Y114.羽賀場山からお天気山へ
(栃木県の山完登)

1.動 機
分県登山ガイド「栃木県の山」に載っている52コースを虱つぶしに歩いてきて、今年7月には横根山と夕日ヶ岳に登って、残るのはNo.35の前日光にある「羽賀場山」だけになっていた。11月も半ばになれば、低山でも、もう紅葉も始まっているだろうと期待して、秋の好天の日を選んで「栃木県の山」完登を目指して「羽賀場山」に日帰りで出かけ、「栃木県の山」に記載の通りに羽賀場山からお天気山に縦走するコースを歩いた。羽賀場山からお天気山への縦走路とお天気山から上大久保への下りコースには、ロープも張られた物凄い急坂が随所に現れて、始まったばかりの紅葉の中で変化のある面白い山行を楽しむことが出来た

2.データ
a)山域:羽賀場山(775m)、お天気山(777m)
b)登山日:2011/11/12(土)晴後曇
c)コースタイム:日立自宅 7:40 = 7:55 日立南IC = 8:45 壬生IC = 9:25 長安寺駐車場 9:35 ---- 9:45 登山口 ---- 10:10 #217鉄塔 ---- 10:40 #267鉄塔 ---- 11:15 羽賀場山 11:30 ---- 12:30 ・777山(昼食) 12:55 ---- 13:15 お天気山 13:25 ---- 13:35 二ノ宮 ---- 13:50 一ノ宮 ---- 14:15 分岐 ---- 14:40 上大久保バス停 14:55 = 15:05 天王橋バス停 ---- 15:10 長安寺駐車場 15:20 = 16:00 壬生IC = 16:55 日立南IC = 17:10 日立自宅
(お天気山・羽賀場山縦走ルート)
(お天気山・羽賀場山縦走ルートの標高差)

d)同行者: 和子
e)地形図:「文挟」

3.山行記録
朝食を済ませ、車のナビに古関を行き先指定して出発すると、ナビは横根山と夕日ヶ岳山行の時と全く同じように日立南ICから高速に乗り、北関東道を走って壬生ICで一般道に下り、R121を走って鹿沼の街に入り、古峰原へ向かう県道鹿沼日光線を案内した。古関に到着し、少し先に進むと右手に「長安寺」の立派な石柱が立っており、ここを右折するとすぐに「長安寺駐車場」があった。ここに車を停め、身支度をして歩き始めた。
駐車場のすぐ先に「羽賀場山登山口」の標識が立つ登山道が右手の斜面に登っていたが、下調べで長安寺経由で登ることに決めていたのでここを通過すると、100mばかり歩いたところに「長安寺参道入口」があった。
(長安寺駐車場)
(長安寺参道)

参道を進むと、全体が緑色に見えるほどにイワヒバがびっしりと生えている石段があった。長安寺の名物らしいこの「イワヒバの石段」をイワヒバを踏まないよう気を付けながら登り、本堂手前で右に向かった。今日のコースはどれぐらい時間がかかるか定かでないので、本堂参拝はパス。
子犬のはしゃぐ休憩舎の前に「羽賀場山入口」の道標があり、その先に黄色い標識が立つ東電の鉄塔点検路があった。標識には「新栃木線217号に至る」とあった。
(イワヒバの階段)
(鉄塔点検路入口)

プラスチックで補強された点検路を登って行くと、すぐに駐車場からの登山道に合流した。ここからも薄暗い植林の中にジグザグ道の急登が続くが、整備されていて歩きやすい。間もなく尾根に達すると栃木県の境界標識がある尾根道になり、勾配はややなだらかになる。
最初鉄塔の#217鉄塔下に着いたが、樹木に遮られてあまり展望はよくないのでそのまま通過。
ときどき雑木林になったりするが、主として暗い杉林の尾根筋を北の方向へ登ってゆく。
(植林の中の急登)
(植林尾根の登山道)

二番目の鉄塔、#267鉄塔からは西側の展望が開けていて、送電線が伸びている先に鳴蟲山の端正な山容がうかがえた。横根山辺りの山々が見えないかと見渡したが、残念ながら高い山は雲の中だった。
二番目の鉄塔から#268鉄塔に向かって雑木林と杉林の中を緩急を繰り返しながら北に向かって歩いて行くと、西に向かう主稜線への急登が待っていた。
(2番目の鉄塔)
(黄葉の道)

ここまで緩やかな道を歩いてきたので、目の前の急斜面を登るのがとてもきつそうだなと思っていると、急斜面を左に向かうなだらかな道が目に入った。これを歩けば緩やかに主稜線に上がれるだろうと期待して、この分岐道に入った。
分岐道は緩やかに登っては行くが、主稜線も高度を上げて行くので200m歩いても一向に稜線に近づかない。向かいに岩っぽい急斜面が見えてきて、このまま歩いて行っても楽に稜線に上ることは出来ないと悟って、足場がしっかりしていそうな斜面を攀じ登ることにした。
この急斜面登りは、本来の斜面を登るよりも急斜面を登ることになった。
(巻道を選択)
(結局は登り返しの急登)

