V102.裏志賀の二百名山:佐武流山と鳥甲山

1.動 機
佐武流山と鳥甲山とは二百名山に名を連ねるが、佐武流山はコースタイム10時間半累積標高差1910mの超ロングコース、鳥甲山もコースタイムは7時間ほどだが岩場の連続で有名、裏志賀の秘境秋山郷にあってアクセスも遠く、単独ではなかなか近寄りがたい山だった。水戸アルパインの特別企画として計画してもらえたので、これ幸いと参加してきた。佐武流山は小雨の中だったが超ロングコースを完歩し、鳥甲山は秋晴れの中で紅葉満喫の山行と、いずれも充実した山旅を楽しむことが出来た。

2.データ
a)山域:佐武流山(2192m)、鳥甲山(2038m)
b)登山日:2008/10/11(土)小雨(前夜発)、12(日)晴、13(月)晴
c)コースタイム:
前夜:日立電鉄南営業所 20:40 = 22:30 水戸IC =(北関東道)=(関越道・車中泊)=
1日目:= 塩沢石内IC 5:20 のよさの里 5:40 =(マイクロバス)= 6:10 ドロノキ平登山口 6:15 ---- 12:50 佐武流山 13:00 ---- 18:40 ドロノキ平登山口 18:50 =(マイクロバス)= 19:20 のよさの里(泊)
2日目:のよさの里 5:30 =(マイクロバス)= 6:00 和山登山口 6:15 ---- 11:30 鳥甲山 11:40 ---- 16:00 屋敷登山口 16:05 ---- 16:25 のよさの里(泊)
3日目:のよさの里 8:25 = 10:00 清津峡 11:05 = 12:20 蕎麦屋岡寮(昼食)13:30 = 13:40 八海山いずみビレッジ 14:10 =(関越道)=(北関東道)=18:50 水戸IC = 21:00 日立南営業所
d)同行者:水戸アルパイン会員(男6、女4)、和子
e)地形図:1/25000 「佐武流山」「鳥甲山」

3.山行記録
(アクセス)
日立自宅20:25=20:35日立電鉄南営業所 20:40 = 21:35 水戸駅 = 22:30 水戸IC = 23:00 桜川ロードパーク 23:10 = R50 =(北関東道)=(関越道・車中泊)= 塩沢石内IC 5:20 のよさの里

我家で夕食を済ませてから出発し、日立電鉄南営業所を20時40分発車のバスに乗って、勝田、水戸と仲間が乗り水戸ICに向かったが、途中1人を拾い損ねて引き返すハプニングがあって、水戸ICへの到着が大幅に遅れた。北関東道に曲がって筑西IC出口のロードパークで最後の仲間を乗せてR50を走った。今日の仲間は全員で12名、きついルートを警戒してか参加者はいつもよりも少なめだった。この辺りから眠りに付いたが、バスは太田ICで再び北関東道にのり、関越道に入って北上して赤城SAで休憩し、塩沢石内ICで高速を下りて一般道の道の駅(?)で5時頃起こされて朝食をとった。
当初は、車中泊で寝不足の1日目には鳥甲山に登り、ロングコースの佐武流山には宿でよく眠ってから2日目に登る予定だった。ところが今日は小雨も降ってくる悪天候、岩場の多い鳥甲山に登るのは危険と判断されて、今日佐武流山に登ることに変更された。バスはR405を南下して秋山郷に入り今日から2連泊する「のよさの里」の駐車場に入った。登山口には狭い林道を走って入るので、ここで宿屋のマイクロバスに乗り換えた。

(1日目):佐武流山
のよさの里 5:40 =(マイクロバス)= 6:10 ドロノキ平登山口 6:15 ---- 7:00 エラクボ林道 ---- 7:30 檜俣川林道 ---- 8:05 檜俣川下降点 8:15 ---- 8:25 徒渉点 8:30 ---- 9:20 物思平 9:30 ---- 11:00 ワルサ峰 11:10 ---- 11;45 西赤沢源頭 ---- 12:00 坊主平 ---- 12:50 佐武流山 13:00 ---- 13:40 西赤沢源頭 ---- 14:20 ワルサ峰 14:30 ---- 15:35 物思平 ---- 16:15 徒渉点 16:20 ---- 16:40 檜俣川下降点 16:50 ---- 17:20エラクボ林道分岐 ---- 17:45 登山道 17:50 ---- 18:30 ドロノキ平登山口 =(マイクロバス)= 19:00 のよさの里(泊)
(佐武流山登山ルート)
(歩行ルートの標高差)
(画面をクリックすると2倍の画面になります)

