U111.会越国境の山・御神楽岳

1.動 機
御神楽岳は新潟県と福島県の境にあって、魅力的な名前を持った山だが、ヤマケイ分県登山ガイド(福島)では、その手前の本名御神楽まででも三ツ星マークが付いて、体力を要し経験者向きだとある。恐れをなして、なかなか登れないでいたのだが、亀楽会で避難小屋一泊で出かける計画のお誘いがあり、やっと念願が適う事になった。予想通り登り甲斐のあるきつい山だったが、楽しい亀楽会の人たちに助けられ、お天気も半分良好で、素晴らしい展望と真っ盛りの黄葉を堪能することが出来た。
(本名御神楽から仰ぐ御神楽岳)


2.データ
a)山域:本名御神楽(1266m)、御神楽岳(1387m)
b)登山日:2007/11/03(土)曇後晴、11/04(日)雨後曇

(御神楽岳登山ルート)

c)コースタイム: 
11月3日:日立自宅 6:10 = 6:25 日立駅前 6:30 = 6:45 日立中央IC = 8:00 磐梯山SA 8:20 = 8:45会津坂下IC = 9:50 大鍋又沢出合 10:10 ---- 10:20 登山口 ---- 10:35 八乙女滝 ---- 11:05 八丁洗板(昼食)11:15 ---- 11:50 尾根 12:00 ---- 12:30 杉山ケ崎 12:35 ---- 13:20 避難小屋 14:20 ---- 14:35 本名御神楽 15:00 ---- 15:15 避難小屋 15:20 ---- 15:30 水場 15:35 ---- 15:50 避難小屋(泊)
11月4日:避難小屋 7:15 ---- 7:30 本名御神楽 ---- 8:15 御神楽岳 8:25 ---- 9:00 本名御神楽分岐 ---- 9:15 避難小屋 9:30 ---- 10:05 杉山ケ崎 10:15 ---- 11:05 鞍掛沢(昼食)11:25 ---- 12:10 登山口 ---- 12:20 大鍋又沢出合 12:40 = 13:10 湯倉温泉 13:50 = 14:20 道の駅 14:30 = 14:40 そばや 15:25 = 15:45 会津坂下 = 阿武隈高原SA = 日立北IC = 18:30 日立自宅
d)同行者:亀楽会会員5、和子
e)地形図:1/25000 「狢ケ森山」「御神楽岳」

3.山行記録
1日目:早めの朝食をとって自宅をマイカーで出発、日立駅前で参加者7名が6時30分に集合し、2台の車に分乗して日立中央ICで高速に乗り、磐梯山SAで再集合した。8時45分に会津坂下ICで高速を下り、R252で金山町に入り、本名ダムのところから霧来沢沿いの林道に入って、10時前に大鍋又沢出合のところに到着して、ここにあった広場に駐車した。我々が準備している間に、5人の先客が沢登りの出で立ちで大鍋沢方向に歩いていった。
身支度を整えて、10時10分に霧来沢沿いの林道を歩き始めた。300mも歩くと登山カードのポストと登山口の看板があり、「頂上まで5.9km、3時間30分」の表示があった。駐車場所があり数台の車が停まっていて、ここから登山道が始まった。
(霧来沢沿いの林道をスタート)
(10分で登山道に入る)

沢沿いの道は泥濘が多く、靴をドロンコにしながら15分も歩くと綺麗な滝が見えてきた。道はここから崖を高巻く登りになり、滝を上からも見下ろすことが出来た。紅葉越しの滝が綺麗だった。登り切ったところから10mほどの岩場の下りになり、太くて重い鎖が取り付けてあった。ここからはミズナラやトチの黄葉が綺麗な道が続くが、何箇所か岩場をへつりながらトラバースするところもあっり、小さな岩場を上り下りしたりしながら進み、鞍掛沢を渡ったところに「八丁洗板」の看板があった。平らな道なのに「坂」とはおかしいと思ったら「板」だった。霧来沢川床が洗濯板の様に波打って滑滝になっているから付いた名前のようだった。川向かいの日尊の倉山のスラブと周りの黄葉とのコントラストも綺麗だった。ここで10分の休憩になった。
(紅葉に彩られた八乙女の滝)
(八丁洗板は滑滝が続く)

ここから道は沢から離れてだんだんと傾斜を増してきて、ジグザグに登る急登になってきた。周りの黄葉や後の日尊の倉山のスラブが目を楽しませてくれるが、杉山ケ崎までの急登はきつく汗を搾られた。途中一度休憩を取った。、杉山ケ崎に看板には、「頂上まで2.6km、登山口まで3.3km、本名御神楽まで1.4km」の表示があった。
(急登に汗を搾られる)
(杉山ケ崎まで登ってやっと一息)

杉山ケ崎からは小さなアップダウンを繰り返すなだらかな道が続き、左手に大スラブ、右手前方に本名御神楽が見え始め、その左に会津の山々が見えていた。気持ちのいい尾根歩きだ。
(熊打場から東方向の展望)
(熊打場から大スラブの展望)

やがて熊打場の看板が現れ、その先が鎖場になっていた。ご夫婦二人連れが鎖に掴まりながら下りてきた。20mほどの急な岩場で、登るにつれて避難小屋泊まりの重いザックが肩に食い込んできた。
(杉の植林に入る)
(熊打場の20mの鎖場)

