W523.大崩山
(九州山巡り(3日目))

1.動 機
大崩山(おおくえやま)は200名山の一つで、写真を見ると丸く突き出た岩山が綺麗な山だ。岩だらけの山では単独では行けないだろうと思っていたのだが、幸いにも今回の霧島、祖母山の百名山登山に付け加えられ、面白い山歩きを楽しむことができた。岩山歩きは西上州の山でずいぶんと鍛えられたが、この山は高低差が900mもあって、西上州の山3つぐらいを一度に登ったほどの充実感を感じた山行であった。

2.データ
a)山域:大崩山(1643m、登頂せず)
b)登山日:2009/5/8(金)晴
c)コースタイム:
延岡ホテル 5:30 6:40 上祝子登山口 6:50 ---- 7:30 大崩山荘 7:35 ---- 7:55 河原 8:00 ---- 9:15 大岩 ---- 9:30 袖ダキ展望台 9:50 ---- 10:20 巻道分岐 ---- 10:30 下湧塚 10:45 ---- 10:55 中湧塚 11:05 ---- 11:55 大崩山分岐 ---- 12:05 リンドウの丘(昼食) 12:20 ---- 13:10 象岩トラバース ---- 14:00 坊主岩 ---- 14:40 林道分岐 ---- 15:10 河原 ---- 15:20 大崩山荘 15:25 ---- 15:55 上祝子登山口 16:00 = 18:50 高千穂町ホテル(泊)
(大崩山登山コース)
(大崩山登山コース高低差)

d)同行者:水戸アルパイン会員17名(男9、女8)、和子
e)地形図:1/25000 「祝子川」

3.山行記録
今日の行程は長いので、ホテルからはサンドイッチの弁当を貰っての早立ちだった。登山口の上祝子(かみほうり)までは祝子川沿いのくねくねとした細い道を走っていく。自家用車でも御免こうむりたいような道だが、運転手さんは巧みなハンドルさばきで走ってくれた。
登山口の路側には縦列駐車の車が列を作っていた。車中泊したか、上の山小屋で夜を明かして大崩山に登った人たちだろう。バスの方向転換をどうするのか心配はあったが、みんなバスを降りて歩き始めた。
初めは少し急坂だったがすぐに緩やかな道になった。初めはラクチンコースだと思ったら、すぐに裏切られた。岩の上を渡ったりトラバースしたり、梯子やロープのあるところは安心だが、滑って落ちたら御仕舞いみたいなところは本当に気持ちが悪かった。リーダ以下が歩いた後だから大丈夫だと言い聞かせて思い切って踏み込んでみると、岩は花崗岩で滑りにくい材質のようだった。
(上祝子登山口)
(山荘までにも難所あり)


とことどころ、左手に岩山が見えてきてわくわくさせる。ミツバツツジの大木がピンクの花を咲かせたとことでは、小袖ダキの岩峰をバックにシャッタを押してみたが、花と岩峰の明暗差が大きくて、私の腕前では写真にならなかった。
早立ちだったので、途中、大崩山荘のトイレを使っている間に皆さんから遅れてしまい、徒渉点の河原で追いついた時に、「みんな心配していたよ」と和子から叱責をこうむった。

河原からは目の前に色々な形の岩峰がにょきにょきと頭を出しており、大崩岩峰の絶好の展望地だった。大きな岩がごろごろ転がっており、あちこちの岩に移動しながらシャッタを押し捲った。
(河原徒渉点は大崩岩峰の好展望地)

河原にはワイヤの手すりが付いた金属製の橋が架かっており、ここを渡って対岸にでた。ここからは小積谷の渓谷を進んだが渓谷は深い木々に囲まれ、ちょっとした原生林だった。進むうちに谷の勾配は急になって、大石を縫いながらの急登になった。
途中、なんどもアルミ製の梯子やロープが張ってあった。
(枯れ沢登り)
(梯子やロープの連続)