主稜線に登り着いて一息入れていると、足取りの軽い単独行の男性が稜線の道を登ってきた。「間違いやすい分岐があると聞いているので、気を付けながら歩いている」と言いながら軽い足取りで追い越して行った。第二の鉄塔の処で二人連れの話声が後ろに聞こえていたのだが、他に出合う人はなかったので、我家が巻道で迷っている間に通過して行ったのだろう。
ここから西に方向を変えて歩いて行くと、右側が少し開けたところがあり、笹目倉山の双耳峰が見えていた。ほとんど展望のない植林地歩きのこのコースでは、時たま現れるこんな景色がとても嬉しい気持にしてくれた。
その先で、右に伸びるなだらかな稜線にはっきりとした踏跡があって引き込まれそうになったが、地形図を見るとここは左に曲がらなければならない。左の急斜面の下の稜線に登山道が伸びているのが見えて、この急斜面を下って無事で済んだ。
その先の羽賀場山直前のピークまで来たときにやっと目の前の樹間に羽賀場山の三角錐の山容が見えて来た。山頂は近いと元気を出す。
(笹目倉?)
(羽賀場山)

一旦下ってから一登りして羽賀場山の山頂に着くと、先ほどの男性が記念写真を撮り終わって次に向かうところだった。「お天気山まで歩くのなら、この先にも迷い易いところがあるそうだし、色々危ない所もあるようなので気をつけて下さい」と親切な助言をしてくれて次に向かって行った。
お天気山に向かう羽賀場山からの下りはなかなかの急坂、落葉のしたに木の根っこも隠れていて滑りやすく、立木に掴まりながら慎重に下って行った。
(羽賀場山山頂)
(急坂下り)

急坂を下り切ると、左が植林、右が雑木の瘠せ尾根歩きがしばらく続いた。その先でまた右の尾根筋に引き込まれそうな処があったが、ここも何とか間違えないで左の急斜面に向かって無事に済んだ。
ここからは植林の瘠せ尾根が続き気持よく歩いて行ったが、また急登になり、登り切るとまた急坂下り、二つ目のピークの先では前を行く和子の足が止まってしまった。先が崖で行き止まりになったと言う。良く見ると、この急斜面にも薄い踏跡が認められ、下の方にロープが張ってあるのも見えていた。樹林に落ち込む様な岩っぽい急斜面をロープや立木に掴まりながら慎重に下った。
(瘠せ尾根)
(ロープ場下り)

崖を下るとすぐにまた登りが待っていた。今度の登りは長い。岩っぽい斜面を登ってやっと・777mのピークに着いたと思ったら、・777mはもう一つ先だった。
(鞍部から)
(また急坂登り)

気を取り直して少し下って登り返して・777のピークに登り着いた。展望が良いだろうと期待したが、狭い山頂は立木に囲まれて展望はなく、「P777m」の標識があるだけだった。山頂を少し下ったところが展望が開けていて、ここで紅葉と何処か判らない山々を眺めながら弁当を広げた。
昼食を終えて・777m峰を雑木林の道を下るとなだらかな尾根道になったが、少し歩くと崖の上に出て前の展望が開けた。
(・777m)
(・777の先で昼食)

崖上から見えたのは、羽賀場山の手前で見えていた笹目倉だった。その後ろは山頂を隠してはいるが7年前に同期会で登った鶏鳴山だろう。
崖を下ろうかと覗いてみたが、上からでは崖面が見えないところもあって諦めた。崖の左側に踏跡が下っているのを見つけてこれを下ってから振り仰ぐと、この崖は登るならともかく、とても下れるような崖ではなかった。
崖を下って尾根道を進むと、目の前に小さな岩頭が現れたが、これも左に巻道があって問題なく通過することが出来た。
(笹目倉山と鶏鳴山)
(崖を巻いて下る)

黄葉の綺麗な斜面を登って行くと、お天気山の山頂部の手前に二つの道標があった。勉強不足で2枚の道標の意味がよく判らない。
一枚目は、ここがお天気山で、来し方が羽賀場山で直進すれば下山できる。もう一枚は直進すれば二ノ宮に向かい、左に曲がれば板荷に行くらしい。直進すれば二ノ宮に下山出来るということだと解釈した。
 山頂に上ると視界は開けているが、残念ながら雲が増えてきていて遠くの山を隠しており、日光の山も見ることが出来なかった。
(お天気山山頂の2枚の道標)