岩場を登りきると間もなく階段道になり、「山頂まで1.7km、本名御神楽まで0.5km」の立札の左手に2階建ての立派な避難小屋が見えてきた。
小屋に入ると、茨城のご夫婦の先客があり、これから御神楽岳まで往復してくると言う。すぐ後には、二人の男性が新しいストーブを担ぎ上げてきた。数日前に金山町に電話した時には、「薪ストーブは使っていいですよ」との話だったが、毎年、今日の文化の日が交換日とのこと。亀楽会には修理の専門家が多いので、難渋している煙突の交換作業のお手伝いが始まった。
(2階建ての避難小屋)
(美味しい水場)

2階に上がってマットとシュラフを敷いて陣取りをした。7人で丁度いい広さだ。酒盛りの前に空身で本名御神楽まで往復することになった。
本名御神楽まで15分だったが、その途中の、左手の大スラブ、前方の本名御神楽に黄葉が晴天の下で光るように綺麗だった。
(本名御神楽へ)
(本名御神楽山頂にて)

山頂からは広い展望が待っていた。北には目の前に御神楽岳が聳え、尾根に沿って登山道が延々と続いていた。北から東にかけては雲がかかっていたが、西から南にかけては越後の山や南会津の山々が見渡せた。眼下の避難小屋からはストーブの煙が白く流れ出ていた。
(本名御神楽から北から西方の展望)
(本名御神楽から南方の展望)

今日のうちに御神楽岳まで足を伸ばそうとの話も出たが、ストーブのお手伝いで時間を使ってやや遅くなったので、そのまま小屋に下った。我家は行動用の水しか持ち上げなかったので、水の確保に水場に下った。小屋の裏から踏跡を辿って谷底まで10分弱降りると、ホースから美味しい水が流れ出ていた。たっぷり汲んで小屋に戻ると、もう酒盛りが始まっていた。亀楽会ではこれが楽しみで避難小屋泊まりが多いのだろう。山談義の輪に入って、持ち上げたお酒をちびりちびりと頂いた。
宴会を閉めて、夕食を作って食べ終わると日が暮れてきた。外に出ると、満天の星空で、明るい星がすぐそこにあるように見えていた。明日は早起きして本名御神楽山頂で日の出を仰ごうと話が纏まる。ストーブを持ち上げた人が薪を焚いてくれているので暖かくて気持ちがいい、6時にはみんな眠りに付いた。ところが天気は急変して、10時ごろ屋根を打つ雨音に目を覚まされてしまった。

2日目:夜中に降り始めた雨は朝方まで止むことなく降り続き、日の出を拝むもくろみは消えてしまい、ゆっくりと起きだして朝食の準備をした。視界は利かないだろうが、雨は止んだので一応御神楽岳の三角点は踏んでこようと、7時15分に空身で登り始めた。
本名御神楽まで昨日の道を登り、山頂直前の小さな祠がある分岐から御神楽岳に向かった。一旦30mほど下って尾根道を緩やかに登ってゆくが、登山道は笹で覆われており、下には木の根っこが縦横に走っていて、うっかりこれに乗っかるとつるりと滑る。その上、登山道の右側は大きく切れ落ちているので、踏み外したらどこまで落ちていくか分からない。笹を分けながら慎重に歩いていった。
(御神楽岳への分岐にあった祠)
(笹で覆われた登山道を行く)

登り一辺倒に見えた道だったが、途中何箇所か尾根を外れるので、その度に上り下りを繰り返して、小屋から1時間かかって山頂に着いた。山頂には綺麗な山名盤があり、360°の展望図にはハワイや水戸市も書いてあるが、残念ながら今日は何も見えない。証拠写真を撮り、2等三角点にタッチして下山にかかった。
(最後のピークの向こうにやっと御神楽岳)
(ガスの御神楽岳山頂にて)
(ハワイや水戸市も見える山名盤)
(展望を諦めて下山開始)

小屋で一休みし、ザックを担いで下山にかかった。空はわずかに明るさを増してきたので、熊打場や大スラブの黄葉が綺麗だった。
(真っ盛りの紅葉を楽しみながら熊打場への鎖場を下る)

杉山ケ崎で一休みしてから次の急坂を下ったが、登ってくる時よりももっと急坂に思えた。下りで汗をかいたが、周りの紅葉は下りのほうが綺麗に見えた。
霧来沢沿いの道に入って何箇所かある岩場も、昨日は無意識に通過したのに、今日は雨に濡れていて気を使った。、
(黄葉の中を下る)
(何箇所かあった危なげなトラバース)

沢向かいのスラブや八乙女の滝の黄葉を楽しみながら、ドロンコ道を歩いて小屋から3時間足らずで駐車場の大鍋又沢の出合に戻った。
(日尊ノ倉山のスラブと黄葉)
(駐車場所に戻る)
帰りには、本名発電所近くの湯倉温泉の一軒宿の温泉で汗を流した。珍しい炭酸水の温泉で、入りはじめは肌がぴりぴりと刺激された。道の駅清柳苑でお土産を買い、柳津の蕎麦屋で美味しい会津蕎麦を頂いてお腹も満足した。昨日今日と只見線に臨時にSL列車が走るとのことで、途中、あちこちの道傍にカメラ三脚の放列があった。紅葉やススキと只見川に煙を吐いて走るSLを配した構図に全国からマニアがやってきているらしい。お陰で、道の駅で期待していたキノコ汁やキノコのおにぎりはすでに売れ切れだった。会津坂下ICから高速に乗り、磐梯高原SAで小休止してから一路日立に帰ってきた。
(湯倉温泉から本名ダム越しの紅葉、撮影時に陽が陰って残念)





inserted by FC2 system