W103.苗場山から赤湯温泉へ

1.動 機
赤湯温泉は山奥の一軒宿で、山登りをしないと入ることができない秘湯中の秘湯である。水戸アルパインの10月例会として苗場山と組み合わせて計画された。苗場山には去年の八月に平標山と一緒に和田小屋からピストンして高山植物のお花畑を楽しんだが、今回は草紅葉と秘湯赤湯温泉を楽しみに参加した。
1日目の午前中はガスも出てきて紅葉はなかったが、山頂湿原に上がると天気が回復してきて素晴らしい草紅葉と山岳展望を楽しみ、赤湯温泉までの長い下りではブナやミズナラの黄葉を満喫した。赤湯温泉で温泉三昧をしてゆっくりと休み、二日目の赤湯温泉から元橋までの下りは絶好の青空のもとで素晴らしい紅葉を楽しんだ。

2.データ
a)山域:苗場山(2145m)
b)登山日:2009/10/17(土)曇にち晴、18(日)晴(前夜発)
c)コースタイム:
アクセス(10/16): 森山 20:35 = 20:45 日立電鉄南営業所 20:50 = 21:00 東海駅 = 21:15 勝田駅 21:30 = 21:50 水戸駅 = 22:10 水戸IC = 23:15 佐野SA 23:25 = 1:00 赤城高原SA(仮眠) 4:00 = 4:40 湯沢IC =(タクシー)= 5:40 和田小屋
(10/17): 和田小屋 6:00 ---- 7:15 下の芝 7:20 ---- 8:00中の芝 8:10 ---- 8:45 神楽ヶ峰 ---- 9:00 雷清水 9:05 ---- 9:10 お花畑 ---- 10:00 山頂湿原 ---- 10:05 苗場山山頂 10:50 ---- 11:15 湿原端 ---- 11:45 シラビソ廊下 ---- 12:15 深穴岩 12:20 ---- 13:15 フレベノ平 13:25 ---- 14:05 桂の沢 ---- 14:30 サゴイ沢 ---- 14:55 赤湯一号橋 ---- 15:00 赤湯温泉(泊)
(10/18):赤湯温泉 7:55 = 8:00 赤湯二号橋 ---- 8:40 見返りの松 ---- 8:00 鷹巣峠 ---- 9:35 棒沢橋 ---- 9:40 釜段の滝 9:45 ---- 10:00 鎖ゲート ---- 10:15 清津川橋 ---- 10:35 山道分岐 10:45 ---- 11:30 浅貝川橋 ---- 11:50 無線中継所 ---- 11:55 R17元橋
帰途(10/18):元橋 12:10=12:15 宿場の湯(入浴) 12:55 = 13:35 湯沢IC = 14:10 赤城高原SA(昼食)14:55 = 15:50 太田桐生IC =(R50)=16:30 佐野藤岡IC = 16:45 壬生PA 16:50 = 17:55 水戸IC = 18:05 水戸駅 = 18:20 勝田駅 = 18:40 東海駅 = 18:50 日立電鉄南営業所 = 19:00日立自宅
(苗場山−赤湯温泉登山ルート)

(苗場山−赤湯温泉登山ルート標高差)

d)同行者:水戸アルパイン会員12名(男6、女6)、和子は不参加
e)地形図:1/25000 「苗場山」「佐武流山」

3.山行記録
(前夜:アクセス)
入浴、夕食を済ませてから、今回不参加の和子の運転で日立電鉄南営業所まで送ってもらって、待っていたバスに乗り込んだ。東海、勝田、水戸とまわって仲間が乗ってきて、総勢13名そろって水戸ICから高速に乗った。北関東道を経由して関越道の赤城高原SAに朝1時に到着して仮眠をとった。4時に出発して、朝食と身支度をして湯沢ICでタクシーに乗り換え、苗場山登山口の和田小屋に向かった。

(1日目:苗場山から赤湯温泉)
和田小屋に到着し準備運動をしてからスキー場の斜面を登り始めた。気温は6℃、寒いので防寒着を羽織って登り始めたが、スキー場を外れてゴロ石や木の階段道を登って行くうちに熱くなってすぐに防寒着は脱いでしまった。
(和田小屋からスタート)
(笹とシラビソの登山道を登る)

下の芝は通過し、中の芝の休憩台で一息入れた。東に八海山、越後駒、中ノ岳がくっきりと見えていたが、先月登った巻機山は半分雲をかぶっていた。
さらに登って上の芝、小松原湿原への分岐を過ぎると、この登り道で唯一の岩場である股摺り岩があり、少し渋滞、ここを下って登り返していくと「神楽ヶ峰」の道標に到着した。
(中の芝で一休み)
(股摺り岩)

「神楽ヶ峰」から先に回りこんだところで目の前に苗場山が見えてきた。苗場山を見ながら下り始めたところに水場「雷清水」があり、冷たい水を補給しながら休憩した。ここからの苗場山の眺めは素晴らしかったが、いったん100m下ってから登り返す250mの急坂が大変だったのを思い出させられた。
(雷清水から苗場山を望む)

