Z721.大平山
(MACの東北山行(1日目))

1.動 機
 大平山は秋田市内の各地から望むことができるため、市のシンボルのひとつとして校歌などに歌われることも多く、秋田市の山好きの人達が登山ルートを整備しているとのこと。また山頂には太平山三吉神社の奥宮が設置されており、参籠所もある信仰の山でもある。
 岩崎元郎はこの山を新日本百名山に選んで「太平山は標高1171mであるが、実に山らしい山であり、登り甲斐がある。」と言っているが、標高300mの旭又登山口からは標高差870m、暑さが始まったこの時期、夜行バス明けの登山にはきつい山であった。それでも皆さんは急登や岩場をものともせず、旭又園地から宝蔵岳・弟子還岩経由で大平山山頂に登り、御手洗経由で旭又園地へ下る周回コースを賑やかに歩き通して、「見事なブナの美林を歩いて気持良かった」とお元気なお言葉だった。

2.データ
a)山域:宝蔵岳(1036m)、大平山(1171m)
b)登山日:2012/7/22(日)晴
c)コースタイム:
前夜:森山自宅 17:20 17:30 日立電鉄南営業所 17:40 = 17:50 東海 = 18:10 勝田 = 18:35 水戸駅 = 19:25 那珂IC = 20:05 中郷SA 20:10 = 21:30 安達太良SA(朝食) 21:40
7/22:= 1:30 西仙北SA(仮眠) 5:10 = 5:30 秋田中央IC(タクシ乗換) 5:35 = 6:25 旭又園地 6:45 ---- 7:05 宝蔵岳登山口 ---- 7:25 休み 7:30 ---- 8:20 休み 8:30 ---- 8:45 国民の森分岐 ---- 9:25 宝蔵岳 9:35 ---- 10:00 弟子還嶽 ---- 10:25 大平山(昼食) 10:55 ---- 11:50 御手洗 12:00 ---- 12:45 休み 12:50 ---- 13:10 御滝神社 ---- 13:25 宝蔵岳登山口 ---- 13:40 旭又園地 13:45 = 14:50 秋田中央IC(バス乗換) = 15:15 五城目八郎潟IC = 15:50 道の駅こあに 16:05 = 17:10 森吉山荘(泊)
(大平山登山コース)
(大平山登山コース高低差)

d)同行者:水戸アルパイン会員10名(男6、女4)、和子
e)地形図:1/25000 「大平山」


3.山行記録
 14名を乗せたバスは前日夕方茨城を出発し、常磐道、磐越道、東北道と繋いで、秋田道の西仙北SAに1時半に到着、ここで仮眠をとった。仮眠時間を長くするために茨城を早めに出発したが、忙しい人には出発は遅い方が良かったかもしれない。4時頃起きてSAのコンビニで朝食を取って、5時過ぎにバスは再出発、秋田中央ICで待っていた2台のジャンボタクシに分乗して旭又園地に向かう。国民の森まではバスでも入れそうだったが、その奥のラフ道はやはりタクシの方が良かったみたい。
 今日は日曜日、旭又園地の広い駐車場にはもう20台近い車が停まっていた。トイレを済ませて歩き始める。
(林道をゆくジャンボタクシ)
(旭又登山口駐車場)

 駐車場から木の橋を渡ると、大平山には登った事があるシモンさん夫妻が仲睦まじく左の「馬場目岳登山道」に分れて行き、12名が直進して大平山登山道へ向かった。
(駐車場出口)
(大平山登山口)

 アジサイやドクダミの花が咲く広い登山道を10分も歩くと、左に「赤倉岳登山道」があり、これを見送ってコンクリートの橋で旭又沢を渡って木道の道を10分進むと「矢源沢入口」の標柱が立つ分岐に着いた。直進は大平山に直登し、右の分岐は宝蔵岳を経由して大平山に登るコースだ。
 宝蔵岳コースに入るとしばらくジグザグの急登が続き、たっぷり汗を絞られ、20分で衣服調整の休憩。更に急登が続く。イワカガミのような葉っぱが茂っているが、今やもう花はないのでイワウチワと見境が付かない。
(矢源沢入口、宝蔵岳登山口)
(急登)

 登るにつれて、スギに交じってブナの巨木も多くなってくる。樹間に山頂に大きなお宮が目立つ大平山が見えるようになってきたが、「あんな高いところまで登るの。見えると辛くなる。見えない方がいいよ」の嘆き節も聞こえてくる。
(スギとブナと)
(大平山が高く見えた)

 休みを入れながら急登を頑張ると、目の前が開けて秋田の街の向こうに日本海が見えていた。一服の清涼剤だ。
 少し歩くと国民の森からの道「軽井沢尾根」コースに合流する。
(日本海)
(国民の森分岐)

