X15.鍋足山

1.動 機
下山さん、大矢さんと私3人が幹事役で、同期の仲間の山歩きを4月に一泊二日で行うことになっている。宿を何処にするか温泉宿を下見して回ることになり、そのついでに近くの山歩きをしようとご夫人連れで集まった。朝9時に集まって、温泉宿を回って現地調査している間に雪が降り始めて一旦は山歩きを諦めたが、道の駅で最終打ち合わせをしている間に雪が止んできて空が明るくなってきた。また山歩き希望が復活し、近年下山さんがせっせと歩いている鍋足山を案内してもらうことになった。鍋足山は3年前に同じメンバーで険しい中ノ滝ルートを案内してもらったが、今回は下山さんが易しいとおっしゃるルートを案内してもらった。

2.データ
a)山域:鍋足山T峰(529m)、鍋足三角点峰(552m)
b)登山日:2010/01/29(金)雪後晴
c)コースタイム:笹原登山口 11:25 ---- 11:40 ハッチメの滝展望所 ---- 12:20 鍋足山T峰(昼食) 13:05 ---- 13:10 キレット通過 13:20 ---- 14:00 鍋足三角点峰 14:20 ---- 14:25 猪ノ鼻峠分岐 = 14:50 大ブナ 14:55 ---- 15:25 笹原登山口
(鍋足山周回ルート)
(鍋足山周回ルートの標高差)

d)同行者:下山夫妻、大矢夫妻、和子
e)地形図:1/25000 「大中宿」

3.山行記録
笹原登山口の駐車場に入ると、朝方の雪の所為か停まっている車は一台もない。身支度を整えて歩き始め、すぐ先の分岐で、3年前は「中ノ滝・北ノ入滝入口」への山道に入ったが、今回は「鍋足山」方向に林道を直進した。
(笹原登山口からスタート)
(今度は直進)

林道わきにはミツマタの群落が今にも咲きそうになっていた。途中「団子石滝・銚子の口滝入口」という初耳の滝への新しい道標を過ぎるとハッチメ滝が見えてきた。今日は黒い岩肌が見えるだけで流れはなく淋しかった。
大石がごろごろする斜面脇を通り過ぎて谷合を進むと、左の斜面に「鍋足山」の道標があった。右に下れば3年前に下ってきた険しいルートで鍋足山に登れるが、今回は左の急斜面を登って尾根に上がった。後は雑木の中の登山道を登り、鍋足林道からの道を合わせて鍋足山T峰の山頂についた。
(ハッチメ滝は流れなし)
(急登あり)

この山頂が鍋足山の本峰で、小さな祠がありその後ろの松の木に「鍋足山529m」の山名板が取り付けてある。空も晴れ渡ってきて、目の前のU峰、V峰の向こうに高崎山と白木山に挟まれたアンテナの立つ奥久慈男体山が見えており、去年年末の水戸アルパインの男体山縦走が思い出された。反対側には風車のある里見牧場の南に同期会で登る予定の竪破山も見えていた。
静かな山頂を独占して、展望を楽しみながらゆっくりと弁当を広げた。
(鍋足山T峰)
(U峰、V峰)

下山はU峰の方に向かい、U峰の手前からキレットを下った。V峰手前のキレットは何回か上り下りした事があるが、ここを下るのは初めてだ。下山さんは「こっちの方が足がかり、手がかりが多くて下りやすい」とおっしゃるが、斜度が60度から垂直近くありそうに見え、岩壁のすぐ脇を下るので迫力がある。下山さんの後について、立木に掴まり、岩壁にも手掛かりを求めながら50mのキレットを必死の思いで下った。
(U峰手前のキレットを下る:厳しかった)

キレットを下って、同じだけ登り返してからは痩せ尾根の縦走路を歩いて行った。小さなピークが何度も現れて、何度も今度が三角点峰だと勘違いし、その度に裏切られてがっかりしながら歩いて行った。三角点峰への登りは50m近くの岩っぽい急登があるのを忘れていた。登りきった山頂には三角点があり、赤い見出し表には5517番の数値が書いてあった。通常は見出し表の番号は3桁になっているが、ここだけ標高に合わせて4桁になっているのだという。鍋足山博士の下山さんならではの情報だ。
歩いてきた鍋足3峰を振り返ったり、周りの展望を楽しんだあと、T峰で撮り忘れていた集合写真を撮ってから下山にかかった。
(鍋足三角点峰)
(T峰、U峰、V峰を振り返る)

三角点峰から小さなコブを越え次のコブの手前で右斜面の踏跡に入った。植林の中を下り、ここからは大矢さんの先導で、紛らわしい尾根分岐では下山さんの確認を取りながら、薄い踏跡を辿って下っていった。
地形図の崖の上に出ると、下に大きな岩が見えていた。ここで右に曲がって岩場にできた足場を踏んで崖の間に出て、落ち葉ふかふかの急斜面を崖下まで下っていった。
(植林の中を下る)
(大ブナ)

崖を下り、大きな岩の横を抜けてその下まで来ると、岩の間から胴体を出し、7本の幹に分岐した珍しい形のブナの大木があった。根元の胴周りは鍋足山山中で最大のブナの木らしい。
そのすぐ前には根本のすぐ上で2本に別れ、その5m上で手をつないだ形になっている木もあった。「結婚後すぐに離婚し、数年後によりを戻したがまたすぐに離婚したな」の論評あり。これらの木には、岩場で生き延びるうちに多くの苦難の道があったのだろう。
(七本足の大ブナ)
(離婚、再婚また離婚)

ここからは急坂だがはっきりとした登山道になり、6年前に案内してもらった「北ノ入り滝分岐」を左に分けてからは道は緩やかになり、前回の「中の滝分岐」を右に分けてすぐに林道に戻ってきた。

註)PC内に移しておいた今回の写真一式を、写真整理の途中でマウスを迷走させて削除してしまった。不要と思ってゴミ箱に入れてしまった写真だけは回復できたが、自慢の写真はなくなってしまった。集合写真はメール送信してあったので控えから復活できたが、キレットの下りには迫力がなく、離婚再婚ブナは手をつないでいる様子が分かってもらえそうにない。T峰山頂の写真は2年前の写真を流用した。


inserted by FC2 system