鉄塔が右手に見えていて間違いに気が付いた。気配りの平野さんは、後から来る人が間違えて更に先に進まないように枯れ枝で通せんぼの追加をしていた。
 大勢の人が間違えてこの道を歩いてくるようで、ここから縦走路に戻るのに、ピークまで引き返さないで斜面をトラバースする近道の踏跡がしっかりと出来ていた。
 道迷い点から下ったところが、去年12月に倉見集落から登ってきた地点で、ここからは我家も歩いたことのある道になった。見覚えのある石仏にも挨拶をして通過した。
(迷い道)
(石仏)

 石仏の峠から明るい尾根道を歩いてアップダウンを繰り返して、15分ほどでフェンスで囲まれた通信鉄塔のところに登り着いた。この鉄塔はNTTの鉄塔で、この先にあるもう一つの鉄塔は東電のものとのこと。
 更に鉄塔フェンスの反対側に廻って、登山道を5分ほど歩いて三角点のある花香月山に到着。これで今日の縦走はほぼ完了、集合写真を撮って一休みした。
(NTTの通信鉄塔のフェンス)
(花香月山)

 花香月山の山頂から車道に降りて、ここから30分の長い車道歩きが始まった。大きく蛇行する車道には何か所かショートカットする道もあるらしく、一ヶ所で下山さんとYmさんが近道したが、我家は平野さんと三人でのんびりと車道を歩いていった。
 30分で入口ゲートに到着して、これで縦走は完全に完了、結構ハードなコースだったが楽しい山行でした。笑顔の記念写真を撮りました。
(長がーい車道下り)
(入口ゲートにゴールイン)

 デポしていた我家の車でYmさんの車がある「いい里さかがわ館」に向かったが、途中、平野さんが走った焼森の里を通る狭い林道は敬遠させてもらって、石材運搬のダンプが爆走する県道225号を直進して県道1号に出た。随分遠回りだったが、快調に走ることができたので「いい里さかがわ館」に到着するまでの時間は5分程長くかっただけですんだ。
 「いい里さかがわ館」でお土産を買いこんでYmさんとバイバイし、平野車を停めてある焼森の里まで入ってからお開きになった。県道1号から焼森の里までの道は私の運転でも大丈夫な広さがあった。




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