マイクロバスは林道に毛が生えた程度の狭いくねくねとした国道R405をヘッドライトを点けて走り、ドロノキ平で止まった。これから先は落石があって国道は行き止まりらしい。ここに「佐武流山への近道」の道標が立っていて、左の山に「12林班歩道」の登山道が登っていた。
雨は小降りになってきたが、全員雨具を付けて歩き始めた。登山道にはところどころに「和山⇔佐武流」の立札もあり、よく整備されていて歩きやすく、延々と林道を歩かされるよりも気分がいい。一部やや急坂があったが、基本的には緩やかな登り道、樹林の中で足慣らしに丁度いい。
(ドロノキ平登山口)
(小雨の中の登山)

45分歩くと、少し下り坂があってから林道に飛び出した。ガイドブックにある林道分岐からエラクボ平に向かう林道である。30分ほどこの林道を歩いて檜俣川林道の分岐に到着し、ここから更に30分歩いてやっと「佐武流山方面」の立札の立つ檜俣川への下降点に到着した。二人で歩くと退屈な林道歩き、いつもの仲間と一緒に歩くと賑やかだった。
この辺りからは月夜立岩などが見えるはずだが、雨は止んでもガスが立ち込めていて周りは何も見えない。下の檜俣川も向かいの佐武流山の斜面さえも見えない。
それにしても、ここまで車で入ることが出来ればコースタイムは2時間半も短縮され、ずっと歩きやすい山になるのだろうが、ゲートで車をシャットアウトしているのは自然保護か、林道の管理が大変なのか、佐武流山が平凡な山になってしまうからだろうか。山好きには理解できない。
(エラクボ平林道)
(檜俣川林道)

始め丸太の階段を付けた急坂を下り、谷合をどんどん下ると檜俣川の川岸に降り立った。川幅は10mほどで、流れの上に適当な間隔で石が出ていて一本のロープが渡してある。あまり水量が多くはなくて、リーダの足運びに習って全員濡れることなく無事通過した。
(檜俣川への下り口)
(檜俣川徒渉)

渡渉が終わると直ぐに急登が待っていた。佐武流山の大変なところは林道歩きが長いだけだと思い込んでいた私には意外だった。登っても登っても、どこまでも急登が続き汗を搾られる。物思平に近付くと珍しいシラヒゲソウが咲いていたり、ブナやミズナラなどが色付いてきて気分を慰めてくれ一休みした。
(急坂が待っていた)
(紅葉は綺麗でした)

物思平を過ぎると再び急登が始まる。ドロンコになっていたり、木の根っこが出っ張っていたりして滑りそうで気が抜けない。このあたり、天気が良ければ苗場山や志賀高原の山々など見えて展望がいいところらしいが、今日は何も見えない。ただひたすら登ってワルサ峰で一休み。
(いやらしい難所が次々と現れる)
(ワルサ峰の痩せ尾根)

夜行バスで十分な睡眠が取れなかったのだろうか、女性の1人のピッチが上がらない。このままでは帰りの渡渉が暗闇になってしまいそうなので、励ましながら西赤沢源頭辺りまで登ったところで待機してもらうことになった。少々気の毒だがどうしようもない。
歩き始めて6時間半、やっと佐武流山の山頂に到着した。皆で握手を交わす。雨に悩まされ展望のないひたすら耐える登山だったが、それでも長いロングコースを登りきって充実感はたっぷりだった。
(シラヒゲソウ)
(佐武流山山頂での証拠写真)

折角登った山頂だが、ゆっくりとしてはおれない。集合写真と証拠写真を撮って直ぐに下山にかかった。下山は女性軍の足が速い。木の根っ子やドロンコ道の急坂は、登りよりも下りの方が気持ちが悪い。例によって男性軍が懸命に追いかける構図になった。
明るいうちに渡渉点も無事に通過して林道への登りにかかったが、この120mほどの登りが長かった。朝の下るときにはなんでもなかった道がやけに長く感じられたのは、やはりロングコースの所為だろうか。登り終えたところで目の前を見上げると、月夜立岩だろうか、岩峰がそそり立っているのが見えた。振り返ると佐武流山の紅葉した斜面が広がっており、見下ろせば紅葉の中に檜俣川の流れが見下ろせてなかなかのビューポイントだった。
(明るいうちに徒渉できた)
(岩峰も見えてきた)