袖ダキ展望台と大崩山山頂(巻道)があったが、袖ダキに行かなければ大崩に来た甲斐がないよと左にルートを取った。5分ほどで展望台にあがった。目の前に写真の通りの湧塚の岩峰が屹立していた!もちろん、写真を見るよりも迫力があって感激だ。集合写真を撮ったり年賀状写真を撮ったり、思い思いにシャッタを押すのに忙しい。
(袖ダキ展望台から下湧塚)

谷向かいにも小袖ダキの大岩壁がせまっていた。谷底まで届く大岩壁で凄い迫力だが、大きすぎて写真にはおさまらない。
展望台を後にして岩上を進み、林を進んで行くと巻道に戻り、また急登の連続になった。このあたりからアケボノツツジのピンクの花が多くなって気持ちを和らげてくれた。アケボノツツジははじめて見たのだが、アカヤシオ大きくしたような花で、もっとほんわかとした感じの花だった。
(小袖ダキ)
(アケボノツツジ)

なんどもロープ場や梯子をこなすと、下湧塚と巻道との分岐になったが、3つの長いはしごを登って下湧塚の岩上にでた。岩の上を這うように進むとゆっくり休める広い岩の上に出た。
またまた素晴らしい展望である。お八つを食べながらゆっくりと休んだ。
(三段梯子)
(下湧塚)

下湧塚から中湧塚までは、岩の上を進んだ。たどり着いた中湧塚の岩の上にはアルミの梯子がかかっていたが、取り付けが不安定になっていて上がるのを止めにした。
(中湧塚へ)
(中湧塚)

中湧塚の岩の下から覗きこんで鋭い形の上湧塚の岩峰を眺めた。
(中湧塚から上湧塚(左))

中湧塚からロープや梯子の助けを借りながら危なっかしい岩場を下って巻道に合流した。次の分岐は上湧塚をパスして大崩山へのルートへと進んだ。
次には大崩山とリンドウの丘との分岐が現れた。ゆっくり展望を楽しみながら歩いたのでいい時間になったし、大崩山の山頂は展望もないとのことで、山頂はパスしてリンドウの丘へ向かった。途中、アケボノツツジ越しに湧塚の岩峰群が見えていて、振り返りながら歩いた。
(中湧塚からの下り)
(リンドウの丘へ)

リンドウの丘は広い岩上のテラスになっていて、絶好の休憩場所だった。上湧塚から下湧塚、小袖ダキの展望が遮るものなく素晴らしかった。ただ、先端部分が薄い岩になっていて、「何時崩壊してもおかしくないよ」とリーダの注意が飛んで、記念写真も先に出たい気持ちを抑えてシャッタを押し合った。
(湧塚岩峰群とリンドウの丘(右))

リンドウの丘から小積ダキまでは緩やかな下りが続いたが、 小積ダキ分岐からロープ場を下ると象岩直下のトラバースになった。眼下の断崖絶壁を見下ろすと思わず緊張してくる。最初から身体に取り付けていたカラビナを岩に固定されたワイヤーロープに引っ掛けながら慎重に通過した。
(一枚岩の下り)
(象岩を巻く)

ここから先は、はしご、ロープが連続で続き、高度をどんどん下げていった。途中の丸い岩(見返りの塔?)の袂で一休み。岩の上にロープが伸びていたので上がってみた。小積ダキや下湧塚、袖ダキ、坊主岩など見渡せてなかなかの展望だった。
(岩頭からの展望:左小袖ダキ、右坊主岩)

更にはしごとロープが連続して、やっと落ち着いたところに林道分岐の道標があった。ここからも谷底はまだずいぶんと下に見える。樹林の中の急坂を下っていくと沢音が聞こえ始め、やっと祝子川の河原に出ることができた。歩き始めて8時間以上たっている。緊張の連続だった。
こっちの河原には橋はない。石を飛びながら渡っていき、河原を抜けるとすぐに大崩山荘前に到着した。
(梯子ロープの急坂下りの連続)
(やっと徒渉点)

山荘前で一休みしてから、往路を辿って登山口に戻った。バス運転手に連絡した16時の5分前!、凄い時間配分ではある。無事方向転換していたバスに乗り込み、一旦延岡まで出てから、今夜の宿泊地の高千穂町に向かった。





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