A62.日立市の自然公園(1)
(南高野史跡公園と赤羽緑地)

1.動 機
 東海村の文化財マップをあらかた歩き終えて、次のお散歩コースを探した。日立市のHPを開いて生き生き百年塾の「日立のまち案内人の部屋」を覗くと、日立市内にも寺社公園やいろいろな文化財が沢山あることが分かり、次は長く住んでいて第二の故郷になっている日立の町のことを少し勉強することにした。先ずは日立南部の南高野史跡公園と赤羽緑地を歩いてきた。
2.データ
a)山域:日立市
b)撮影日:2013/6/8(土)
c)コースタイム
自宅13:00 = 13:10南高野史跡公園13:50 = 14:00赤羽緑地15:20 = 15:30自宅
d)同行者:和子
(南高野史跡公園と赤羽園地マップ)


3.記録写真
南高野史跡公園
 我が家で昼食を済ませて出発し、南高野史跡公園の駐車場に入ると2台の先客があった。駐車場には公園の案内図が立っており、それによるとここの貝塚は縄文時代に形成されたもので、戦後2回発掘調査が行われたらしい。公園内にはいくつかの貝塚のほかに3基の古墳もあるようなのでそれらをつないで歩くことにした。
(南高野史跡公園の貝塚案内板)

 駐車場から正面の道を登っていくと整備された遊歩道が網目状に張られており、結構登ったり下ったりがあってストックを持ってくるんだったなあと悔やむ。
(駐車場)
(遊歩道)

 案内図にある古墳を探しながら歩くが、それと明示するものは何もなく、なんとなく盛り上がったところを円墳として通過する。
 円墳脇を登りきると芝生の広場があり、境界柵の向うには住宅街があった。大きな古木が何本か立っている広場の真ん中に「茨城県指定史跡 南高野貝塚」の標柱が立っており、「ここからは何か所もの貝塚が発見されていて、県北では最大規模の貝塚群」とのこと。貝塚の標柱はあっても貝塚の残骸と思われるものは何も見当たらず、発掘調査した後、公園として綺麗に整備されたようだ。
(円墳)
(貝塚)

 貝塚の広場から石段を下るとここにも貝塚の標識があったが周りは草ぼうぼうの変哲もない斜面、この辺りから縄文時代の生活用品などが出土したのだろうと思うだけだった。
 下りきって「恵澤萬世」の石碑を見ながら雑木に囲まれた草原を歩いて行くと、左上に四阿が見え、その脇に道標が見えたので上がってみた。四阿の中では二人のご婦人がお休み中だったが、道標と見えたのは展望板だった。昔は那珂湊港や筑波山、日光連山が見えたらしいが、今は樹木が繁っていて展望は殆ど利かない。樹間からわずかに見えた山並みを愛宕さんあたりかと思って写真に撮って見たが、はたしてどこの山だったのだろうか。
(石段)
(四阿からの展望)

 駐車場に戻ると、停まっている車は入れ替わっており、この公園にも結構人が入ってくるようだった。一番南の円墳を見ようとトイレ脇の遊歩道を登って行ってみたが、ほかの古墳と同じようにそれとはっきり確認できず、遊歩道の一番高いところが古墳の頂上のように思われた。

赤羽緑地
 南高野貝塚の駐車場から車のナビに指定して1.3km先の赤羽緑地の駐車場に向かう。この赤羽緑地には何年か前にクリンソウを見に来たことがある。
(赤羽緑地マップ:「日立のまち案内人の部屋」から)

 駐車場入口には見覚えのある「赤羽緑地」の石碑があり、数台の車が停まっていた。南高野貝塚より人気がありそうだ。
 駐車場から下って四阿にある広場を過ぎて遊歩道を歩いて行くと、一面葦が茂る水の枯れた野鳥池があり、その前に4つの窓が空いた野鳥観察板が立っていた。窓から覗いてみたらスズメが数匹飛び回っているのが見えた。
(駐車場入口)
(野鳥観察窓)

 野鳥池の隣には生物観察池があり、中央の木橋の上で子供連れの家族が遊んでいた。近付いてみると煮干しを餌にザリガニ釣りをしているところだった。釣れそうでなかなか釣れてくれず、見ていても面白い。
 次は案内図にクリンソウの丘と表示のあるところに向かって歩いて行った。途中、「ミドリガメがタマゴ産んであります」と書いた紙を立てたところが3か所あった。亀はところ構わず産卵する習性があるらしく、管理しているボランテアの人が卵を見つけると注意札を立てているらしい。
(生物観察池)
(ミドリガメ産卵?)