一休みしてから、帰りもまた林道歩きになる。途中の林道分岐辺りからいよいよ暗くなってきて、久々にヘッドランプを付けての歩行になった。山道になって多少足元に気を遣ったが、18時30分にみんな無事元気に登山口まで下りついた。
待っていたマイクロバスに乗って宿に帰り、入浴もそこそこに準備されていた夕食に舌鼓を打った。山の幸、川の幸いっぱいのお品書きつきの料理は立派なものだった。
賑やかな夕食を終えて風呂に入りなおしてからぐっすりと眠りに付いた。
(ヘッドランプの出番)
(のよさの里の夕食)



(2日目):鳥甲山
のよさの里 5:30 =(マイクロバス)= 6:00 和山登山口 6:15 ---- 7:35 万仏岩 7:40 ---- 9:40 白倉ノ頭 9:50 ---- 11:00 剃刀岩 ---- 11:20 分岐 ---- 11:30 鳥甲山 11:40 ---- 11:45 分岐(昼食)12:15 ---- 13:40 赤倉ノ頭 13:50 ---- 14:20 休み ---- 15:30 上の堰 ---- 15:50 下の堰 ---- 16:00 屋敷登山口 16:05 =(マイクロバス)= 16:25 のよさの里(泊)
(鳥甲山登山ルート)
(歩行ルートの標高差)
(画面をクリックすると2倍の画面になります)

朝目覚めると、目の前の鳥甲山にはガスがかかっているが空は薄雲がかかっている程度、予報通りに今日は良い天気になりそうだ。早出なので昨夜のうちに受け取っていた朝食用の弁当を食べてから、身支度を整えてマイクロバスに乗り込んだ。
バスは和山温泉を過ぎて中津川を渡り、さらに細い道を走って和山登山口の駐車場に到着した。まだ朝の6時だが既に数台の車が停まっており、水戸Noのグループも出発準備を始めていた。
今日は岩登りもあるので、しっかりと準備運動もして歩き始めた。始めは樹林の中の単調な登りで、今日は急ぐこともないので後続のグループにどんどん追い越されながらゆっくりと登っていった。
(和山登山口で準備運動)
(樹林帯の急坂)

高度を稼ぐにつれて、周りの木々が紅葉してきて綺麗になり、見下ろすと秋山郷の里が見渡せるようになってきた。振り返ると朝日の方向に昨日苦労した佐武流山が見えるが、山頂にはまだガスがかかっていた。
(登るに連れて紅葉が色付いて)
(眼下に秋山郷も広がる)

紅葉を楽しみながら登って鞍部で一休みしてから先に進むと、猿梯子とロープがぶら下がった20mもありそうな岩場になった。リーダは梯子は揺れるので危険だと言って、岩伝いに足場を選んで攀じ登っていった。みんなこれに習って後に続いた。最近岩場の山も随分と登ったのでみんな手馴れたもので、大して渋滞することなく登り切った。
登りきると紅葉は更に見事になってきた。山頂まで何回かピークを越えていったが、目の前の斜面が綺麗に色付いている光景は見事だった。何度も立ち止まってはシャッタを押した。
(最初の岩場はなかなかの難所)
(紅葉の中に岩場が続く)

最高潮は白倉の頭の絶壁に紅葉が張り付いた光景だった。眼下には秋山郷が広がり、その上に苗場山、佐武流山、白砂山の山並みが並んで絶景だった。
赤倉の頭を通る下山ルートが見えるようになると、どこまでも岩壁が伸びる絶景に身の引き締まる思いになった。
(白倉の頭の岩壁)
(赤倉の頭方面)

高度を増すと共に視界が開け、天気も良くなってガスも切れてきて、近くの苗場や佐武流山がすっかり頭を出し、志賀高原の山々、北アルプスの峰々も見渡すことが出来るようになった。
(苗場山と佐武流山・白砂山)
(志賀高原の山々)
(北アルプス展望)

白倉の頭を過ぎて下ったところが剃刀岩という痩せ尾根になっていた。走るように通過した猛者の女性もいたが、ロープを一本通しただけのどっちに落ちても御仕舞いになりそうな痩せ尾根をみんな慎重に渡った。
(白倉の頭の紅葉)
(剃刀の岩の渡り)

