X118.行道山から織姫神社へ
(栃木県の山の紅葉狩り)

1.動 機
インターネットで調べていたら、「栃木の山」の一座・行道山が「関東の高野山と呼ばれ、山腹に位置する浄因寺は名刹として知られている。参道に沿って点在する無数の石仏など南画さながらの景勝地として栃木県の名勝第1号に指定された。特に新緑や紅葉の時期の眺望は絶景。」とあった。晩秋の晴天日、久しぶりに茨城の紅葉どころを訪れようと前日から相談していたのだが、これで行き先が決まってしまった。
足利学校近くから行道山登山口近くまでバスに乗り、行道山から織姫神社まで史跡と紅葉を楽しみながら10kmを縦走し、足利学校も見学して帰ってきた。

2.データ
a)山域:行道山(石尊山)(442m)、大岩山(剣ヶ峰)(417m)、両崖山(251m)
b)登山日:2010/11/24(水)晴
c)日程:
日立自宅 7:40 = 8:00 日立南IC = 9:05 田沼IC = R293 = 9:35 太平記館駐車場 9:40= 足利学校BS 9:47 = (バス) = 10:05 行道山BS 10:10 ---- 10:20 トイレ駐車場 ---- 10:30 県営駐車場 ---- 10:40 行道山浄因寺 10:55 ---- 11:05 寝釈迦 11:10 ---- 11:25 行道山(昼食) 12:10 ---- 12:25 大岩山 ---- 12:45 大岩毘沙門天 12:55 ---- 13:10 三角点峰 ---- 13:55 両崖山 14:15 --- 14:40 鏡岩展望台 ---- 14:50 もみじ谷 15:05 ---- 15:15 織姫神社 ---- 15:20 参道入口 ---- 15:40 太平記館駐車場 15:45 ---- 15:50 足利学校 16:25 ---- 16:30 太平記館駐車場 16:35 = 17:05 田沼IC = 18:15 日立南IC = 18:40 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「足利北部」「ヤマケイ栃木県の山No.47」
(行道山縦走ルート)
(行道山縦走ルートの高低差)


3.山行記録
(アクセス)
行道山へのバスは一日三便しかない。織姫神社から行道山へ向かって歩くのでは到着時間が遅れると3時間待ちもある。足利学校近くの太平記館に無料駐車場があり、足利駅からやってくる一番のバスは9時47分に通過する。これにゆとりを持って間に合うように7時40分に出発して北関東道の田沼ICに向かったが、今日は平日で、日立でも足利でも一般道が渋滞して、駐車場に到着したのはバスの時間の10分前だった。
駐車場には整理の係員が二人いて、「2時間駐車が目安です」と言われたが「行道山までバスでいくので一日かかる」と云ったら、平日なので大目に見てもらえたのかニコニコしながら駐車場所を指定してもらえた。

(縦走)
大急ぎで靴下も履かないで山靴を履き、係員に教えてもらったバス停に急ぐと、バスはすぐにやってきた。20人乗りぐらいの小型のバスで、東部足利駅から乗ってきたというグループ登山の人もいてほぼ満席、最後の2席を空けてもらって座ることが出来た。
バスの左車窓から両崖山など今日の縦走路の山並みが赤く色付いていて期待を膨らませてくれた。グループのリーダさんが、ピークの山名を説明するのを有難く拝聴させていただいた。
(やまなみ号バス)
(縦走路の山並み)

