Y14.宝篋山(極楽寺コース〜山口コース)
1.動 機 水戸アルパインクラブの一月例会は、「宝篋山に登って富士山を眺めよう」が謳い文句で、谷筋の極楽寺コースを登って展望の山口コースを下った。富士山は残念ながら霞んでいたが、前夜の雪で登山コースに新雪が積もっていて陽の光を受けてとっても綺麗、いつもの仲間と気持のいい陽だまりハイキングを楽しんだ。 宝篋山は筑波山の南麓にある461mの低山で、7年前つくば市がハイキングコースを開いた。我家も6年前にそのニュースを新聞で読んで登ったのだが、その時は山口コース1と山口コース2を歩いたので極楽寺コースは初めてだった。 2.データ a)山域:宝篋山(461m) b)登山日:2011/1/16(日)晴 c)コースタイム:
e)地形図:「常陸藤沢」 3.山行記録 前夜から降り始めた雪は朝まで降り続き、朝目覚めて外を覗くと7cmぐらい積もっていた。朝食を食べて車を出すと、家の前の坂道を発進するときスリップした。バス会社まで歩くことになるととても間に合わないと心配したが、何とか発進、バス会社の駐車場までゆっくりゆっくりとブレーキも踏まないように運転して行った。無事駐車場について一安心。
プロのバス運転手も慎重運転で遅れ気味、東海、勝田、水戸と仲間が乗って来るが、バスが着くまでバス停で待つ寒さが大変だったらしい。こんな時は、バスに乗る直前まで車の中にいる我家は幸せだ。水戸ICから常磐道に乗り、新装なった友部PAでトイレ休憩して石岡ICで一般道に降りた。茨城中部のこちらの道にも雪が積もって凍結しており、スリップして路側に乗り上げている車が何台もあった。 登山口の小田休憩所へ入るところの角をバスが曲がりきれないので、車道で下車して休憩所まで歩いていくと、休憩所そばの駐車場から宝篋山が綺麗に見えていた。現地集合のFuさんも雪道を苦労しながら運転してきて同時刻に到着して全員集合。休憩所のトイレを使わせていただいて、前庭で準備運動をして歩き始めた。
極楽寺コースは休憩所からまっすぐ宝篋山に向かう農道を歩いて行く。白い田圃の向こうに宝篋山を見ながらゆっくりと歩いて行った。
刈り取った稲株から芽を出した稲穂が田んぼ一面に広がっており、それに雪が張りつき逆光でキラキラと輝いている光景が綺麗だった。
このあたり一帯は清冷院極楽寺があったところで色々な遺跡を見ることが出来る。歩いて行くと道のほとりに石の囲いに収まったお地蔵さんが立っておられ、立札には13世紀末の建造された石造地蔵菩薩像で、石囲いとともに県指定の彫刻に指定されたとあった。
更に歩いて「三村山極楽寺五輪塔」の道標に従って左の分岐に入ると、高さ2.765mの五輪塔があった。バスの中でInさんが解説してくれたところによれば、五大思想を反映して空輪・風輪・火輪・水輪・地輪の五部位からなっている。立札には「ここの五輪塔は鎌倉時代後期のもので全国的にも珍しい本格的な五輪塔である」とあった。
五輪塔が極楽寺の最奥部になり、ここからは山道を歩くようになった。山道は谷合の沢に沿って伸び、沢を何度も渡りながら登って行った。
沢には小さな滝がいくつも現れ、小さな滝にも「こころの滝」とか「白滝」とか、色々と名前が付けられていた。
白滝の脇で衣服調整をしてから登って行き、大岩がごろごろする所を過ぎると、傾斜が増してロープを張ったところも出て来た。登り切るとこぶしの大木・太郎こぶしがあり、小田城コースへの純平歩道の分岐がある。ここからトラバース道になりその先に常願寺コースへの純平歩道の分岐があったので、このトラバース道を含めて常願寺コースと小田城コースを繋ぐ道を純平歩道と呼んでいるらしい。純平歩道からは霞ヶ浦方向の展望が開けていた。
