U102.展望の浅草岳

1.動 機
浅草岳には4年前に常北山岳会ファミリー登山に参加して越後側から登る予定だったが、生憎の雨で山頂まで登れなかった。それ以来、毎年登山計画に入れてきたが、アクセスに時間がかかり、ルートも結構きつそうなので、ついつい一年延ばしにしていた。三連休初めの2日間の天気予報が好天になったので、いよいよ念願の浅草岳に挑戦することにした。
前日、大博多山に登って、只見駅に車中泊、朝一番のJRで田子倉駅に移動して田子倉登山口から登り、入叶津登山口に下った。好天に恵まれ、素晴らしい展望を楽しむことができた。

(浅草岳山頂での証拠写真)


2.データ
a)山域:浅草岳(1586m)
b)登山日:2007/10/07(日)晴一時曇
c)コースタイム: 
只見駅 5:48 = 6:01 田子倉駅 ---- 6:05 只見沢橋 6:15 ---- 7:00 大久保沢 ---- 7:40 田子倉眺め ---- 8:10 剣ケ峰 ---- 8:25 鬼ケ面眺め ---- 9:55 浅草岳(昼食)10:50 ---- 11:20 避難小屋 ---- 12:30 沼の平分岐 12:50 ---- 13:20 山神ノ杉 ---- 13:55 入叶津登山口 ---- 14:15 入叶津集落 14:20 =(タクシ)= 14:30 只見駅15:00 = 15:35 きらら289(入浴・夕食)17:00 = 17:40 道の駅たじま = 18:50上三依 = 22:00 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「守門岳」「只見」「毛猛山」「田子倉湖」
(浅草岳登山ルート:田子倉から入叶津へ)

3.山行記録
只見駅の駐車場で車中泊して4時半起床、山歩きの身だしなみを整えて、お湯を沸かして朝食の準備をしていると時間はあっという間に過ぎていく。朝食もそこそこに駅舎に入ると、ベテラン風情の女性トリオが電車を待っていた。同じコースを歩かれるらしいが、大きなザックを背負っていた。駅員に促されてプラットホームで待っていた朝一番5時48分始発の電車に乗ると、電車は田子倉駅までほとんどトンネルの中を走った。
田子倉駅は無人駅、長いコンクリートの階段を登って行くと、まるで地下鉄から外に出るような気分になった。外に出るとそこは国道、向こうに朝日を浴びた岩山が見えていた。今日は上天気だ。万歳!
国道を5分も歩くと只見橋の手前で右に分かれる分岐があり、「浅草岳登山口」の道標が立っていた。女性トリオは登山口に向かってどんどん歩いていったが、ポケナビの初期調整をしながら田子倉湖を下に眺めた。釣り人らしい船が波頭を立てていた。
(地下駅のような田子倉駅)
(R252からの分岐点)

分岐に入ると左手対岸に無料休憩所があり、その後で線路はまたトンネルの中に消えていた。5分歩いたところが広い駐車場になっていて、車中泊らしい数台の車が停まっていて食事をしたり、登山の準備をしたりしていた。その上に浅草岳が綺麗に見えていたが、これから登るのかと思うと随分高く見えた。
(登山口の広場:浅草岳が大きい)

はじめ只見沢沿いのなだらかな道を歩く。下草は綺麗に刈り払われていて気持ちが良い。何度か木の橋を渡り、ブナの巨木が立ち並ぶ森の中を気持ち良く歩いていった。
(沢には橋が)
(ブナの森の中)

最後の大久保沢を渡ると急登になってきた。「熊の爪跡」の看板がかかったブナの木に、大きな爪跡が残っていて、思わずザックにぶら下げた鈴を確かめた。
(沢を過ぎると急登)
(熊の爪跡)

急登は続くが、昨日の大博多山の急坂ほどではない。それに後を振り返れば、田子倉湖が見え、会津の山々が雲海に浮かんでいて、気分を和ませてくれる。「田子倉眺め」という立札が立っているところからの眺めは特に良かった。それでも、今日は天気がいいのでだんだんと気温が上がってきて、背中も焼かれるので汗をかいてくる。剣ケ峰までの600mの登りは長かった。我家はデイバッグで歩いているのでまだ楽だったが、重いザックを担いだ女性トリオは途中で座り込んでいた。

(田子倉湖、雲海、会津の山々)

やがて浅草岳も見えてきだし、岩っぽくなった道を剣ケ峰まで頑張ると、鬼ケ面の大岩壁が真正面に広がっていた。その圧倒的な連なりに感動を覚えた。「鬼ケ面眺め」の立札が立っている岩場から、何枚もシャッタを押した。追いついてきた単独行の男性にツーショットのシャッタを押してもらった。
(鬼ヶ面眺めからの浅草岳)
(鬼ヶ面眺めからの岩峰群展望)
(浅草岳中腹からの鬼ヶ面岩壁の展望拡大)

