Q102.大菩薩嶺・瑞牆山・茅ヶ岳

1.動 機
久弥百名山の大菩薩峰と瑞牆山、それに久弥終焉の地の茅ヶ岳を加えて2泊3日を二人で登ってきた。天気予報を睨んで出かけたので三日間とも好天気に恵まれ、展望を楽しみながら予定通りに歩くことができた。計画時点では金峰山も一緒にと検討していたが、登山口の大弛峠への道が工事で通行止めの情報があり、瑞牆山から往復では体力的にきつ過ぎるので今回は計画から外して、代わりに茅ヶ岳に登ることになった。金峰山には別のチャンスに金峰山単独で大弛峠から登ることにした。
この山行記録は実施から8年後、東北関東大地震で自宅待機している時に、写真と日記を頼りに纏めたもの、少々怪しい記述もあるかもしれません。(2011/03/23)

2.データ
a)山域:大菩薩嶺(2056m)、瑞牆山(2230m)、鷹見岩(2092m)、茅ヶ岳(1704m)
b)登山日:2003/10/29(水)〜31(金)
c)コースタイム:
29日:日立自宅 4:55 日立南IC = 勝沼IC = 福ちゃん荘 9:15 ----(唐松尾根) ---- 大菩薩嶺 ---- 大菩薩峠 ---- 12:30 福ちゃん荘 = 瑞牆山荘(泊)
30日:瑞牆山荘 6:55 ---- 瑞牆山山頂 ---- 鷹見岩 ---- 15:10 瑞牆山荘 = 明野ふるさと太陽館(泊)
31日:明野ふるさと太陽館 = 深田記念公園P 8:10 ---- 茅ヶ岳 ---- 12:10 深田記念公園 = 韮崎IC = 日立南IC = 17:00 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「大菩薩峠」「瑞牆山」「茅ヶ岳」

3.山行記録

(1日目:移動、大菩薩峠登頂)
29日:日立自宅 4:55 日立南IC = 三郷IC =首都高 7:00 高井戸IC = 7:20 談合坂SA(朝食) 7:50 = 勝沼IC = 9:00 福ちゃん荘 9:15 ----(唐松尾根)---- 10:10 雷岩 10:15 ---- 10:25 大菩薩嶺 10:30 ---- 10:50 雷岩 ---- 11:20 大菩薩峠 11:30 ----(昼食)---- 12:25 福ちゃん荘 12:30 = 13:05 上日川ダム 13:15 = 勝沼IC = 須玉IC = 15:30 瑞牆山荘(泊)
(大菩薩嶺登山ルート)
(大菩薩嶺登山標高差)

我家を5時前に出発し、首都高を渋滞前に通過して談合坂SAのレストランで朝食を取った。勝沼ICで高速を下りてR20に下りて甲斐大和駅の先で地方道に入り、日川沿いを進んで上日川ダムと大菩薩湖を過ぎると原生林の中の九十九折りの道を走って上日川峠に到着、ここからの林道はだーとで狭く慎重に運転して9時に福ちゃん荘に到着した。
広い駐車場には、宿泊者以外はAM6時〜PM6時、白線内に駐車と注意札があったが、平日なのでガラガラ、一番端に駐車した。駐車場には真っ赤なマユミの花が満開で綺麗だったが、このマユミ、この後もあちこちで見ることができた。
トイレを使わせていただいて日帰り登山の身軽ないでたちで出発、歩き始めてすぐに右手に富士山が見えはじめた。どこでも富士山が見えると元気が出るが、ここからの富士山は山頂部に雪をかぶった姿が一段と格好良く、これに励まされて唐松尾根の急登も苦にならなかった。
高度を上げて来ると、下にカラマツ林の黄葉と大菩薩湖の青い湖面が見えだして、富士山を一層引き立たせていた。
(福ちゃん荘前)
(富士山絶景)

唐松尾根を登り切ると、大菩薩峠との合流点に雷岩の岩の重なりがあった。岩の上からの展望は素晴らしく、富士山の左には霞み加減だったが南アルプスの山々が連なっていた。
雷岩の展望を楽しんでから大菩薩嶺まではすぐだった。三角点の近くに山頂標柱が立っていて、その前で証拠写真を撮った。
(雷岩)
(大菩薩嶺山頂)