こぶしの木が目立つ道を登って行くと山桜の森に着いた。ここは極楽寺コースと常願寺コースの合流点で、まわりには多くの山桜の木が立っていた。サクラの時期には綺麗になることだろう。ベンチもある広場で一休みした。
一休みしてなだらかに登って行くと「宝篋峰城防御掘」「宝篋峰城跡」の立札があり、目の前に山頂の通信施設の巨大な鉄塔が見えて来た。
更に登って行くと木の鳥居があり、これをくぐると山頂で、鎖で囲まれた中に高さ2.51mの立派な宝篋印塔が立っている。この宝篋印塔は奈良西大寺の高僧が引き連れてきた西大寺系石工集団により造立されたもので関東一円では最古のものらしい。
山頂からは360度の展望が広がり筑波山が目の前にすっきりと見えていた。「関東富士見百景」の石碑が立っていたが、期待した富士山は残念ながら見ることが出来なかった。日光や那須の山々も雲に隠れていて、先日の筑波山と同様に東京スカイツリーで代役とした。
みんなでベンチに陣取って弁当を広げた。色々な食材が回ってきて、話も尽きなかったが、時々日が陰ると寒くてじっとしているのが辛い。1時間の昼食時間を切り上げて下山にかかった。
樹林帯の中の急坂を足を滑らさないように気を付けながら下っていくと、展望の良い広場に出た。大きなモニュメントがあり裏には「万博の森」とあり、科学万博つくば85を記念して造られたものとあった。日光の山はまだ雲に隠れていた。
しばらく明るい気持のいい登山道が続いたが、谷間を巻いて対岸に回り込むところで突風が吹いてきて、木立に積もっていた雪を一気に吹き飛ばした。舞い上がる雪が逆光を受けてオーロラのように(見た事ないのだが)時々刻々変化して綺麗だった。
その先にはパイプから水が流れ落ちているところがあり「宝篋名水」とあった。夏なら飛び付くところだが、今日は寒くて味わってみる気もしなくて通過した。
杉の樹林帯では、実をびっしりと付けている枝が垂れ下がっていて、これを見るとこの春の花粉症が心配になってきた。そろそろ対策を始めないといけない時期になった。 どんどん下って平地に近くなると、向かいに筑波山がまた姿を現してきた。この辺りから見る筑波山の双耳峰は格好がよかった。
山口の集落に近くなり畑地に出てくると、後ろに宝篋山が見えてきて、あそこから下りて来たんだとみんなで振り返って感慨に浸る。
山口の集落に入ると北条大池があり、水鳥が沢山泳いでいた。
湖畔を歩くと平沢官衙遺跡の駐車場があり、帰りのバスが待っていた。案内所で資料を見ると、この遺跡は奈良・平安時代の常陸国筑波郡の役所跡で、昭和55年に国の史跡指定をうけたとのこと。 広大な広場にはあちこちに遺跡群の基礎跡を示す柱が立っており、税収の穀物を保管した3棟の高床倉庫が復元されていた。筑波山をバックにして古代の建物を見ていると異次元の世界に迷い込んだような気持になってきた
帰りのバスは現地集合のFuさんを小田休憩所まで送ってから引き返してR50に向かった。時刻は予定よりも早かったので急ぐことはないので高速には乗らないで一般道を走る。途中のJAつくば農産物直販所に立ち寄って、Inさんお勧めの苺を買いこんだ。とても甘くて美味しいイチゴだった。
バスの中で平沢官衙遺跡の案内所にストックを置き忘れたのに気がついた。電話で保管しておいていただくよう依頼したので、近日中にまた出かけなけれなならなくなった。今度はまだ歩いていない常願寺コースを登って小田城コースを下るルートにしたいが、富士山が見えると念願がかなう。 |