X91.金精山・五色山・前白根山

1.動 機
金精峠から手白沢温泉まで縦走したとき、温泉ヶ岳への登山道から眺めた金精山の岩肌がとても印象的で、一度登ってみたいと思っていた。9月半ばになっても暑い日が続いて山に逃げたくなり、この金精山が候補になった。金精峠から金精山に登り、ついでにその奥の五色山と前白根山まで足を延ばすことにし、もし元気が残っていれば、五色沼または出来れば奥白根山を周回して下る計画で出かけた。
絶好の好天に恵まれて展望を欲しい侭にしながら前白根山まで登ったが、金精山までの予想以上の悪路に疲れ果て、前白根山からピストンで引き返してきた。

(温泉ヶ岳からの金精山)


2.データ
a)山域:金精山(2244m)、五色山(2379m)、前白根山(2373m)
b)登山日:2010/09/11(土)晴
c)コースタイム:日立自宅 5:00 = 5:10 日立南IC = 5:50 真岡IC = (一般道)= 6:25 宇都宮IC = 6:45 清滝 = 6:50 コンビニ 7:20= 8:00 金精峠駐車場 8:10 ---- 8:40 金精神社 8:45 ---- 9:35 金精山 9:50 ---- 10:10 国境平 10:15 ---- 10:45 五色山 11:00 ---- 11:25 前白根山 12:00 = 12:25 五色山 12:30 ---- 12:55 国境平 ---- 13:15 金精山 13:25 ---- 14:05 金精神社 ---- 14:35 金精峠駐車場 14:45 = 15:00 戦場ヶ原 15:15 = 15:50 清滝 = 16:10 宇都宮IC = 17:20 日立南IC = 17:50 日立自宅
d)同行者:和子
e)地形図:1/25000 「男体山」
(前白根山登山ルート)

(前白根山登山ルートの標高差)


3.山行記録
早起きして我家を5時に出発、日立南ICから高速に乗り、少し近道をしようと思って真岡ICで高速を下りて日光街道の宇都宮ICまで一般道を走った。渋滞はなかったが信号待ちもあって時間は少し余計にかかったかもしれない。清滝ICの先のコンビニで朝食を取り昼食を買い込んで登山口の金精峠の駐車場に8時に到着した。駐車場は既にいっぱいで、最後のスペースに車を入れた。
駐車場の上に金精山が朝日を受けて岩肌を明るく光らせていた。
ナビの調整をし身支度を整えて金精峠への登山道に入って登り始めた。道はいきなりの急登、次々と出てくる丸太の階段やザレ場、岩場も雨水に洗われて、前回の手白沢温泉縦走時よりも一段と荒廃が進んでいるように思えた。朝日に背中を焼かれて汗を絞られ、Tシャツ一枚になって登って行った。ゆっくりと登って行くと単独行の男性が追い越していった。
(駐車場から見上げた金精山)
(金精峠への崩れた登山道)

金精神社に着いて御神体に今日の登山を元気に歩けるようにお願いをして、神社前の広場で一休みした。手白沢温泉へ縦走時にはここから温泉ヶ岳に向かったのだ。
神社の左側を登って行くと、目の前に金精山の頭が見え、左に湯ノ湖の上に男体山や大眞名子、右に菅沼が見え燧ヶ岳などの山々も見えていた。道端にはノコンギクやカニコウモリの群生が見られ、特にカニコウモリは山頂まで広く群生していた。
(金精神社)
(カニコウモリの群生)

神社を過ぎて初めのうちは尾根を辿る道だったが、金精山の急斜面に近づくと岩っぽい道になり、金精山の右斜面をトラバースするように回り込んでいった。
その先に「登山道に亀裂あり」とおっかない注意札が立っていて、いよいよ険しい山道になってきた。
(巻道を登る)
(山頂近くはまた荒れた登山道)

噴火の溶岩のような岩場では、一昨日の大雨での濡れが残っていて足元が滑りやすく、ロープや岩角を手掛かりに攀じ登って行った。
何ヶ所か梯子もあったが、横木が斜めに傾いていたり壊れかけたものがあったり、固定がロープで引っ張っただけで足を乗せるとぐらぐらするものがあったり、気持が悪いことこの上なかった。励ましてくれる仲間がいない二人連れでは、先日の大キレットよりも怖さがつのる。「下りはもっと怖いだろうな」とぼやきながら登って行った。
(ロープ場)
(梯子場)

登るにつれて左の視界が開けてきて、菅沼の青い湖面や燧ヶ岳が広く綺麗に見渡せるようになってきた。
山頂に登り切ると、目の前に男体山の雄姿があり、その左に大眞名子、小眞名子、女峰、太郎山、温泉ヶ岳と並び、眼下に湯ノ湖があり、右遥かに中禅寺湖も見えるようになっていた。
(菅沼・燕巣山・燧ヶ岳)
(太郎・女峰・小眞名子・大眞名子・男体山)

金精山に登り着いて証拠写真を撮り、お八つを口に入れて展望を楽しみながらホッと一息入れた。気温は18℃、下界の暑さとは別世界の涼しさで気持がいい。
ゆっくりと休んで次に向かう。金精山はどっちを向いても急斜面だ。樹林の中の急坂を下って最低鞍部に着いて振り返ると、金精山と温泉ヶ岳が間近に見えていた。この辺りが国境平かと思ったがここは崖の上で湯元への分岐がない。そのまま尾根道を歩いて行くと、早朝に駐車場に車で入って登り始めた登山者がそろそろ下ってくる時間になってきて、何人もの登山者と挨拶を交わしながら行き交うようになってきた。男性が多かったが、上天気にみんな機嫌が良さそうだった。
(金精山山頂)
(樹林の急坂を下る)