 軽井沢コースに入ると俄然ブナが多くなる。森のエキスを吸いながらまだまだ続く急坂を頑張る。合流点から40分で宝蔵岳に到着、樹間だが弟子還峰の向こうに大平山が見えていた。大分近付いて来たと元気を奮い立たせる。
 「宝蔵岳−弟子還間は崩壊個所あり」の注意札があったが、大平山から下りて来た若者は「ここから面白くなるよ」といいながら通り過ぎて行った。
(ブナ)
(宝蔵岳からの大平山)

 一休みして歩き始めると、すぐに岩場の下りになる。固定ロープもあってこれをこなすと、しばらく岩っぽいトラバース道、足元に気を付けながら進んでいくと、目の前に弟子還峰が見えて来た。左側がスパッと切れ落ちた岩山だが、崖にはシシウドが白い花をいっぱい咲かせていていい眺めだ。
 登山道はこの崖に沿って付いた岩場の登りだが、鎖も付いており岩場には慣れている皆さん、単純な急登よりも気が紛れるのか嬉しそうに登って行く。
(宝蔵岳からは岩場)
(弟子還の岩場登り)

登り切ると石の祠があり標柱には「弟子還嶽神社」とあった。ここからは大平山の全容が眼前に広がる。三角錐の山容は美しいが、まだまだ急登が待っていそうだ。
(弟子還嶽神社)
(大平山全容)

 しばし気持のいい尾根をセンジュガンビの白い花やシシウド、ツリガネニンジンなどを愛でながら歩いて行くと、いよいよ最後の急登が始まる。雨水で深く掘られた道を10分登ると山頂の鳥居が見えて来た。
(掘れた登山道)
(鳥居を潜って山頂へ)

 鳥居を潜って山頂に登り、綺麗に飾られた「大平山三好神社総本宮」にお参りし、山頂標柱の前で証拠写真を撮った。山名盤があり、条件が良ければ鳥海山、栗駒山、和賀岳、早池峰、岩手山、八幡平、八甲田、岩木山まで見えるらしいが、今日は森吉山もよく分らない。
 土地の登山グループの人達が山頂の茂みに小さな花を見つけて騒いでいる。訊くと「コアニチドリという土地の名前が付いた珍しいランで、絶滅危惧種にも登録されているんですよ」とのこと、初めてお目にかかる花にシャッタを押した。
(大平山山頂)
(コアニチドリ)

 山頂に近付くと発電機の唸る音がしていたが、参籠所用の電気らしい。アルコールに目のない仲間は冷たく冷えたビールを美味そうに飲んでいた。その参籠所のベランダに靴を脱いで上がらせてもらって西仙北SAで仕入れた弁当を広げた。
 昼食後集合写真を撮って下山にかかる。登山者が多くてシャッタをお願いする人に事欠かない。下山は登ったと反対側に下ったが、こちらにも鳥居があり、金属製の鳥居だが風のためか一部変形していた。
 こちらのコースの方がメインコースのようで、これで無事山頂まで登りつけるかなと心配になるような足取りの人も含め随分多くの登山者と出会った。
(鳥居を潜って下山)
(登山者多し)

 急坂を1時間近く下ったところに御手洗という水場があった。地蔵さんや御手洗神社という石の祠があり、テーブルとベンチも備わっていた。水場の水を柄杓で掬って飲んでみると冷たくて美味しい。ペットボトルの水を全部入れ替えた。
(御手洗の水場)
(御手洗のお地蔵さん)

 木の根っこ道の様な所を急坂下り、なだらかになったところに御滝神社(垢籬取場)の社と鳥居があった。お参りして通り過ぎる。
(どんどん下る)
(御滝神社)

 社のすぐ先の沢に立派な木橋が渡っていたが、通行止めの虎ロープが張ってある。駐車場のところに「この先の弟子還橋は壊れていて危険なので渡れません」という注意札があったのはこの橋の事のようだ。見かけは立派で何が拙いのか分らないが、とにかく沢を渡りましょうと下を見ると、3本の丸太を束ねた仮橋がかけられていた。そこまで下る崖がガラガラで怖かったが、徒渉は楽させていただいた。
(この橋が通行止め)
(下に仮橋)

この旭又沢を過ぎると、道は杉の美林の中の道になり、スタスタ歩いて10分で宝蔵岳の分岐に着き、さらに15分で13時40分に旭又駐車場に着いた。予定より若干早く着いたが、ジャンボタクシは既に待機していて、シモンさんも帰ってきていてトイレを済ませてすぐに出発した
 秋田中央ICで茨城のバスに乗り換え、宿泊地の森吉山荘に向かって出発、五城目ICで高速を降り、コンビニに寄りながら一般道を走って17時過ぎに今夜の宿、国民宿舎森吉山荘に到着した。
(杉林を歩いて旭又へ)
(森吉山)

 山荘は貸切状態に近いガラガラ、部屋に入ってすぐに温泉で汗を流し、食堂で山菜づくしの豪華な夕食を頂いた。
(森吉山荘)
(豪華食事)

 賑やかな夕食後、もう一度温泉に入ってぐっすりと眠り、昨日の夜行バスでの寝不足を取り戻した。



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