T42 カタクリ探訪

1.動 機
そろそろカタクリの花を見たくなり、どこに行こうかと遠くの山を思案している時に、下山先生から「世間に知られていないカタクリの群生地が花盛りだよ」と地図付の情報が入ってきた。緒川村と御前山との境界近くで、1時間もあれば行けそうなので早速出かけてみた。綺麗なカタクリと一緒にキクザキイチゲやアズマイチゲも咲いていて、ここだけで花には大満足だったが、足のほうは歩き足りなく満足しない。花を眺めた後に茨城の植林の山を歩く気分にはなれず、一日カタクリ三昧をしようと決め、少し足を伸ばして栃木に入り、馬頭花の名刹乾徳寺のせせらぎの小道と、小川町のカタクリ山を歩いてきた。

2.データ
a)山域:那賀カタクリ群生地、乾徳寺、小川町カタクリ山
b)登山日:2006/04/03(月)晴
c)コースタイム:
日立自宅 9:45 = 10:40那賀カタクリ群生地 10:55 = 11:25 乾徳寺 11:40 ---- 11:50 カタクリ山14:50 = 16:30 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000「野口(北東)」、「馬頭(北西)」、「佐久山(南東)」

3.記 録 
a)那賀のカタクリ
R293を走って常陸大宮を過ぎて北塩子あたりで、マナゴルフクラブの導標で細い道に左折した。県道12号にぶっつかって右折、しばらく走ったところで散歩中のおじいさんにカタクリ群生地の場所を聞いた。「カタクリ?馬頭のかい?」「いえいえ、この近くにカタクリが咲いていると聞いてきた」というと、「白い花がこの先300mの左手に咲いていたがね。カタクリが咲いている?」。どうも土地の人にはカタクリなどあまり興味は無いことらしい。
300m走ると、左手の畑に白い花が咲いているのが車中からも見えたので、脇道の入口に駐車した。道傍の畑跡のようなところを杭で簡単に仕切ってあり、紫のカタクリと白いキクザキイチゲやアズマイチゲが咲いていた。カメラを出してシャッタを押し捲る。水戸Noの車が来て、大きなカメラを持った男性が降りてきて、三脚を構えて撮影を始めた。
奥の斜面にはカタクリが群生しているのが見え、脇道に入ってみると、こちらの斜面にも小川越しにカタクリの群生が見えていた。小川を渡る危なげな仮橋を渡ると、こちらには踏み跡の遊歩道が幾筋もできており「カタクリを取らないください」の立札がたっていた。斜面には囲いも無く自然のままの大事に育てられているのだろうカタクリが咲き誇っており、陽に当たって素晴らしい眺めだった。囲いの無いカタクリには久しぶりに出会って嬉しくなった。

b)乾徳寺
県道12号とR293で馬頭の市街に入って、役場の駐車場に車を止めて、乾徳寺の境内に向かったが、乾徳寺の駐車場も用意されていた。門前に戦国時代にここを治めた歌人でもある武茂泰宗の像があり、八溝七福神と境内のせせらぎの小道の大きな案内図がたっていた。ショウジョウバカマ、カタクリ、ニリンソウなど沢山の花が咲く花の名刹であることを示していた。
境内に入ると、八角堂の前にニリンソウとレンゲソウが咲いていた。生まれ故郷の田舎では田圃一面に咲いていたレンゲソウが数輪静かに咲いていると新鮮に見えた。立派な本殿の奥の遊歩道をショウジョウバカマやワサビなどの花を愛でながら入ると龍ケ沢池があり、周りに大きな楓の木があって秋には綺麗な紅葉が楽しめそうだった。その奥にミズバショウの群生地があり、みずみずしい花が咲いていた。さらに200mも入るとカタクリの群生地があって、満開の花は大きめに見えたが、那賀の群生地で感動したすぐ後なのでそれほど感動は無い。

c)小川カタクリ山
馬頭道の駅からR293を西送、那珂川の橋を渡ってR294を交差して通り過ぎたあたりに「カタクリの山」の立札が現れ、続く「カタクリの山駐車場」の導標に従って地方道に入ってなんども角を曲がって駐車場に着いた。平日なのに満車近い駐車場の中を大勢の係員に誘導され、500円の駐車料金を払って駐車した。春休みなので高校生のアルバイトが元気に大きな声を上げていた。 まずは「カタクリ山へ」の案内に従う。広い木道を進むと、すぐに紫のカタクリが見えてきた。木道の両側にロープを張ってあるので少々味気ないが、紫のじゅうたんのようにどこまでも続くカタクリの花の眺めもまたいいものだ。監視員が来て、「白い花が一つ咲いているよ」と教えてくれたが、5mも離れているので小さくしか見えない。もちろんシャッタも押したが、望遠レンズがないと見世物にはならない。
カタクリ群生地を登りきると展望塔の高台に出た。那須や日光の雪山が見えるかと登ろうとしたが、階段口が閉鎖されて「壊れているので登れません」の表示があった。込み合う時は何が起こるか分からないので使用禁止にしたのだろうと思ったが、乗り越えるのはやめにした。
ここから「ミズバショウの群生地」の導標に従って坂道を下った。この下り道は斜面をトラバース気味についているので、カタクリのアップ写真を撮るのに好都合だった。大勢の人が三脚を構えたりしながら写真を撮っている。ポイントを探していると、下から上がってくる高い声で話している人の顔を見てびっくりした。ヨーロッパアルプスに同行した写真の好きな鈴木さんだった。今日も知人夫妻と同行して撮影指導中だったので、近況報告だけして別れた。
下ったところの沢筋にミズバショウの白い花が見えてきた。咲いたばかりのような新鮮な白い色が気持ちよかった。沢筋に下ると群生地になり、立ち止まる人も多くなった。少し上の斜面には小さな池があり、ここにもミズバショウが群生していた。
沢から出て広い道をザゼンソウの道標に従って左に曲がり、500mも歩くと右下の沢にザゼンソウ園の遊歩道が見えてきた。ザゼンソウはもうほとんど大きな緑の葉を広げていたが、中にはまだザゼンソウの姿をとどめる株も多くあり、写真を撮りながら一周した。
来た道を引き返して、小さな駐車場のところに分岐があり、ここからショウジョウバカマの群生地が始まった。一昨年の2月にザゼンソウを求めてここを訪れたときには、一面のショウジョウバカマの葉っぱだけを眺めて、見事な花の情景を想像しただけだった。目の前に広がるピンクの花火のような花は素晴らしかった。



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