 園地の端まで歩いて行くと井戸があり、その脇は鉄の柵がしてあって立ち入り禁止。記憶ではこのあたりにクリンソウが咲いていたように思うが、クリンソウの花は一輪も見えず、葉っぱも一株もなかった。向かいの団地から入ってきたご婦人に聞いてみたが「クリンソウなんて知りませんよ」とのこと。諦めて生物観察池まで引き返し、今度は野鳥池の南岸に向かって歩いて行くと、ここにも野鳥観察板が立っており、その脇に「メダカの里」の立札が立つ溝があった。中を覗いてみると、小さなメダカがたくさん泳ぎ回っていた。
(井戸)
(メダカの里)

 「メダカの里」に脇から入る「水芭蕉養殖地入口」の立札が立つ遊歩道があり、その先にクリンソウのピンクの花が咲いているのがわずかに見えた。入口に通行止めのロープが張ってあるが、思い出のクリンソウの花を何とか近くで見てみたいものだ。観察池の向こうに管理舎があってそこで作業中の数人の人影が見えたので、和子が入らせてもらえるようお願いに行った。一人のボランテアの男性がわざわざやってきて、ロープを外して案内してもらえることになった。
 10m入って十輪ほどのクリンソウの花を間近に見ることが出来たが、男性は「もう少し前だともっとたくさん咲いていたのに残念だね」とおっしゃる。我が家は盛りは過ぎていることは承知してきたので、これで大満足。
(水芭蕉養殖地へ)
(クリンソウ)

 男性はクリンソウの花を見せてくれただけでなく、クリンソウの花を咲かせる苦労などを色々と話してくれた。「奥にあった群生地のクリンソウは、ある年モグラに根こそぎやられてしまった。そのあと日光や那須から苗や種をもらって植え直してみたが、なかなか育てるのが上手くいかなかったり、咲いたと思ったらまた盗掘されたり。場所を変えながら何度か試してみて、この場所に落ち着いている。黄色いクリンソウも成功したよ。」などと話しながら案内された養殖場には、トロ箱がいくつもあって、芽を出したばかりのクリンソウの苗がしっかりと育っていた。「これらは近くの小学校の生徒たちが種を播いたもので、時期になったらまたやってきて育った苗の植えつけもしてくれる。人手の足りない時の小学生の勤労奉仕は本当にありがたい。」とのこと。
 ここはもともと水芭蕉の養殖場で、水溜まりに生えている水芭蕉からはすでに花が終わって実になった花芯がいくつもあり、これから種をとって植えるとのこと。花芯が水面まで垂れて黒くなったら収穫時とのこと。あちこち、大きさの違う年代の違う水芭蕉が生える群生地を案内しながら、水芭蕉の花盛りにもぜひ見に来るようにと勧められた。他にもイカリ草や原種サクラソウも植栽しているので、ここの花時期は長いとのことだった。それに夏になったら平家ボタルが飛び始めるから懐中電灯を持って遊びに来てくださいとも言われた。
(養殖現場)
(水芭蕉)

 ボランテアさんは数人で花の養殖だけでなく、メダカの繁殖、公園内の草取りなどやっているが、人手が少なくて大変らしい。
 養殖場から野鳥の池越しに見えるB支丘とC支丘の二つ山には、色々な史跡が残っていて文化庁の管轄でボランテアさんには手が出せないとのこと。入る人が少ないので蛇が良く出るらしいよと蛇嫌いの和子には怖い話だった。
(B支丘とC支丘)

 ボランテアさんにお礼を言って分れ、黄色い菖蒲の花を眺めながら野鳥池の周りの遊歩道を歩いていき、B支丘の手前に来ると、分かれ道に「赤羽横穴群」の説明板が立っていた。
 メダカの里からも見られてB支丘の横穴墓群を見ようと脇道登っていくと、大きな横穴があった。その奥にもいくつもの横穴が連なっていて、奥の方の横穴には作業用車両を入れて有効活用されていた。 
(横穴墓群)

 色々な話を聞いたりして面白いお散歩になって満足して帰途についたが、来年はボランテアさん達が苦労して咲かせる水芭蕉やクリンソウが満開になる時期にまた来てみたいと思う。




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