終点でバスを下りて靴の履き直しをし、お地蔵さんや樋から流れ落ちる「絹糸の滝」などを眺めながら10分歩くと、立派なトイレのある小さな駐車場があった。ここに駐車した中年の御夫婦から「この上にも駐車場がありますか}と聞かれたが「初めてです」と言って、「一緒に歩き始めた。
駐車場の先に「行道山浄因寺境内入口」の道標があり、少し歩くとまた小さな滝「阿云の滝」があり「ポックリ(放苦離信仰)とは」という「阿云の会」の説明板がたっていた。その先に左への分岐があり、そばに立つ「足利県立自然公園ハイキングコース」の案内板によると、名草巨石群から織姫神社まで歩く14.4kmのハイキングコースがあって、ここがその中継地点であるとあった。距離が離れていて関係があるとは思ってもいなかった先日の名草巨石群と、今日の行道山とがハイキングコースと繋がっているとは意外であった。
車道が大きく左に曲がると道が細くなり、まわりの斜面にシャガの群生地が続くようになった。シャガの群生はここから浄因寺、さらに寝釈迦まで続き、季節には見事なシャガの花も楽しめる道になりそうだった。
狭くなり急坂になった道を登ると、広い駐車場があって多くの車が停まっていたが、「石段やトイレの改修中」の立札があったので工事関係者の車も多いようだった。
(行道山浄因寺入口)
(林道終点の駐車場)

ハイキングコースや浄因寺の説明板があり、苔むした石仏群を見ながら365段の石段を登って行く。
(参道の石段)
(3000体の石仏)

石段を10分登ると木造の山門があった。山門を潜って境内に入ると、「行道山の自然と史跡を保存する会」の入会の案内や、栃木県の「行道山浄因寺」の説明板があり、この先の紅葉の下に休憩舎や住居があった。
紅葉を見上げながら境内を進むと一段高い崖の上に建物が建っていた。これは清心亭といい崖の上に上がって間近にみると改築されて間もないように見えた。
(山門)
(清心亭)

ハイキング道を登った反対側の高台に建つ不明堂から見返すと、紅葉と断崖との調和が美しく南画を見るようだった。北斎が版画にした風景だと言う。マニアのカメラマンが三脚を構えてタイミングを待っていた。向かいの山の紅葉がもっと太陽の陽を受ければ云う事なしの絵になりそうだったが、我家は写真が目的ではない、簡単にシャッタを押して次に向かった。
(不明堂からの眺め)

不明堂から急坂を登っていくと仏像が並ぶ広場があり展望も良さそうに見えたので、ここが寝釈迦のおられる四十九院涅槃台かと思って、寝釈迦を探したが姿が見えない。展望も立木に遮られて余り良くはなく、寝釈迦様はもっと上だった。
(石仏の広場)
 (寝釈迦の岩場)

さらに丸太の階段道を登ると、ガラガラの岩場の上に小さなお釈迦様が横たわっておられ、その後にたくさんの仏像が並んでいた。
お釈迦様の横の岩場からは展望が開け、うっすらと筑波山の双耳峰が見えていた。茨城の山が見えるのはうれしい。
(寝釈迦様)
(うっすらと筑波山)

寝釈迦からは尾根道になり落葉を踏みながら気持よく登って行くと、やはり関東ふれあいの道らしく丸太の階段道になり、これを登り切ると442mの行道山の山頂だった。行道山は寺院の名前で、標高442mのこの山は石尊山というとのこと。三等三角点があり、テーブルやベンチがあって360°の大展望だった。
日光連山は少し雲に隠れていたが、赤城山と榛名山がくっきりと見え、浅間山が真っ白い山頂を見せていた。その前に、先日歩いた赤雪山が見え、仙人が岳への縦走路もしっかりと確認できた。
弁当を広げていると、バスで一緒だった団体さんが登ってきて食事を始めた。リーダの一人が日立製作所とも関係のあった人で、山水会ともつながりがあって、いろいろと話が続いた。
(赤城山をバックに)
(榛名山の上に浅間山)