折角山頂まで登ったが、四方が木立に囲まれて展望は全くなかった。長居は無用すぐに下山にかかり、雷岩からは大菩薩峠に向かって下った。途中で思い出して南アルプスの写真を撮った。登りの途中では山頂で南アルプスをもっとよく眺められることを期待してシャッタを押さなかったのだ。
(かすかに南アルプス)

雷岩の少し先に「標高2000m地点」の標柱が立っていた。無事に21世紀を迎えた記念の行事のようだが、山にこんな記念碑を立ててくれたことが嬉しかった。
大菩薩峠までのこの稜線歩きは、目の前に富士山を見ながらのなだらかな下り道で、正に稜線漫歩の表現がぴったりの気持のいいハイキング道だった。
(2000年記念地点)
(富士山を前に尾根歩き)

途中に賽ノ河原があったが、石がゴロゴロと転がってはいたが、他の場所の際に河原のようなおどおどしさはなかった。
賽ノ河原から少し登って急坂を下ると、草木のない裸地の大菩薩峠には見覚えのある五輪塔が立っていた。小さい時に見た映画中里介山作の「大菩薩峠」にこの五輪塔が出て来たとの記憶で、不気味な机竜之助の立ち居振る舞いが怖かくて画面を見ておれなかった記憶が呼び戻された。幼い時から気が小さかった。
(賽ノ河原)
(大菩薩峠の五輪塔)

1897mの大菩薩峠の大きな標識があったので、ツーショットの写真を撮って福ちゃん荘に下った。十字路から右の広い登山道に入って下って行き、小高い所で弁当を広げた。
福ちゃん荘の少し手前に富士見山荘という小屋があり、小屋の裏に展望台があった。留守のようだったが遠慮なく入らせていただくと「富士見」の名に恥じない絶景があった。福ちゃん荘に着いたのは12時20分、歩き始めて3時間だった。
(大菩薩峠)
(富士見平)

福ちゃん荘を出てから車を走らせたカラマツ林の黄葉が昼の陽を受けてとても綺麗で、何度も車を止めてはシャッタを押した。
往路では通過した上日川ダムに立ち寄ってみたら、ダムの管理者が「コマクサが咲いているよ」と教えてくれた。ダムの堰堤にコマクサが植えてあり、季節外れの赤い花を開いていた。堰堤からの大菩薩湖の眺めは周りの紅葉を映してこれも綺麗だった。
(カラマツの黄葉)
(上日川ダム)

勝沼ICに引き返して須玉ICまで高速を走り、県道23号を北上して瑞牆山荘に入った。夕食まで時間があったので、林道を瑞牆山の展望所まで歩いてみた。岩だらけの瑞牆山の山容を眺めて、明日の山行の楽しみが高まった。
宿に戻ると、岩魚の塩焼き、きのこのてんぷら、山菜づくしの食事が並べられており、槍ヶ岳が大好きだとおっしゃる69歳の千葉の女性と話があって楽しく夕食を頂いた。
食事が終わると朝が早かったので早々に床に着いた。
(前日の瑞牆山)
(瑞牆山荘)


(2日目:瑞牆山登頂)
瑞牆山荘 6:55 ---- 7:15 林道展望台 ---- 7:40 富士見平 7:45 ---- 8:10 天鳥川 ---- 9:25 瑞牆山山頂 10:05 ---- 11:00 天鳥川(昼食) 11:20 ---- 12:00 富士見平 12:10 ---- 12:45 分岐 12:50 ---- 13:05 鷹見岩 13:35 ---- 13:50 分岐 ---- 14:20 富士見平 ---- 15:10 瑞牆山荘 15:30 = 16:00 明野ふるさと太陽館(泊)
(瑞牆山登山ルート)
(瑞牆山登山の標高差)

早めに用意された朝食を頂いて、まだ薄暗いうちに宿を出発、富士見平への登山道を歩いて行った。林道と合流すると瑞牆山が見えてきてまだ陽が当たらず迫力がいま一つだったが、やがて陽が昇って来ると、樹間からでも美しい岩肌が望めるようになってきた。
(日出前の瑞牆山)
(朝日の瑞牆山)

富士見平小屋から左の瑞牆山への登山道に入ると道は緩やかになり、瑞牆山がますます近く迫力をもって見えるようになってきた。岩山は見ている分には美しいが、あの岩だらけの山のどこを登って行くのだろう。みんなが登っているのだろうから何とかなるのだろうが-----
(朝日を受ける瑞牆山)

