T62 安達太良塩沢コース

1.動 機
62会の6月例会としての、重いザックを背負って安達太良を歩く体験登山計画が天候不順のためお流れになった。梅雨入りの中、一日だけの好天予報を睨んで、このコースを歩こうと下山先生と小佐野さんから声がかかった。塩沢コースはまだ歩いたことがなかったので、楽しみにして参加した。曇天で展望は開けず、花はまだ咲き始めの時期だったが、塩沢コースは、スリリングな沢沿いの崖渡りや渡渉、連続する豪快な滝と変化が多く、期待以上に面白い山行を楽しむことができた。
(安達太良登山ルート)

2.データ
a)山域:安達太良山(1700m)
b)登山日:2006/06/10(土)曇
c)コースタイム:
日立自宅 5:25 = 5:50日立北IC = 6:20湯ノ岳PA 6:30 = 6:50小野IC = 7:00三春PA 7:10 = 7:20本宮IC = 7:50塩沢スキー場8:00 = 8:15あだたら高原スキー場8:20 ---- 9:05リフト降場 9:15 ---- 9:50 薬師岳 10:00 ---- 11:05 安達太良山(昼食)11:55 ---- 12:15 峰ノ辻 ---- 12:40 くろがね小屋12:50 ---- 13:45 八幡滝13:50 ---- 14:00 屏風岩14:20 ---- 14:30 三階滝14:45 ---- 15:15 金剛清水 ---- 15:25 塩沢スキー場15:30 = 15:40あだたら高原スキー場16:30 = 16:55二本松IC = 17:00安達太良PA 17:10 = 18:00いわき三和IC = 18:25日立北IC = 19:00 日立自宅
d)同行者:下山、小佐野、和子
e)地形図:1/25000「安達太良山」

3.記 録 
湯ノ岳PAに集合して、定刻の6時半に出発し、我家だけ通勤割引のため途中小野ICに途中出場して、三春PAに再集合、本宮ICで降りて、R4とR459で塩沢温泉スキー場の駐車場に入った。ここに下山車と小佐野車を置いて、川本車であだたら高原スキー場の駐車場に移動した。今日は土曜日なので、リフト運転前なのに多くの車が入っていた。
(ゴンドラ運休でスキー場を歩いて登る)
身支度を整えてゴンドラ乗り場に行くと、係員が「今日は強風のためゴンドラは運転できません」と言っている。「待っていれば運転始まるか」と聞いても、「山頂は風が強いです」とだけ。ここからゴンドラの上駅までは標高差400m、コースタイムで1時間以上かかる。予定外のスキー場歩きはきついが止むを得ない。
覚悟して歩き始めると、地元らしき人たちが何組も降りてくるのに出合った。朝早くからやってきて、ネマガリ筍を収穫して帰るところで、大きな荷物を背負ったりぶら下げたり、みんな満足そうだった。
スキー場の斜面は意外にきつかったが、スズラン、マイズルソウ、ツマトリソウが群落を作って白い花を咲かせていた。 上部のスキー場に上がってからはリフトの間に入って登ると、斜面にはみずみずしいフキがいっぱい生えているし、両側の笹薮には太くて美味しそうなネマガリ筍が芽を出していた。下りならいっぱい収穫して帰りたいところだが、今から荷物を重くするわけにはいかない。数本を採って味わいながら歩いた。下山先生は昼のスープの実にするといって少し収穫していた。
(安達太良山頂は雲の中)
45分歩いてリフト降り場まで登りつくと、ゴンドラが運転されているのが見えた。ここから下るには登りすぎていたので、ゴンドラを恨めしく眺めながら五葉松平までの急坂を攀じ登った。振り返ると向かいの山の雪渓の近くに落差のある滝が白く見えた。展望が開けると、福島の盆地の向こうに阿武隈の山々が並んでいた。五葉松平になると道の傾斜はゆるくなって楽になり、そこかしこにイワカガミがピンクの花をつけて目を楽しませてくれた。
やがて、鐘の音や人の話し声が聞こえてきて、薬師岳山頂だった。安達太良山頂は残念ながら雲の中。標柱の前で一休みしていると、動き始めたゴンドラで上がってきた人たちが大勢通り過ぎていった。ハンドバック方手のご婦人もいた。
山頂への木道を歩き始めると、後から幼い子供連れの集団がついてくる。こちらも結構なペースで歩いている積りだが、どこまでも賑やかな声が追いかけてきて、追い立てられている感じがして疲れたが、母親が疲れてきて休んでくれたのでほっとした。木道を過ぎると、周りの潅木の中に丸裸に近いコシアブラが見え始め、里ではとっくに適期を過ぎたのに、ここではまだ若々しくて数人の団体が収穫に余念がなかった。こちらも連られて少し収穫した。登山道脇にはムラサキヤシオが華やかな花を咲かせており、ミネズオウが雪を散りばめたように咲いていた。
(強風の安達太良山頂にて)
山頂下の広場にザックを置いて山頂まで往復した。山頂の風はものすごく、展望が開けるのを待つ余裕はなく、証拠写真を撮ってすぐに下りた。証拠写真の撮りっこをしたとき、シャッタを押す足元がふらふらして困った。山頂には、イワカガミのほかに、コメバツガザクラが咲いていて珍しかった。
山頂下の岩陰で、目の前の和尚山を眺めながら昼食をとった。先生が作ったネマガリ筍とコシアブラの入ったスープを味わったが、早春の風味があって旨かった。
予定通り塩沢温泉へ下ることなったが、展望も期待できそうにないので馬の背の尾根を歩くのはやめにした。直接峰ノ辻に下り、くろがね小屋でトイレ休憩をした。
奥岳への道を下り、途中から塩沢温泉への道が湯川沿いに分かれていった。始めは普通の登山道で、ごろ石の多い足元が歩きにくい程度だったが、丸太で出来た橋で沢を渡ったあたりから様相が変わってきた。沢の両岸が急斜面になっていて、まともな道はなく、岩場をわずかな足場を頼りにトラバースする難儀な道だ。鎖やロープは設置されているが、足を滑らした時には頼りになりそうにはない。。先生は迷う素振りもなくどんどん進んでいく。よくもこんな道を知り尽くしているものだ。
(頼りない橋を何度も渡る)
(滑り落ちそうな崖を渡る)