行道山を後にして尾根道を進むと、次のピークにもテーブルやベンチがあって数人の人が食事中だった。417mの剣ヶ峰、またの名を大岩山というらしいが、立木に遮られて展望は今一つ、そのまま通り過ぎた。
急坂を丸太の階段でジグザグに下ると林道に出て、その向かいにベンチのある広い広場があった。広場の先へ行って尾根を歩けば近道になりそうだったが、案内板によれば林道の先に日本三大毘沙門天の一つ大岩毘沙門天があるらしい。林道をしばらく歩いたがどこまで行ってもそれらしきものが見えない。案内板を再確認しようと引き返していると、土地の御夫婦がやってきて、分岐点を教えてもらえることになった。林道が大きくUターンする近くまで歩いたところに左に下る分岐道があって、これを下ると毘沙門天の境内に出るよと教えられた。
大岩毘沙門天は最勝寺といって立派な社殿があり、鐘楼や立派な仁王さんがおわす山門もあり、石段は重要文化財になっていると言う。毎年大晦日に行われる「悪態祭り」は有名で聞いたことがある。
(毘沙門天の社殿)
(仁王像と山門)

毘沙門天の階段を下りると林道の続きに出て、これを歩いて行くと左の尾根と合流し、合流点から右の「関東ふれあい道」の丸太の階段道に入った。
これを登ると四等三角点のあるピークになり、その先で露岩の道になった。岩の上に上がるといま丁度トンネルの上のようで、右下に工事中の北関東道が見えていた。5月連休前に全線開通と聞いていたが、この分なら大分早まりそうに見える。仕分けられたら大変だから完成を急いでいるのだろうか。
(両崖山への登り)
(工事中の北関東道)

三角点峰から下って林道を横切ったりしながら何度もピークを越えるが、三角点から2kmとなっていた両崖山になかなか着かない。
やっとたどり着いた両崖山山頂には木曽御嶽山の分社があり、多くの社や石像が並んでいた。「タブの自生地」でもあり6本の大きなタブの木もあった。足利城址でもあり、今は石垣しか残っていないらしいがいろいろな案内板が立っていた。
(御嶽神社と足利城址の両崖山)

石段を下り鳥居をくぐると、稜線沿いの岩交じりの道になり、正面に足利の街並みも見えるようになった。
大きく下って一つピークを越えると、オブジエのような変わった形の屋根を持つ休憩舎がたつ鏡岩の展望台があった。関東平野が広く見渡せるが、街には縁がないのでどこがさっぱり何処だか分らない。
(露岩帯を下る)
(鏡岩展望台)

鏡岩から下って行っても、楽しみにしていた「もみじ谷」の道標がなかなか現れない。登って来るご夫婦に「紅葉の綺麗なところがありました?」問い合わせても怪訝な顔をされるだけで心配になってきた。街まで下ってから場所を探すようかとがっかりしながら下っているとき、右下に真っ赤な谷間を見たときには嬉しくなって思わず歓声を上げた。
谷間に下りると真新しい石碑があって、「2009年までに約1000本の紅葉を植えることができた」とあったので、まだ道標も未設置で、知名度は低いのだろうか。
(もみじ谷)

少し盛りを過ぎた感があったが、とにかく今年初めての真っ赤なカエデの競演に栃木までやってきた甲斐があったと興奮気味、二人でシャッタを押しまくった。
(一俊撮影)

(和子撮影)

もみじ谷から登り返して階段を下ると朱塗りが眩しい織姫神社があった。織姫神社は1,300年の伝統を持つ足利織物の守り神として奉られている神社で、その昔機織を司どった天御鉾命と八千々姫命を祭神としているとのこと。縁結びの願いも聞いてもらえるらしいが、本人でなければ効き目もなかろうと素通りした。参道の石段の脇のカエデも真っ赤で綺麗だった。
(織姫神社)
(もみじの石段)


(帰途)
織姫神社を下って街中を1kmほど歩いて駐車場に戻ると、係のおじさんが歩み寄ってきて「なかなか戻って来ないので心配していたよ」とニコニコ顔。「足利学校は4時までだが、4時までに入れば4時半までは大丈夫、この駐車場も間もなく閉めるが出入り自由だよ」と親切に云われて、400円の入場料を払って足利学校に入って、日本最古の学校の歴史や色々な資料を勉強してきた。
(足利学校)

帰りは渋滞することもなく快調に走って、近くのスーパで夕食を買い込んで18時40分無事自宅に帰りついた。





inserted by FC2 system