痩せ尾根を通過して少し登ると、屋敷への下山ルートと鳥甲山への道の分岐があり、一登りするとすぐに山頂に到着した。山頂には二等三角点と古びた山頂標柱が立っていた。山頂は狭く、弁当を広げて酒盛りをしている人たちもいたので、名残惜しいが集合写真だけ撮って直ぐにさよならした。
分岐のところを少し下ったところで、佐武流山を眺めながら昨日の苦労話をしながらのよさの里特製の弁当を広げた。
屋敷山へ向けての下山道は稜線伝いの気持ちのいい道だったが、ところどころ右側が切れ落ちていて気を遣う所もあった。右の絶壁と紅葉のコントラストは見事で、みんな立ち止まっては盛んにシャッタを押していた。
(鳥甲山山頂にて)
(赤倉の頭への下りも紅葉満開)

屋敷山への鞍部の所から登山道は右に下るようになり、いままでも急坂に泣かされてきたが、それ以上に傾斜は急になり、ガレバ、ドロンコ場が続いて大変な道になった。特にコンクリートの堰のようなものが現れてから下は、道とも言いかねるようなガレバになって苦労させられた。追い越していったご夫婦はこの道のピストンだとおっしゃったが、よくもこんな急登を登ったものだと感心させられた。
苦労しながら最後尾を歩いて16時前にやっと林道に降り立ったら、なかなか下りてこない我々を心配した幹事さんが待ってくれていた。10分ほど林道を歩いて駐車場近くで待っていたマイクロバスに乗った。
(赤倉の頭からはガレバ、ドロンコの急坂に泣かされる)

宿に着いたのは16時半、まだ明るいので宿の前から鳥甲山の端から端まで見渡せた。よくも歩いたもんだとみんな自分を褒めながら暫く見上げていた。
(夕方の鳥甲山展望)

のよさの里は宿泊場所は数棟の離れになっていて、受付のある本館から100mもありそうな長い屋根付きの廊下を渡ってそれぞれの宿泊棟に行くようになっている。宿泊棟には寝室2部屋のほか囲炉裏付きの居間があり、トイレはもちろん、自炊用の流しも付いていた。この部屋を4、5人ずつに割り与えられ、しかも2連泊!山登りにはずいぶんと贅沢な宿屋だった。
今日は夕食まで時間もたっぷりあるので、露店風呂に入って鳥甲山を眺めながらゆっくりと汗を流した。景色も堪能したので、今日は夕食も一段と賑やかだった。
(のよさの里)
(露天風呂から鳥甲山を)

(3日目):帰路
のよさの里 8:25 = 10:00 清津峡 11:05 = 12:20 蕎麦屋岡寮(昼食)13:30 = 13:40 八海山いずみビレッジ 14:10 =(関越道)=(北関東道)=18:50 水戸IC = 21:00 日立南営業所

朝目覚めると窓の外には朝日がさしていて、どてらのままで庭に飛び出すと、鳥甲山の山頂は朝日に輝いていた。今日は茨城まで帰るだけ、ゆっくりとした出発なので、朝食を頂いた後心ゆくまで鳥甲山を眺めながら過ごした。
(朝の鳥甲山展望、よく歩いたもんだね)

帰りのついでに、清津峡の観光が組み込まれていた。清津温泉手前の土産物屋のマイクロバスに乗りかえて温泉街に入り、バスを降りて温泉街を通り過ぎると清津峡渓谷トンネルがあった。観光はこのトンネルの中を歩いて、4箇所ある展望所から渓谷美を鑑賞するようになっている。トンネルに入ったところに受付があり、1人様500円也の入場料を払って入る。時間があれば、トンネルに入らないで上を通る渓谷登山道を八木沢まで歩いてもいいのだろうが、今日は観光客である。
(清津峡渓谷トンネル入口)
(4箇所に展望窓あり)

展望所から眺める景色は見事な柱状節理で見応えがあった。トンネルの中には色々な説明資料もありゆっくりと30分の観光を楽しんだ。
(ビューステーション1から)
(パノラマステーションから)

さらに、名物蕎麦屋「岡寮」に立ち寄り30分並んで美味しいおそばを賞味し、八海山いずみビレッジにも立ち寄って地ビールを味わってから茨城に帰ってきた。
(蕎麦屋から八海山の展望)





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