ここから小さな小石がごろごろする急な下り坂を下って、鞍部のお花畑から山頂を見上げるとさらに急坂に見えてきた。
見えた通りの急坂を頑張ると、外気は6℃と冷たくても汗ばんでくる。ゆっくりと登って行った。
(雲尾坂)
(山頂近くは急登)

だんだんと急になってくる坂を登ると、突然目の前に苗場山の広い山頂湿原が広がった。夏のワタスゲやキンコウカに代わって草紅葉が奇麗だ。山頂の遊仙閣前の休憩台の上にザックをデポして、一等三角点のある山頂に移動し、集合写真と個別の証拠写真を撮った。
(山頂湿原に出た)
(山頂標と三角点)

休憩台の上で昼食をとり、交流センタでトイレを借りて、その先30秒の展望台に行って鳥甲山を間近に眺めた。湿原のど真ん中からは一面の草紅葉とあちこちに散りばめられた池塘の向こうに、名だたる山々が峰を並べていた。去年10月に水戸アルパインでみんなと登った佐武流山や鳥甲山が見えるのがうれしかった。
(草紅葉越しの大展望:佐武流山・岩菅山・鳥甲山)

湿原中心の分岐から赤湯温泉への道は初めて歩く道である。池塘も多くていい眺めで、横を見たり振り返ったりしながら歩いて行った。湿原の中は木道が四方八方に張りめぐされていたが、木道が終わると急坂の下りが始まった。和田小屋から山頂までの登りは700m、赤湯温泉までの下りは1100mだ。今日は登りよりも下りの方が厳しい。ここからは「特別保護地域」の外になり、いきなり岩場の下りもあった。
急坂を下ると「シラビソ廊下(九合目)」の道標があり、しばらくシラビソの樹林の中をだらだらと下った。
(長い下りが始まった)
(シラビソ廊下)

樹林の間からは、登りで苦労させられた神楽ヶ峰から苗場山への稜線が見えていた。
「シラビソ廊下」を過ぎると紅葉が多くなり、急坂を下ると奇岩「深穴岩」があり一休みした。すぐに見晴らし尾根の道標があり、近くの雑木の紅葉、左右の山の斜面の紅葉がお日様を受けて奇麗だった。
(神楽ヶ峰から苗場山への稜線)
(見晴し尾根から紅葉の始まり)

7合目のフクベノ平に近づくと高木も紅葉一色になり、お八つを食べながら一休みした。
ここから暫くは黄色や赤のトンネルの中の下りになり、登山道も緩やかで、ハイキング気分で気持ちよく下って行った。
(フクベノ平は黄葉真っ盛り)
(広い登山道)

桂の古木が多い森を下り、急坂を下ってブナの多い雑木林を下っていくと沢の音が大きく聞こえるようになって急流の沢が見えてきた。道標にサゴイ沢とあり、鉄の橋を渡る。ここからまた急坂を50m登り返えすと、また急坂の下りになった。
紅葉の中をジグザグに下るとまた沢の音が大きくなり、赤湯温泉の建物が見えてきた。崖のような道を下って赤湯一号橋という橋を渡って沢に降りると、岩がゴロゴロする沢の中に踏跡が続いていた。
(サゴイ沢)
(赤湯一号橋)

岩を巻いたり岩を渡ったりしながら沢を下ると赤湯温泉の庭先に出た。受付する建物は沢のすぐ上だが、宿泊棟は裏手の高みに上がった二階建ての別棟だった。予約していたので、男女別々に一階の広い部屋を割り当てられた。飛び込みのカップルは2階の部屋に相部屋で案内されていた。
15時に到着したが、夕食は17時半からとのこと、ゆっくりと温泉に入ることにした。温泉は玉子湯、薬師湯、青湯の3つがあり、宿泊棟から少し離れたところにある。青湯は昼間は女性専用、薬師湯は湯温がぬるくて狭く、広くて温かい玉子湯で汗を流した。
飛び込んで驚いた。うら若い美しい女性が一人湯につかってにこにこしている。こんな場面に慣れない水戸アルパインの男性陣、そそくさと出て行ったり、横眼で気にしながら茹であがるまでねばってみたり、後で楽しい話題を振りまいた。
(赤湯温泉に到着)
(玉子湯)