山名板には「お天気山」のほかに「天強山」「天久山」の表示もあった。ここから下る登山道にあった道標には「天久山」と表示されているものが多かった。
お天気山の標高は地形図にも表示がないが、ここの山名板には777mと・777m峰と同じ標高を書いてあった。その山名板の前で証拠写真を取った。
一休みして下山する時になって混乱した。山頂に立っている登山道案内図を見ると、「ここを直進して尾根道を二ノ宮の山頂まで歩いて、そこから一ノ宮に向かって下れば2時間でバス停に着く」と読める。和子は案内図に従って西に向かうはっきりとした道に行こうと言うが、西に向かうと随分遠回りになりそうだ。
(お天気山山頂)
(山頂の案内板拡大)

山頂から南側を覗きこむと、崖の様な急斜面だが、何となく踏跡があるようにも見え、ロープも張ってあるように見える。山頂部の手前の二つの道標のところまで引き返すと、ここから下る踏跡があった。
崖に出来ている足場を踏みながらロープのある所まで下ると、「ここから下山約1時間で上大久保バス停」というメモがロープに巻きつけてあった。これを見て、和子もこの急坂を下る覚悟を決めた。
山頂からの下り始めは物凄い急降下で、ゆっくりゆっくり足場を確かめながら下って行った。この厳しい下りをやり過ごすと、今度は巨岩が聳え立っており、両側の崖も深く落ち込んでいて行く手を阻んでいた。どうしたものかと近くまで下ると、岩の左が岩棚のようになっていてその上を歩いて難なく通過することが出来た。
(ロープ場)
(岩のピーク)

この岩の間を縫うようにして進むと、その先の松の木の陰に小さな石の祠があった。祠のところから少し下った平坦な所に道標があって、ここが二ノ宮であることを示していた。ここが二ノ宮であるということは、この崖を下って来るのが正しいコースだったわけで、山頂部から北に向かう尾根道を進むのは間違いのように思われた。
(二ノ宮)
(二の宮道標)

二ノ宮の道標のところから10分も下ったところに分岐があり、左の谷間に下る道と、直進して一ノ宮に向かう道とがあった。このあたりに、赤く紅葉しているカエデの木が数本あり、周りの黄葉の中で際立っていた。
分岐点からわずかに登り返してから緩やかに下ると、一ノ宮の石碑が2体あったが、一体は崩れてしまっていた。
(真っ赤なカエデ)
(一ノ宮)

一ノ宮からは植林の中を下ることになったが、これまた物凄い急斜面、ストックだけでは足元が危なっかしい。張られている長いロープに助けられながら、こんな急斜面によくも植林作業が出来たものだと感心しながら、汗をかきかき下って行った。
急斜面を下ったところに分岐標識があり、一方は一ノ宮を通る今下ってきた道、他方は二ノ宮の下の分岐点のところに登って行く道だ。分岐点のところに直接登る道はどれぐらいの傾斜なのだろうか。
(植林の中の急坂)
(分岐標識)

分岐標のところからは雑木の中のなだらかな道になり、やがて広い立派な墓地を通過して上大久保の集落に出た。お天気山山頂から1時間15分、メモの1時間よりすこし長くかかったが、案内図の2時間よりはずっと早かった。
無事に歩き通してほっとし、お天気山を見上げながら、ここからお天気山に登ったり、羽賀場山へと今回と逆コースで歩く人もいるのだろうが、それはきついだろうなと思った。
(やっとなだらかな道)
(上大久保集落)

道なりに歩いて行くとバス停に出て、そこには山頂にあったと同じ天気山登山道案内図があった。図は同じ図を縦横比が変っているだけで、説明文も「バス停まで」が「山頂まで」に変わっているだけ。所要時間も同じ2時間である。
山頂から下った処にあった二ノ宮も麓から見上げれば一つのピークに見える。これで判った。山頂の案内図はこの麓の案内図を、登山には無関係な人が真似して作ったものだろう。下りの所要時間を登りと同じになっているのは安全サイドではあるが、展望図を見て山頂から西の尾根に進む人がいなければいいがと心配ではある。
(登山道案内図)
(お天気山・羽賀場山の山並み)

バス停まで下ってきたのはバスの通過時刻の15分前、長安寺までの3.6kmを歩かないでバスで帰れることに安堵して、暖かいコーヒを飲みながら一休みした。
古峰原から時刻通りに正確にやってきたバスに乗って、100円払って天王橋バス停で降りて、長安寺のバス停に戻ると、停まっている車は出発時と同じく我家の車だけだった。
(上大久保バス停)
(長安寺に戻る)

なかなか歩き甲斐のある変化の多いコースを歩いた満足感で満たされて、帰りの車も気分良く運転することが出来た。




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