Q72.宗谷・礼文・利尻

1.動 機
水戸アルパインの北海道山行に初めて参加した。コースは1日目に宗谷岬を観光して、2日目礼文島に渡って桃岩ハイキングコースを歩き、3日目利尻岳に登って、4日目にサロベツ原野を観光して帰って来る行程だった。北海道北部は我家の未踏の地、観光を含めて期待いっぱいの旅だった。わくわくしながら、超早起きしていつもの通り一番のバスに乗り込み出発したが、花あり、展望ありで、期待通りに充実した4日間だった。

2.データ
a)山域:利尻岳(1719m)、礼文桃岩展望台(250m)、サロベツ原生花園(6m)
b)登山日:2003/07/25(金)〜28(月)
c)コースタイム:
1日目(7/25)水戸 = 羽田空港 = 稚内空港 = 宗谷岬 = ノシャップ岬 = 稚内港FT =(フェリー)= 香深港FT = 礼文かもめ荘(泊)
2日目(7/26)かもめ荘 = 澄海岬 = スコトン岬 = ウスユキソウ群生地 = 桃岩トンネル入口 ----(桃岩コースハイキング)---- 知床 = 香深港FT =(フェリー)= 鴛泊港FT =(利尻島一周)= ホテルニュー利尻(泊)
3日目(7/27)ホテルニュー利尻 = 鴛泊登山口 ---- 利尻岳山頂 ---- 鴛泊登山口 = ホテルニュー利尻(泊)
4日目(8/28)ホテルニュー利尻 = 鴛泊港FT =(フェリー) = 稚内港FT = サロベツ原生花園 = 稚内センタ = 稚内空港 = 羽田空港 = = 水戸
(宗谷・礼文・利尻地図)

d)同行者:水戸アルパイン会員18名(男6、女12)、和子
e)地形図:1/25000 「香深」「鴛泊」「豊徳」

3.山行記録

(1日目:出発−宗谷岬観光−礼文島)
水戸駅 5:00 = 水戸IC = 守谷SA = 7:10 羽田空港(朝食) 9:35 = 11:20 稚内空港 11:50 = 12:15 宗谷岬(昼食) 13:05 = 13:50 ノシャップ岬 14:10 = 14:20 稚内港FT 15:10 =(フェリー)= 17:05 香深港FT = かもめ荘(泊)
特に樺太探検では、間宮海峡を発見し、その名前が今でも世界地図にあります。

稚内空港からバスに乗って宗谷岬に向かう途中、周りには人家はまるでない海辺に「間宮林蔵渡樺出向の地」の石碑が建てられていた。間宮林蔵は樺太が島であることを発見した探険家。頑丈な船もない時代に、 誰も行ったことがない日本領でもない所にこんな所から出かけた強い精神力、歴史に名を残す人は違いますねえ。
宗谷岬に着いて土産物屋で昼食、店内に流氷館という入口があったので入ってみた。壁一面に流氷に埋め尽くされた宗谷岬の大きな写真があり、床には色々な動物の剥製のほかに、メインの大きな流氷の塊が部屋いっぱい重ねられていた。室内は−11°、寒さに震えながら、実感迫る流氷体験をした。
(間宮林蔵渡樺出向の地)
(流氷館)

最北端の宗谷岬は、さすが人気の観光地、「日本最北端の地」の碑のところでは長い順番待ちだった。
地碑の右には「宗谷岬」の歌碑があり船村徹作曲・吉田弘作詞の楽譜と歌詞が刻まれていた。若いころよく歌っていた歌だ。

♪〜宗谷岬〜♪    曲/船村 徹・詩/吉田 弘
流氷とけて 春風吹いて        吹雪が晴れて しばれがゆるみ
ハマナス咲いて カモメも啼いて    渚の貝も 眠りが覚めた
遥か沖ゆく 外国船の         人の心の扉を開き
煙もうれし 宗谷の岬         海鳴りひびく 宗谷の岬
流氷とけて 春風吹いて        流氷とけて 春風吹いて
ハマナス揺れる 宗谷の岬       ハマナス揺れる 宗谷の岬

日の隣にはここにも間宮林蔵の立像があり、もっと広い展望を楽しもうと野の花を眺めながら高みに上がると、旧海軍望楼や世界平和の鐘、子育て平和の鐘、あけぼの像、祈りの塔など沢山のモニュメントがあった。
(宗谷岬の歌碑)
(日本最北端の地の碑)

