U67.久弥の百名山・恵那山

1.動 機

HESCOOBの亀楽会から「恵那山」の案内が来た。恵那山は日本百名山の一座らしいが、山名は聞いたことがあるが、どこにある山かも知らなかった。黒井沢登山口から登って、いつものように山中の避難小屋で一泊してから往路を降りてくる計画だった。梅雨の季節、重いザックを背負っての雨中山行になることが心配だったが、新年会以来ご無沙汰している亀楽会の方々と会えるのも楽しみで参加申込みした。
地形図を睨んだ時には、1000mの高度差があるが、なだらかな登りが続いて比較的楽な登山だと踏んでいたのだが、石くれの登山道が歩きにくい上に、高巻きの小さな起伏が数え切れないほど続いて、なかなか手強い山だった。
(中央道からの恵那山の山容)

2.データ

a)山域:恵那山(2190m)
b)登山日:2007/06/23(土)晴れ後曇、24(日)小雨
c)コースタイ
一日目
森山自宅5:50 ---- 6:05大甕駅6:11 = 6:21日立駅6:25 = 6:40日立中央IC = 7:25守谷SA7:35 = 8:55高井戸料金所 = 9:35談合坂SA9:45 = ---- 10:55諏訪湖SA11:05 ---- 12:05中津川IC ---- 12:45黒井沢登山口(昼食)13:15 ---- 13:55営林署小屋14:00 ---- 15:05野熊の池避難小屋15:20 ---- 15:50展望地15:55 ---- 17:00水場17:05 ---- 17:30恵那山山頂避難小屋17:35 ---- 17:40恵那山山頂17:50 ---- 17:55恵那山山頂避難小屋
二日目
恵那山山頂避難小屋5:45 ---- 7:05野熊の池避難小屋7:15 ---- 8:10営林署小屋 ---- 8:45黒井沢登山口9:00 = 9:40中津川IC = 10:45諏訪湖SA(入浴・昼食)12:00 = 圏央道 = 13:50三芳PA14:00 = 14:40守谷SA14:45 = 15:40日立南IC = 16:00森山自宅
d)同行者:亀楽会員7名、和子
e)地形図:1/25000 「中津川」「美濃焼山
(恵那山黒井沢ルート)


3.山行記録

大甕駅6時11分発の電車に乗って、亀楽会の2人と日立駅に着くと、車2台と皆さん全員お待ちだった。挨拶してすぐに2台の乗用車に分乗して出発した。今日の走行距離は450km以上あるらしい、運転者は大変だ。日立中央ICで常磐道に乗って守谷SAで休憩するまでは順調だったが、首都高に入ると予想通り大渋滞、高井戸まで1時間半もかかってしまった。談合坂で運転者の交代になった、私は歳を考えて静かにしていた。
今日は思い掛けす天気が良くなって、車窓からの山々の展望が素晴らしかった。富士山、南アルプス、八ケ岳とここまでは今まで何回も眺めた光景だったが、諏訪湖SAで休憩して南に向かって走ると、右手に中央アルプス、左手に南アルプスが見え始めた。南アルプスを西側から眺めるのははじめての経験、仙丈ケ岳が堂々としていた。
(西から眺めた仙丈ケ岳)

恵那山トンネルを過ぎると、左手に恵那山が見え始めた。なかなか堂々とした山容だった。R16toR363から中津川沿いの恵那山林道に入ると、途中からダートな細い曲がりくねった道になった。慎重に運転して12時45分に黒井沢登山口に到着すると、駐車場には10台ぐらいの車が停まっていた。車は登山だけではなくて、食事をして身支度をしている間に、釣りや山菜採りの人が帰ってきて車で帰っていった。

ゲートを潜って広い道を歩いていった。100m歩いた先でコンクリートの橋を渡ると登山道らしくなった。
初めは気楽に歩いていたが、道は段々と細くでこぼこ道になり、石伝いや滑りやすい苔むした橋で沢を何回も渡った。


40分歩いて汗ばんだところに小屋があり、その前で一休みした。東濃森林管理署の休憩小屋で、トタン作りで扉や窓が壊れたままなので、雨宿りがせいぜいだろう。
何度か沢を渡ったり、水が流れる沢のような登山道を歩いたりして、更に1時間登った笹道に「野熊の池避難小屋」の道標があって、真新しい小さな小屋の前で休憩した。