夕食は山菜中心の手作りの品々が並び、味噌汁とご飯はお代わり自由。今日は宿泊客も多いとのことで若夫人もお手伝いに入っていて賑やかに愛嬌を振りまいていた。
部屋にはおおきな炬燵があり、照明はアルコールランプひとつ、簡易水洗のトイレにも小さなランプが灯っていた。夕食前からちらちらと雨が降り出して、明日のお天気が気遣われたが、深夜起きだしてみると、空は満天の星空になっていた。嬉しくなって眠れなくなり、行燈を持って青湯まで一人で出かけてみた。行燈の明かりはあまり明るくなくて、青湯までのでこぼこ道を歩くのは躓きそうで怖かった。映画では提灯片手に走り回るシーンがあるが、昔の人は目が良かったのか、とても真似できそうにもなかった。
湯面に写る行燈の風情が良くて、シャッタを押してみたが、残念ながら風情をあらわす写真にはならなかった。
(ランプの宿)
(行燈持って温泉入浴)


(2日目:赤湯温泉から下山)
6時半からの朝食を頂いてからもう一度温泉に入り、ゆっくりと身支度をして8時前に出発した。今日は奇麗に晴れ渡っていて、周りの紅葉が一段と鮮やかだった。
青湯の先で赤湯二号橋を渡ると急坂になった。燃えるような紅葉のトンネルの中を40分も登っていくと尾根に上がり、「見返の松」の看板があった。宿の出口のところに「携帯電話の使える所は40分先(見返りの松)になります」の案内があったが、こんな急坂を登った所とは思いもしなかった。
(赤湯二号橋からスタート)
(見返の松)

宿から見返りの松への登り、ここから鷹巣峠への尾根道、棒沢への下り、結構厳しい道もあったが、素晴らしい紅葉の中なので楽しく賑やかに歩くことができた。
(紅葉の中のハイキング気分)

棒沢まで下ると棒沢橋があり、これを渡ると林道になった。橋の上流に幅広の美しい滝が見えたが、これは砂防ダムの流れだった。地形図にある釜段の滝は橋のすぐ下流で滝の落ち込み部分だけが見えて、滝の主流は見えない。どうしても滝を見てみたいと思い、橋を渡って登った先の広場から右手の崖に見つけた薄い踏跡をロープを頼りに下っていくと、二段になって流れ落ちる釜段の滝を斜め横から眺めることができた。
釜段の滝からは長い林道歩きになった。少し先に大きな石を道の真ん中に置いた車止めがあり、苗場自然休養林の立派な石碑があり、近くに2台の車が停めてあった。一般車はこれより下の鎖のゲートで止められており、応援に駆け付けた若夫人たちの車らしかった。
林道歩きは長かったが、これまでの山道に負けないほどの素晴らしい紅葉に囲まれているので、気持のいいハイキングになった。
(釜段の滝)
(苗場自然休養林)

分岐点のところに一般車進入禁止の鎖のゲートがあり、分岐の先に駐車場があり、数台の車が停まっていた。赤湯温泉が目的の車だろうか。そこから少し歩くと紅葉の斜面の向こうに平標山が見えていた。平標山が思いがけず立派な山容をしていた。
平標山を見てから10分歩くと、清津川を渡る立派な橋があり、橋の上から眺める上下流の流れと紅葉燃える山波が美しかった。橋の真下は堰になっていて、流れ落ちる滝も見事だった。
(平標山も見えた)
(清津川を渡る)

橋を渡ると道は大きく蛇行しながら崖を登ることになり、途中にショートカットする踏跡がないかと崖面を睨みながら歩いて行ったが、崖が急すぎるのか崩れやすい土質なのか近道は見つからず、結局車と同じ道を歩くしかなかった。
蛇行する車道を二曲り登ってから山の裏側に回り込むと、「元橋へ」の山道が左に分かれておりこれに入った。
(つづら折りの林道が続く)
(途中山道でショートカット)

紅葉の山道を下っていくと、苗場スキー場と田代スキー場を結ぶゴンドラの真下を通過した。乗客が大きく手を振っていた。
最底部にサッカー場(?)があり、その先で浅貝川の橋を渡ると、次に急坂の登りが待っていた。山道分岐のところで、国道17号の元橋に出るまでもう登ることはあるまいとみんな思い込んでいた。このわずか標高差100mほどの登りだが、思いがけないことだったのでジグザグの急登の間中、泣き言がやまなかった。途中でつまんだ山ブドウの甘酸っぱい味がなんとも美味しかった。
(苗場田代ゴンドラ)
(この先に100mの急登が待っていた)

無線中継所があるピークに登りついて眼下に国道と駐車場が見えると、みんな心底ほっとして歓声を上げた。
ピークから国道まではなだらかな下り道で明るい笑い声が響き渡っていた。
(無線中継所のあるピーク)
(やっと国道に出た)

12時前に国道に出て、近くで待機していたバスを呼んで乗り込み、一番近くの日帰り温泉「宿場の湯」で汗を流した。ここで昼食も取りたかったが、レストランが小さくて13名は賄いきれそうにないので、湯沢ICで高速に乗って赤城高原SAまで走ってからの遅い昼食になった。
関越道で若干渋滞気味のところがあったが、早めに帰途についたのでほとんどを順調に走ることが出来て、水戸ICに18時前に到着し、我が家にも19時に帰りつくことができた。


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