宗谷岬の観光を楽しんでから、バスは引き返して稚内の街を抜けてノシャップ岬に向かった。ノシャップ岬でバスを下りると、海上は霞み加減だったが、今回のメインの利尻富士が綺麗に見えて感激した。
岬の海岸を散歩していると、腰まで海に浸かって昆布採り中のおばさんがいた。興味深く眺めていると近寄ってきて、腰の籠から生ウニをだして手渡してくださった。昆布の試し採りをしているところだったらしいが、ウニの割り方も教わって生きたウニの味を美味しく味あわせていただいた。
(ノシャップ岬と利尻富士)
(生ウニも貰っちゃった)

浜にはハマナスやエゾニューなどの花も賑やかだった。
(ハマナス)
(エゾニュー)

稚内港まで引き返して大きなフェリーに乗って礼文島に向かったが、利尻富士が段々と大きくなってきて、シャッタを度々押した。観光客が投げる煎餅に喰らい付くカモメの群れが礼文島までフェリーには付いてきた。
礼文島の香深港に着くと、さすが花の礼文島、近くの草むらにもエゾオグルマやエゾニュー、カンチコウゾリナなど色々な花が咲いていた。
(稚内港からフェリー)
(エゾオグルマ咲く香深港)

宿に着いたら、玄関の植え込みに、リシリヒナゲシ、レブンソウ、チシママンテマ、センダイハギなど珍しい高山植物の花々が咲いていて、海抜ゼロメートルに高山植物が花開くということに今更ながら驚かされた。
(レブンソウ)
(リシリヒナゲシ)

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(2日目:礼文島観光−桃岩ハイキング−利尻島観光)
かもめ荘 8:00 = 8:40 澄海岬 8:55 = 9:10スコトン岬 9:20 = 10:35 ウスユキソウ群生地 11:20 = 11:25 桃岩トンネル入口 11:30 ----(桃岩コースハイキング)---- 13:00 知床 13:05 = 13:30 香深港FT 13:45 =(フェリー)= 14:25 鴛泊港FT 14:35 = 14:40 姫沼 15:00 = 15:30 オタドマリ沼 15:55 = 16:10 仏法志御崎 16:30 = 17:10 沓形岬 17:15 = 17:50 ホテルニュー利尻(泊)

2日目は、一生懸命で明るいバスガイドさんの漫談調のお話に笑い転げながら。澄海岬とスコトン岬とまわり、レブンウスユキソウ群落地と桃岩展望台のハイキングコースを歩いた。
さすが花の礼文島、どこでもたくさんの花が出迎えてくれた。

最初に行った澄海岬は礼文島西海岸のビューポイント、断崖絶壁の奇岩、怪岩、入江、岬が美しかった。北の離れ島の険しい入り江に揺蕩う青は、言葉を失う程の景観だった。
星のように散らばっている小島はカモメの楽園、柱状節理の島にはたくさんの鳥たちが飛び交っていた。
(澄海岬)
(柱状節理の島々)

次は礼文島の北端にあるスコトン岬。天気の良い日は、サハリンまで見渡すことが出来るそうだが、今日は目の前の無人島のトド島までだった。
(スコトン岬標柱)
(スコトン岬とトド島)

バスは次に香深港まで引き返して山道に入り、ウスユキソウ群生地まで案内してくれた。広い丘陵地を歩くと色々な高山植物の花を見ることが出来た。
もちろんレブンウスユキソウもあったが、内地のウスユキソウとどこが違うのか判らない。説明板には「レブンウスユキソウは、銀白色の毛を持つ苞葉中に黄色の頭花があり、白く光る花弁のようにに見えるものが葉(苞葉)で、雨や露にあたると水滴が浮かび、しっとりと濡れて光る気品が香る花である」とあったが、内地のウスユキソウ自体を細かく観察していないのでやはり違いは分らない。
(ウスユキソウ群生地)
(レブンウスユキソウ)

(イブキトラノオ)
(キタノコギリソウ)

(チシマゲンゲ)
(エゾニュー)

次は桃岩トンネルの手前から知床まで桃岩ハイキングコースを歩いた。コースは手入れされたなだらかな散歩道で、緑の草原と青い海原の眺めもよく、高山植物の花々を愛でながら気持よく歩くことができた。
(桃岩トンネルの上から)
(花盛りのハイキング道)

桃岩展望台からは、目の前に緑の桃の様な桃岩が見えており、左にはこれから歩いて行く断崖上の下に小さな猫岩が見えていた。
(桃岩展望台)
(猫岩と断崖)

