V623.ミヤマキリシマを求めて九州山行
(3日目:大船山・平治岳)

1.動 機
この度、ミヤマキリシマの最盛期に阿蘇山、九重山、由布岳と3泊4日で歩く山行が水戸アルパインで計画され、夫婦二人で参加してきた。2日目の久住山に続いての3日目は、九重連峰の東部を歩く山行で、法華院温泉から出発して坊ヶツルに下り、大船山(だいせんやま)に登って北大船山を経由大戸越(うどんごし)に下り、平治岳(ひいじだけ)を往復後坊ヶツルに下り、雨ヶ池を通って長者原(ちょうじゃばる)まで歩いた。
梅雨時には珍しい好天に恵まれて、北大船山と平治岳でミヤマキリシマの素晴らしい大群落を堪能できた。

2.データ
a)山域:大船山(1786m)、北大船山(1706m)、平治岳(1643m)
b)登山日:2008/06/09(月)晴
c)日程:
法華院温泉5:55 ---- 6:10分岐---- 7:05五合目 ---- 7:35段原 ---- 8:00大船山8:10 ---- 8:35段原 ---- 8:40北大船山8:55 ---- 9:40大戸越9:55 ---- 10:30平治岳11:00 ---- 11:10下山口 ---- 11:30大戸越12:00 ---- 12:45坊ヶツル12:55 ---- 13:45雨ヶ池13:55 ---- 15:00長者原15:25 = バス = 湯布院ホテル

d)同行者:水戸アルパイン会員(男11、女11)、和子
e)地形図:1/25000 「九重山」

3.山行記録
法華院温泉からは早立ちになり、昨夜作られた弁当を食堂で食べて出発する。今日は大船山と平治岳に登って長者原まで歩く予定だが、A班は平治岳だけに登ってバスが待つ長者原で合流することになった。
宿の前で全員の集合写真を撮り準備運動をしてから坊ヶツルに下った。天空は晴れているように見えるが、山裾はガスッていてちょっと心配させる。サワオグルマやアヤメが咲く坊ヶツルに入り、長者原への道を左に分け、避難小屋の先で平治岳に向かうA班と別れて大船山への登りにかかった。
登山道は始め深く掘られた岩の多い道で、樹木に覆われて雨に濡れた火山灰がなかなか乾かないのかドロンコの坂道になっていて歩きにくい。一つのピークを越えて台地を歩くと五合目の標識からまた急坂になり汗を搾られた。
(坊ヶツルへ下る)
(火山灰の泥道))

そこまでちらほらと見えていたミヤマキリシマが、このあたりから群落で見られるようになり、尾根分岐の段原に上がると最高潮になった。ガスがまだ濃いので先がよく見えないが、これから段々と晴れてくれば相当広い群落が見られるだろうと楽しみになった。
段原から大船山に向かう登山道の両側はミヤマキリシマの樹で囲まれているのだが、このあたりはまだ花はまだ蕾のまま、開花して綺麗になるのは少し先のようだった。岩だらけの大船山の山頂に登りついたが、360°の大展望のはずが、ガスで何も見えない。記念写真だけとって段原に引き返した。段々と視界が晴れてきて、段原では、ミヤマキリシマの上に大船山が何とか見えるようになっていた。
(段原のミヤマキリシマ
(大船山山頂)

段原から反対方向の北大船山に向かうと、先の方で「スッゴーイ!」という黄色い歓声が上がった。追いついてみると、北大船山の周りはミヤマキリシマの花が一面に咲き乱れ、折から射し始めた日の光を浴びて、えもいわれぬ光景になっていた。みんな思い思いの場所を選んでポーズをとってはシャッタを押してもらっていた。
(北大船山のミヤマキリシマ)

北大船山から鞍部の大戸越への下りは始めは緩やかだったが、後半は木の枝を持ちながら下る急坂になった。目の前に平治岳の山容が大きく見えるが、上の方はピンク一色、その間を多くのハイカーが上り下りしているのが見えていた。ピンクのところに日が当たると良い写真になりそうだったが、お日様はいつまでもそこだけを避けているようだった。
大戸越に下りて、ピンクに染まった平治岳を見上げながら一休みし、ここにザックをデポして登りにかかった。ミヤマキリシマの群生の中に作られた登山道は、狭くて時々段差もある急坂で汗を搾られた。ザックを置いてきて良かった。この登山道は登り専用で、下りの道は別にあった。上り下りが共用だったら大変な渋滞になりそうだった。
(大戸越から平治岳)
(平治岳への登り)

左に下り専用道を分けて大岩の目立つ南の肩に上がると、行く手に、下からは見えなかった平治岳山頂から左にのびるなだらかな山容が、見事なピンクに染まっていた。
(南肩からミヤマキリシマ満開の平治岳を仰ぐ)

肩から少し下って山頂への登りも、ピンクの中を歩く嬉しい登山道だった。みんな振り返っては平治岳山頂をバックにシャッタを押してもらっていた。写真を撮ったり、眺めたり、ゆっくりと登っていった。
山頂では証拠写真だけ撮って、もっと見事に見える西側の方に向かって下っていった。
(平治岳山頂へ)
(平治岳山頂)

ここが今日一番の情景を見せてくれた。山の斜面にはミヤマキリシマが今が盛りと一面に咲き誇り、向かいに三つのピークの三俣山、噴煙を上げる硫黄岳、高い中岳、下には坊ヶツルの草原と法華院温泉を配した光景は絶景だった。何時までもゆっくりとしていたい場所だった。
(平治岳から坊ヶツルと三俣山)

名残惜しいが西の肩と山頂とで集合写真を撮って下りにかかった。南の肩から下り専用の道に入って、西斜面の見事なミヤマキリシマを眺めながら大戸越に下った。綺麗だった花の絨毯のことを話し合いながら、法華院温泉謹製の弁当を開いた。
大戸越から坊ヶツルへの下山道は大船山への登り口よりももっとドロンコ道で大変だった。少しでも歩きやすくしようと「1人1石運動」の看板が入口に立っていた。登山口から各人に石一つを担ぎ上げてドロンコ道に投げ入れてもらう運動で、A班の人たちは1人1石づつ協力したそうである。
(大戸峠と坊ヶツルの間はドロンコ)
(ドロンコ道に石を運びましょう)

坊ヶツルに下ってトイレを借用し、水場で冷たい水を補給して長者原に向かった。玖珠川源流の立札のある橋を渡って、始めは広い大船林道を歩き、すぐに三俣山北峰の山裾の道に入った。段々と遠くなる大船山や平治岳を振り返りながら緩やかに登っていって、木道のある雨ヶ池に着いて一休みした。池という名がついているが、水面はどこにも見当たらない。大雨が振ったときだけできる池という意味なのだろうか。
(三俣山の山麓を雨ヶ池へ)
(雨ヶ池)

雨ヶ池から緩やかに下っていくと、長い道のりの先で長者原の広い草原に入った。木道が縦横に敷いてあるが、今は咲いている花もなくて閑散としている。
(長者原)

すぐにレストランのある大きな休憩舎に入ってA班と合流した。2時間も待っていたとの由で、ビールを飲んだりラーメンを食べたり、すっかり出来上がっている人もあった。
ドロンコの靴やスパッツを洗い、バスに乗って由布院に向かった。途中、車窓から見えた独特の双耳峰を持った由布岳がやけに高く見えていた。この日のホテルが今回最高の豪華宿舎であり、見事なミヤマキリシマを祝って大いに盛り上がったのでした。





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