そこから一旦沢へと下る道になり、ごつごつとした石が転がる急坂を下る。下った鷹取川は幸い水は少なく涸れ沢状態、苦労しないで渡れた。
沢を渡って登り口に大きな丸い岩があり、まっ二つに割れている。岩の傍に「桃太郎岩」の名札が立っていましたが、納得です。割れた片方の岩を支えるように沢山の杖が突っ張ってあるのが面白い。こんあ大きな桃から生まれた桃太郎はさぞかし大きくて強い男になったことでしょう。
(天鳥川)
(桃太郎岩)

岩の右側を回り込んで階段を登ると登山道が上へと続いていた。これまでの雰囲気が一変、大きな岩がごろごろと転がる険しい登り坂になり、岩を乗り越えたり倒木を潜ったり、ハシゴや鎖場を攀じ登ったり、山頂の展望を楽しみに頑張って登った。
後ろに追いついてきた団体さんも苦労しているが、予定があるのか焦っているご様子。道を譲って追い越して貰った。
(岩や倒木の登山道)
(団体さんも苦労)

やがて物凄い岩が目の前に現れた。巨大な岩が空中にニョキッと頭を出している。やすり岩だ。これに比べたら、桃太郎岩など可愛いものだ。
辛い登りだが、樹間から富士山が見えたり、金峰山が見えたり、励ましてくれた。
このオオヤスリ岩まで登ると山頂は近いはずだが、相変わらず岩の登山道が続き、鞍部に出て北に回り込んで山頂部へ登り着いた。
(オオヤスリ岩)
(富士山に励まされる)

大きな一枚岩の上に上ると、そこには期待以上の大展望が広がっていたが、丁度テレビ12チャンネルのロケの撮影が行われており立ち入り禁止、山座同定は後回しにしてしばらく見学させていただいた。
4つの丸太を繋いで夫々、2230、瑞、牆、山と書きこんだ面白い山頂標識があり、その前で群馬の人にシャッタを押してもらった。その人は御座山(おぐらやま)が大好きとのことで、御座山の読み方とその魅力を教えて貰った。
(テレビロケ)
(瑞牆山登頂)

山頂からの展望は正に360度! 遮るものが無い大展望。お天気もいいので正に絶景!
正面、足元を見下ろすと先ほど間近に眺めた大ヤスリ岩が突き出ている。
左手には富士山の姿。昨日の大菩薩からよりももっと大きくてすっきりと見えていた。
(オオヤスリ岩)
(富士山絶景)

富士山の右には南アルプスの山々、その後ろに空木岳、木曾駒ヶ岳、御嶽山、更に右には八ヶ岳の山並み、北アルプスは霞んでいたがずうっと右に浅間山も見えていた。
更にその右には小川山と金峰山が大きく聳えていた。
(東方180°の展望)

ゆっくりと展望を楽しんでから下りにかかり、中段まで下ると岩場越しに八ケ岳や金峰山を望めるところがあり、岩をすり抜けてシャッタを押した。
天鳥川に下って昼食を取ってから富士見平まで引き返すと、朝は気付かなかった広葉樹の紅葉が昼のお日さまを受けて輝くように綺麗だった。
(金峰山)
(紅葉も盛り)

富士見平に着いたのはまだ12時、このまま瑞牆山荘に下山するのには早過ぎるので、鷹見岩まで足を伸ばすことにした。
金峰山方向に向かって歩くと金峰山が大きくはっきりと見えるようになった。飯盛山の麓を巻いて行くと左に鷹見岩への分岐があり、ここからの道は石楠花の木が茂る薄い踏跡になった。一旦下って登り返すとすぐに岩っぽいた急坂となり、巻き込むように登ると岩峰の取付点、5mほどの岩場を登ると三角点があって、ここにも大展望が待っていた。
北には大日岩などの岩頭の上に金峰山の八畳岩がはっきりと見え、西には飯盛山の向こうに下ってきたばかりの瑞牆山が見えていた。
(鷹見岩山頂:後は金峰山)
(三角点、後は瑞牆山)

東にはカラマツ林の黄葉の上に富士山がすっきりと見えており、その左には瑞牆山頂と同じように南アルプスから八ケ岳の山並みが並んでいた。
(紅葉の向こうに富士山)
(後は八ケ岳)