展望台から先も、時に断崖近くまで歩いて下を覗きこんだりしながら緑の絨毯の中を歩いて行き、振り返ると礼文島の北部を全部見渡すことができた。
(礼文島北部を振り返る)

元地灯台からは下り坂になり、なだらかに30分下ると利尻の部落に着き、待っていたバスに乗って香深港に戻った。
(元地灯台)
(知床へ下る)

香深港からフェリーに乗って利尻島の鴛泊港に向かった。フェリーには稚内からと同じようにカモメが餌をねだって島まで付いてきて、投げた煎餅を上手に咥える瞬間を捉えたくて、こちらの写真撮影も忙しかった。
(カモメ群と利尻岳)
(鴛泊港のペシ岬)

利尻島に着くとバスが待っていて、島を一周した。
最初の姫沼では整備された遊歩道を一周した。雲に隠れていたので湖面に映る自慢の逆さ利尻富士は見ることができなかったが、湖面を泳ぐ水鳥が綺麗だった。
(姫沼)
(水鳥)

北の姫沼では曇天で何も見えなかったが、南に回るに従って晴れてきて、オタトマリ湖では利尻富士が素晴らしい姿を見せてくれた。利尻富士の姿は、ここから仙法師御崎−沓形岬と回るにつれて刻々形を変えて、嶮しい山頂の様子を露わにし、明日の利尻登頂への期待がますます高まってきた。
(オタトマリ沼(南東))
(湖畔のアヤメ)

島の南側の仏法志御崎は火山岩の海岸で、黒い荒々しい岩と利尻富士との組み合わせが見事で、みんなでシャッタを押しまくった。
海には野生のオットセイが泳いでいて、女性陣の人気を一人占めしていた。
(仏法志御崎(南))
(野生のオットセイ)

沓掛岬(どんと岬)には利尻町出身の作詞家 時雨音羽による「出船の港」の歌碑があり、聞き覚えのある歌が流れていた。
(沓形岬(西))
(歌碑)

南西からは崩落が進行する利尻岳の山肌が真正面から見え、西に回ると山頂部にロウソク岩が際立って見えるようになって山の荒々しさが強調されてきた。
(北西からの利尻岳)
(北からの利尻岳)

宿に着いて夕食を頂いた後、利尻富士が夕日を受けて赤くなると言うの話を聞いて街外れまで歩いてみたが、期待したほどは赤くならず、夕日を見に夕日ヶ丘展望台まで歩いた人の方が幸せだったかもしれない。
(夕焼けの利尻岳)

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(3日目:利尻岳登山)
3日目は沓掛登山口から登って鴛泊登山口まで縦走の予定だったので、4時に早起きしてアルファ米などの用意をして待機していたが、契約していたバスは一向に現れないハプニング。バス会社は運転手の朝寝坊と言訳していたが本当かどうか? 縦走を期待して参加した方々には気の毒だったが、縦走するには時間が足りなくなり、1時間遅れで宿のマイクロバスで鴛泊登山口まで送って貰ってピストン登山をすることになった。高度差1500mは結構きつかったが、登山道は整備されており、色んな綺麗な花もいっぱい咲いていて、利尻登山を存分に楽しむことができた。
(利尻岳登山標高差)

ホテルニュー利尻 5:30 = 5:35 鴛泊登山口 5:40 ---- 5:55 甘露泉(三合目) ---- 6:20 四合目 6:30 ---- 6:50 五合目 6:55 ---- 7:20 第一見晴台(六合目) 7:30 ---- 8:30 第二見晴台 8:40 ---- 9:00 長官山(八合目) 9:10 ---- 9:50 九合目 10:05 ---- 10:40 沓形コース分岐 10:50 ---- 11:20 利尻岳山頂(昼食) 12:00 ---- 12:50 トイレブース(九合目) 13:20 ---- 13:55 第二見晴台 14:00 ---- 15:35 五合目 ---- 17:00 鴛泊登山口 17:10 = 17:20 ホテルニュー利尻(泊)

バスが登山口の北麓野営場に着いたのは5時半過ぎ、身支度してすぐに歩き始め、15分ほどで「日本最北端の名水」甘露泉に到着、泉におりて名水を味わってみると確かに冷たくて美味い水だった。
針葉樹林の中のなだらかな道を進んで4合目で衣服調整、広葉樹林のなかでやや斜度を上げた登山道をジグザグに登っていき、明るくなった5合目で少しエネルギー補給。
(沓形登山口)
(甘露泉)