国境平は一登りしたところにあり、立派な標柱が立っていて湯元への分岐標もあった。
国境平からは笹原の中のなだらかな道を歩き、一つ小さなピークを越えるとシャクナゲの多い樹林の道になり、一登りすると笹原の向こうに五色山が見えてきた。
(国境平)
(なだらかな笹道)

五色山に登ると大きなケルンのそばに山頂標と道標があり、行く方は「前白根」だが、来た道は「湯元」、右に下る道は「弥陀ヶ池」になっていた。
山頂部は石がゴロゴロする広場のようになっていて展望がいい。目の前に奥白根山がドーンと聳えており、その下に五色沼がコバルト色に輝いていて、奥白根山の絶好の展望ポイントだった。五色沼で遊ぶ大勢の登山者を眺めながら、「9年前に菅沼から奥白根山に登った時に同じようにこの湖畔で遊んだよな」と話し合っていると、ケルンの脇で休んでいた若い男性が、「写真を取りましょう」と言って、二人をあちこちに立たせてシャッタを押してくれた。お陰様でいい記念写真が撮れました。
男性は菅沼から奥白根に登って、11時に今、もうここにやってきている健脚者で「金精山の展望は良かったか」と御下問あり「湯ノ湖、男体山方向の展望が良かった。金精峠への下り坂が壊れかけた厭らしい道」と答えると、地図を眺めながら「どっちを歩いても時間は同じだな」と呟いて、金精山に向かって下って行った。健脚である。
(五色山山頂にて)

五色山から前白根山まではなだらかな稜線が続き、どっちを向いても展望がいい気持のいい尾根歩きだった。
(前白根山)
(気持いい尾根歩き)

稜線を登り切ったところに「五色沼」「湯元」の道標が立っていて、ここが前白根山頂かと思ったら、山頂標はなだらかな山頂部を50mも歩いた先に立っているのが見えていた。360度の大展望を楽しみながら、インスタントみぞ汁を作ってコンビニで仕入れたおにぎりをほおばった。冷たい風が吹いてきてTシャツ一枚では寒くなって一枚はおらなければならなかった。
休んでいるうちに大勢の登山者が登ってきては下って行ったが、意外に中高年は少なくて若者のグループの方が多かった。中には、山頂のケルンに立っていきなりホラ貝を高らかに吹き鳴らしてびっくりさせてくれた元気な若者もいた。
(前白根山山頂)

(前白根山からのパノラマ)

食事を終えて「これからどうするか相談」の予定だったが、二人ともここまでの三山の上り下りで十分に疲れた気分になってしまっていて、奥白根に登るのは勿論却下、五色沼に下って五色山に登り返す案も論外、来た道を引き返すことに即決した。
帰りの下り道では、登り返さなければならない次の五色山の長い斜面がよく見えていて、げんなりとさせられた。
途中にはシャクナゲの群生が多く、花の季節にはさぞ綺麗だろうなと思われ、季節を睨んでもう一度登ってきてもいいなと話しながら下って行った。
(五色山に向かって)
(シャクナゲの林を下る)

五色山に登って国境平に下ると、今度は金精山への登りが見えてくる。急坂だが標高差は100mもないと言い聞かせて樹林の中を登って行った。岩っぽい樹林で登山道のほかにあちこちに踏跡が出来ていて、適当に選びながら歩いて行った。
(金精山)
(金精山への急登)

金精山で一休みしていよいよ問題の崖下りが始まった。濡れてすべりそうな岩場の下り、壊れた梯子をかわしての下り、登るときに心配した通りに苦労しながら一歩一歩下って行った。
下で若夫婦に待って貰ってロープ場を下ることになり、「この人達今からどこまで登るのかなあ」と余計な事を考えていたら、片足が岩肌をズルッと滑った。三点確保で大事はなかったが「くれぐれも慎重に慎重に」
(金精山からの下り)

金精神社前でも温泉ヶ岳から下ってきてお休み中の若夫婦がいて「こっちはどんなですか」と聞かた。「金精山の山頂近くの崖が厭らしいが、その先は展望が良くて気持ちいいですよ。これからどうですか」と誘うと、「温泉ヶ岳でもう十分に疲れた。訓練して元気が出てきたら」と謙虚なご挨拶。
神社から駐車場までの道は登るのは3回目だが下るのは初めて。気分的には登るとき以上に疲れ、時間も同じぐらいかかっていた。五色山のシャクナゲ見物に登るとすれば金精山はもう沢山だ、ここからではなくて湯元温泉から登ってみよう。
(金精峠からの下り)

山行中が涼しくて余り汗をかかなかったので、日帰り入浴は止めにしてまっすぐ日立に帰ることにした。車の窓を開け放って戦場ヶ原まで下ると30℃近い気温、氷水が欲しくて休憩所に立ち寄ったが、どの店でも氷は置いてなくてソフトクリームで我慢させられた。中禅寺湖から帰りの車の渋滞にはまり、いろは坂ではのろのろ運転になったが、その後は快調に走ることが出来た。スーパでデリカテッセンの夕食を買い込んで我家には18時前に帰りつき、風呂で汗を流して冷たいビールでかんぱーい!


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