(美しい水しぶきの八幡滝)
壊れそうな橋を何度も渡り、急斜面の歩行を繰り返して、やっと八幡滝の前にたどり着いた。幅も広く落差もあり、豊富な水量が岩を打ちながら流れ落ちる様は見事だった。滝の上に一人のカメラマンが三脚を構えて盛んにシャッタを押していて、写真を撮るのに少し邪魔だが、やむをえない。先生は、この滝の上に上がり霧降滝を通って僧悟台まで沢登りをしたことがあるというが、随分怖いコースのようだ。
「休憩するには、ここより屏風岩の上の方が気分がいいよ」と言われて次に向かった。また怖い急斜面のトラバースをこなして「屏風岩」の標柱のところから、脇道に入った。屏風岩は一枚岩のようだが、上面はいくつもの岩が重なったような形になっていた。真下に美しい相恋ノ滝が見下ろせ、周りの若葉とマッチして美しかったが、先生は「紅葉の季節は最高だよ」とおっしゃる。若葉でも十分に満足しているのだが、もっと綺麗だと言う。また来るようだ。
屏風岩の上で大休止して、「次は三階滝のそばを歩くか、上を通過するか」の問いに、深く考えもせずに「三階滝を見たい」と答えたが、追加にしてはとんでもなく難儀なコースを歩くことになった。三階滝への分岐は「屏風岩」の標柱のところに戻ってからすぐだったが、ここから足場の頼りない急坂をロープや梯子を使ったりしながら100m近く下った。後でこの下った分だけ登り返さなければならないのだと思うとぞっとする。
(展望良好な屏風岩)
(屏風岩から相恋滝)
(三階滝の三階部分)
まず滝の上に出て滔々と流れ落ちる様を眺め、滝の脇の崖を下って滝壺の脇からまた滝を見上げた。崖の間を流れ落ちる豪快な滝だった。展望所の近くの笹薮に太いネマガリ筍が何本も出ていて、有難く収穫した。この三階滝コースは人があまり歩かないようで、この先の登山道脇でもところどころで収穫できて嬉しかった。ここから登り返すのかと思っていたら「三階滝は三段になっており、もう2段下る」と言われて、三階滝が三階建ての意味であることを初めて知った。急な崖の下りはきつかったが、残りの二つの滝も見事な滝で、アクセスに苦労する価値は十ニ分にあった。
(三階滝のニ階部分)
(三階滝の一階部分)
最後の滝のところから、沢を石伝いに渡ってから登山道まで登り返したが、この沢の上にも霧降の滝のような綺麗な滝が見えていた。さしもの塩沢コースも、金剛清水あたりからは傾斜は緩やかになったが、深く掘れた道はぬかるんでいて歩きにくく、靴やズボンは泥だらけになった。
塩沢スキー場の駐車場まで歩いて、あだたら高原スキー場の駐車場まで送っていただいて、ここで解散になった。帰りの道路わきにフキが茂っていたので、登りのスキー場で収穫できなかった分を、ここで少し収穫した。帰る頃には展望が利くようになり、二本松ICへの道の途中から振り返ると、安達太良の山々が綺麗に見えていた。
(霧降の滝まがい)
(麓から安達太良山を振り返る)

4.安達太良で出会った花達 
(イワカガミ)
(ウラジロヨウラク)
(コメバツガザクラ)
(ショウジョウバカマ)
(スズラン)
(ツマトリソウ)
(マイヅルソウ)
(ミネズオウ)
(ムシカリ)
(ムラサキヤシオ)



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