5合目を通過すると周りの木は低くなって長官山が見えるようになり、6合目の第一展望台から鷺泊港が眼下に見ながら小休止。
6合目からはゴロゴロした石の登山道が続き、7合目には七曲の道標があってまた斜度が増してきた。
(六合目)
(七合目)

長官山の手前に第二見晴台と呼ばれている開けたところで下界の展望(残念ながら雲が多くて好展望とは言い難かった)を楽しみながらまたお休み。
(第二見晴台)
(第二見晴台)

八合目の長官山に到着すると、目の前が突然開けて利尻岳が目に飛び込んできた。今日も上々のお天気、利尻富士がバッチリです。天に感謝しながらしばし写真タイム。
長官山から少し登って下ると避難小屋があり、避難小屋の先からまた緑の絨毯の中の急登が始まった。
(八合目:長官山)
(避難小屋から)

急登を頑張るとやがて高山帯になってきて、高山植物の可憐な花々が賑やかになってきた。登山道の斜度も増してきたが、立ち止まってはシャッタを押すのでペースはガタ落ち。
(イブキトラノオ)
(サマニヨモギ)

(エゾツツジ)
(チシマフウロ)

(イワギキョウ)
(シコタンハコベ)

登山道脇に咲く高山植物を撮りながら九合目に到着、「ここからが正念場」と書かれた標識が立っていた。少し休みを入れて歩き始めたが、登山道がグズグズの火山礫の上を歩く道になって踏ん張りがきかずに歩きにくいことこの上ない。
やがて沓形登山道との合流地点にくると周りはお花の競演、沓形登山道まで下ってシャッタを押しまくった。
(九合目付近)
(もうすぐ山頂)

いよいよ頂上まで最後の頑張り(シャッタを押しながら)、沓形分岐から30分で山頂到着。念願の利尻岳山頂(北峰1719m)に11時20分到着、歩き始めて5時間20分だった。
海上の独立峰、360度の大パノラマだが、海も雲に覆われていて遠くは見えない。近くにニョキッと聳えるロウソク岩が印象的だった。
利尻岳南峰1721mはこの北峰より2m高いが、南峰への道は崩落で登山禁止。北峰山頂の祠の前で集合写真と各人の記念写真を撮り、景色やお花を眺めながらゆっくりと弁当を頬張った。
(ローソク岩)
(利尻岳山頂)

下山は往路を下ったが、山頂付近のザレ場は登りよりも下りが気を遣って疲れた。八合目まで下ったトイレブースのところで一休み。利尻岳では携帯トイレの使用が義務付けられており、自然界への放尿放便が禁止されている。標高差1500mの長い上り下りに三合目、六合目、八合目でしか用足しが出来ないのはきつそうな気がしていたが、実際は急登に次ぐ急登で汗を絞られたので、不思議なことにここまで一度も携帯トイレを使わないで済んでいた。
八合目の長官山のところで、利尻富士をバックにした集合写真を撮って登山口に下り着いたのは丁度17時、登り始めて11時間20分、充実感いっぱいの登山でした。
(トイレ)
(全員集合:八合目)

登山口で迎えのマイクロバスにのって宿に帰り、ひと風呂浴びての晩餐会は、カニなど海の幸がいっぱい並んだ食膳を前にしてとっても賑やかでした。
(4日目:利尻島−サロベツ原生花園−帰宅)

ホテルニュー利尻 8:00 = 8:10 鴛泊港FT 8:40 =(フェリー) = 10:20 稚内港FT 10:30 = 11:20 サロベツ原生花園 11:50 = 12:40 稚内センタ 13:10 =(昼食)= 14:10 稚内空港 14:50 = 16:40 羽田空港 17:10 = 守谷SA = 水戸IC = 20:45 日立電鉄南営業所

4日目は、稚内港に渡りサロベツ原野へバスで移動し、バスガイドさんに「原生草園だ」と決めつけられた花の少ないサロベツ原生花園を一周しました。
(サロベツ原生花園)
(原生花園を一周)

草原と悪口を言われながらも、エゾニューやヤナギラン、エゾチドリ、クロバナロウゲ、モウセンゴケ、タチギボウシなど色々な花を楽しむことができた。
(エゾニューとヤナギラン)
(エゾソチドリ)

帰りはまた港に立ち寄って稚内センタで海産物のお土産を買い込み、近くのレストランで海鮮料理を賞味して稚内空港に向かった。空港で撮った写真に、8年前に既に多くの風車発電機が並んでるのを見つけて驚かされた。
(稚内の風車群)

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