展望を楽しんでから往路を引き返す途中、林道展望所でもう一度瑞牆山の岩山をじっくりと鑑賞してから瑞牆山荘に戻った。山荘に着いたのは15時過ぎ、歩き始めて8時間が経っていた。
車に戻って県道23号を引き返して、茅ヶ岳に近い明野ふるさと太陽館に向かった。南北に走る県道の前後に富士山と八ケ岳が見えて気持のいいドライブだった。
太陽館は温泉付きで清潔な室内に美味しい料理、公共の宿なのでお値段も手ごろで言うことなし。部屋の窓からは夕日に染まる富士山や南アルプスが綺麗だった。
(明野ふるさと太陽館へ)
(夕日と富士山)



(3日目:茅ヶ岳登頂、帰宅)
明野ふるさと太陽館 6:55 = 7:30 深田記念公園P 7:45 ---- 8:30 林道終点 ---- 8:45 女岩 8:55 ---- 9:25 敷島分岐 ---- 9:30 久弥終焉の碑 ---- 9:50 茅ヶ岳 10:45 ---- 11:45 林道終点 ---- 12:10 深田記念公園 12:15 = 12:50 韮崎さくら茶屋 13:20 = 13:30 韮崎IC = 高井戸 = 日立南IC = 17:00 日立自宅
(茅ヶ岳登山ルート)
(茅ヶ岳登山の標高差)

朝日に光る麓の紅葉の上に周りの山々が見えはじめて、出発直前まで待って宿の窓からシャッタを押した。今日は昨日よりも雲が多いが、地蔵岳のオベリスクもはっきりと見えていて嬉しくなった。
(鳳凰三山と南アルプス)
(八ケ岳)

公共の宿は朝食が遅いので、朝食抜きで7時前に宿を出発する。宿の玄関前からはこれから登る茅ヶ岳も見えていて、しっかりと写真を撮ってから発車して、途中のコンビニで朝食を調達して登山口の深田記念公園の駐車場に入った。公園には「百の頂に 百の喜びあり」の深田久弥の言葉を刻んだ石碑があった。
(宿舎から金ヶ岳と茅ヶ岳)
(深田記念公園)

車道のように広い登山道を歩くと間もなく林道を横切り、さらにブナやカラマツが黄葉した樹林帯の中の広い道を気持ちよく歩く。やがて道が細く急になり石がゴロゴロするようになり、しばらく頑張ると「女岩」という大岩が見えて来た。岩の割れ目からは水がしたたり落ちていて、休みがてら飲んでみたら美味しい水だった。
女岩の左を巻いて岩の上部に出ると道が急登になった。九十九折りで岩まじりの急勾配の登山道を登り切って鞍部を過ぎると敷島分岐の道標があり、その先に「深田久弥先生終焉之碑」があった。記念碑は金峰山や瑞牆山がよく見える所にあり、碑に黙祷してからしばし展望を楽しんだ。
(女岩)
(久弥終焉の碑)

久弥終焉の碑から一踏ん張りで茅ヶ岳山頂に着いた。山頂標識は瑞牆山と同じように4つの丸太を繋いだ形で、夫々、1704、茅、ヶ、岳と書きこんであり、その前で証拠写真を撮った。
茅ヶ岳山頂からも富士山が見えた。やや雲が多かったが、雲海に浮かぶ富士山も風情があって悪くなかった。
(茅ヶ岳山頂)
(富士山)

山頂は灌木に囲まれていて展望の邪魔になり、南アルプス方向の写真を撮るときには和子に灌木を倒してもらわなければならなかった。
すぐ先に金ヶ岳の双耳峰が見え、その先に八ケ岳が見えていた。金ヶ岳がすぐ近くに見え往復1時間と読んで足を伸ばそうかとも考えたが、今日の内に車を運転して茨城まで帰ることを考えて自重した。折角久弥の山に登ったのだからと、しばらくお八つを食べながらゆっくりした。
(鳳凰三山と南アルプス)
(金ヶ岳と八ケ岳)

往路を下って深谷記念公園に着いたのは歩き始めて4時間半、12時過ぎだった。韮崎ICから高速に乗る前に韮崎の食堂で昼食を取ってから帰途に付いた。首都高を渋滞前に通過して我家に17時に到着できた。





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