避難小屋を過ぎたところに美しい野熊の池があり、出口の沢からは綺麗な水が流れ出していて、安心して飲み水として使えそうだった。ザック軽量化のために今夜と明日の水を持っていない私は、ここで補充していこうかと思ったが、「もっと上にも水場があるよ」と教えられて、写真を撮っただけでそのまま通り過ぎた。
カラマツ林を過ぎて更に登ったところから恵那山の山頂がわずかに見えたが、すぐにまた見えなくなった。やがて1992m峰への登りの途中で左手に南アルプスが見えてきたが、いつも見ていた東側からの配列と違っているし、ガスがかかってはっきりしないので山名同定はままならない。
ピークを少し下がったところからトラバース道になりまた荒れてきた。岩くれの道の上に、登山道の作りがしょっちゅう高巻きを繰り返すように作ってあるので、細かく立ててある道標の示す距離を500m縮めるのがとてつもなく長く感じられた。そのうえ、道標に山頂までの距離と避難小屋までの距離を示す2種類があり、「山頂避難小屋まであと1km」の次に「山頂まであと1.5km」の道標が出てくるのには英気を損なわされた。会員の一人が足に異常をきたし、恵那山山頂踏破を諦めて野熊の池避難小屋で寝ると言って引き返したが、登山道の出来の悪さのせいだと思われた。
その上、この山にはブヨがとてつもなく多い。払っても払っても顔や腕にまとわりついてくる。防虫剤も持参しなかった我家の苦境を見かねて、貸していただいたハッカ油をつけてしばらくは楽になったが、すぐにまた攻撃してくる。これも山行を辛くさせた大きな要因だった。我家に帰った翌朝、足や腕に赤い斑点がいっぱいついていて痒くてたまらない。和子は目の上下を刺されたようで、可愛そうな顔つきになっている。
山頂まで0.3kmのところに水場があり、パイプから冷たい水がたっぷりと流れ出ていた。顔を洗うとしたが、冷たさですぐに痺れてきた。ここでポリタンクにたっぷり水を入れて山頂小屋に向かった。

トラバース道は大木に突き当たるごとに高巻きを繰り返す。

水場には冷たい美味しい水が豊富に流れ出していた。

水場から避難小屋までも岩だらけの歩きにくい道が続き、300mが長かった。小屋に入ると先客が3人で食事中だった。ザックを置いて、すぐ近くの山頂まで歩いた。途中、富士社、葛城社、恵那神社本社という三体の真新しい社が建っていた。山頂には一等三角点と山頂標があり、周りは樹木で囲まれている。3mほどの新しい展望台が建っており、登ってみたがガスがかかって残念ながら展望はゼロだった。百名山山頂に立った感激が沸いてこない。山頂標の前で集合写真と各自の証拠写真を撮って避難小屋に下った。

(山頂避難小屋)

(山頂の展望台)

岩っぽいでこぼこの道を足元を気にしながら歩いたので、花はあまり楽しめなかったが、下に写真をつけた珍しいコケイランやオサバグサ、三つ葉や五つ葉のオウレンの他にも、クルマムグラ、マイヅルソウ、ミヤマカタバミ、コイワカガミ、オオカメノキなど色々と咲いていた。日陰での撮影のうえ、一生懸命に皆さんの後を追って歩きながらのシャッタを押すので、ほとんどの花写真は手ぶれした。
(コケイラン・ササエビネ)
(オサバグサ)
(五つ葉のバイカオウレン)
(三つ葉のミツバオウレン)

山の話に花を咲かせながら賑やかに夕食を頂いたが、今回はいつもの酒豪が参加していないので、話は静かに続いた。小屋は11人には十分に広く、また気密も十分で朝まで暖かかったのでゆっくりと眠れた。、
朝4時半ごろ目覚めると空は明るく、今日も良い天気になるかと期待させた。小屋の後ろの岩頭に登って、雲海と南アルプスの景観を楽しんだ。
(朝、小屋の裏の岩場から南アルプスと雲海が綺麗だった)

朝食をとっている間にチラチラと始まり、6時前にはパラパラと降り始め、ザックカバーをして歩き始めた。下りは登りよりも楽だが、石くれの道はやはり歩きにくい。皆さんは歩きなれているので、石の頭をひょいひょいと拾いながら、普通の道と違わないペースで談笑しながら下っていく。その後を足元を気にしながら必死に追いかけたが、段々と間があいてきた。下りでも汗をかいた。
今日も登ってくる人に何人にも出合ったが、昨日登れた我々は展望は十分ではなかったがまだ幸せだったのだと思いなおした。それでも、やはり2度と登りたいと思える山ではなかった。天候のせいもあるが、久弥さんがこの山を百名山の一つに選んだのに合点がいかなかった。
登山口に下りついたころ雨が少し強くなってきたので、着替えを休憩小屋の中でして9時に出発した。市内でガソリンを満タンにして、中津川ICで中央道に乗り、諏訪湖SAの日帰り温泉で汗を流して気持ちよくなり、レストランで美味しい昼食で満腹になった。
帰りは前日23日の15時に開通したばかりの八王子JCTで圏央道に曲がり、関越道、外環道と走ったので、都内の渋滞に悩まされることなく、16時前に日立南ICを降りる出来た。長時間の運転でお疲れにもかかわらず、我家まで横付けしてもらって、雨の中本当にありがたかった。




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