一旦少し下ってから先は、浅草岳の山頂まで急坂の連続になった。ジグザグに登っていくので、一つの曲がりごとに田子倉湖、鬼ケ面山の大岩壁、緑に聳える浅草岳、と刻々と眺めが変わってきて飽きることがなかった。
ロープ場や岩場をこなして登っていくと、燧の双耳峰や中ノ岳、越後駒、八海山の越後三山も頭を出してきた。
(急登や岩場もあった)
(鬼ケ面の上に越後三山)

山頂に近付くと賑やかな話し声が聞こえ、前岳の上に大勢の登山者が見えた。田子倉コースから登る人は少なかったが、越後側から登ってくる人はやたら多いようだ。静かだった浅草岳がいっぺんに賑やかになった。
山頂に登るとほとんど360°の大展望だった。眼下の前岳あたりは、草紅葉が始まっていて綺麗だった。証拠写真を撮ってから、地図を出して山座同定を楽しんだ。
(山頂付近から紅葉始めの前山:越後側から大勢の登山者が現れた)

東から南にかけては、那須−七ケ岳−荒海山−会津朝日−高原山−三岩岳−会津駒−燧−至仏−平ケ岳と知っている山が連なっていた。(パノラマ写真は合成作業で遠景が霞んでしまった)
(山頂からのパノラマ:南東方向)

南方向には手前に鬼ヶ面山−前岳の岩壁、遠方に中ノ岳−越後駒ケ岳−八海山−守門岳と越後の山々が連なっていた。
(山頂からのパノラマ:南方向)

山頂は賑やか過ぎるので、少し北に下った蒲生岳が見えるところまで歩いて、北の山々を眺めながら昼食をとった。粟ケ岳−矢筈岳−御神楽岳−志津倉岳などが並んで見えていた。
食事を終えて下ると、すぐに木道が敷かれた草原に入った。天狗の遊び場というところで、草紅葉が始まっていて綺麗だった。草原を下りきると避難小屋に着いたが、小屋の扉はロープで固定されて閉鎖されていた。今年の雪で被害を受けて使用禁止になり、そのままになっているようだった。
(天狗の遊び場)

小屋を過ぎると湿原になり、イワイチョウやコバイケイソウの姿があり、初夏には綺麗なところのようだった。湿原の端に水場があり、ここを過ぎたあたりから、登ってくる人に何度も出会うことになった。距離は長いが傾斜が緩やかだからか、この入叶津ルートを歩く登山者も結構多いようだ。「もう下りですか。早いですねえ」と挨拶されたが、随分下ってからも、息を切らしながら登る人もいて、これで山頂まで登れるのかと心配なグループもあった。
やがて道は平坦になり、ブナの原生林の中を歩く気持ちの良い尾根歩きになった。途中、沼ノ平への分岐があったが、「登山道崩落により通行止め」の看板で閉鎖されていた。
(ブナ林の中の気持ち良い登山道)
(沼ノ平ルートは通行止め)

すだれ岩の上の尾根までは平坦な道を歩いたが、平石山の道標のところから下り坂が急になり、沼ノ平の一方の分岐点の山神杉まで、狭いトラバース道になったり、滑りやすい泥道になったり、気を使ういやらしい道が続いた。
山神杉のところで、沼ノ平の方から重そうなザックを背負った男の人が現れた。入叶津部落の人で、ザックの中身はキノコだそうだ。後を追いかけるように一緒に下ってみたが、小柄な身体で重いザックを背負っているのに足はやけに速かった。
お陰で登山口には予定よりも早く降り立ったが、ここでは携帯が圏外でタクシを呼べない。民家のある入叶津まで国道を1kmばかり歩いたが、ここでも圏外だったので、庭先で手仕事中の奥さんに自宅の電話でタクシーを呼んでもらった。
(平石山からは少しいやらしい道)
(入叶津登山口の広い駐車場)

タクシーはすぐに来てくれて、只見駅に戻って帰り支度にかかった。朝あわただしく出発したので、車の中は朝起き出した時のままだった。色々とやっていると出発までに30分もかかってしまった。
帰途、R401からR289に入り、日帰り温泉きらら289に立ち寄って汗を流して早めの夕食をとった。田島の町に入ってR121に曲がり、道の駅まで来ると大渋滞が始まり、ここから上三依まで10kmを1時間以上もかかってしまった。上三依の手前が工事で片側通行になっており、機械的な信号切り替えなので、下りはスイスイだが、行楽帰りで混雑する上りだけが渋滞していたのだ。信号機も頭が良くなって欲しいものだ。
上三依からは塩原にも特に混雑することなく、道の駅で休みながら3時間ほどで日立に帰ってきた。




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