D47.城里町御前山ハイキングと観察会

1.動 機
 4月初めの森林インストラクター茨城主催の「筑波山の春を歩く」に参加して気に入り、解散式の時に配られた今回の御前山ハイキングの案内を持って町内のKoさんとMoさんを誘ったら、お二人も喜んで参加したいとの返事なので早速一緒に参加申し込みした。
 当日、道の駅かつらの駐車場には30名以上の人が集まっていて賑やかそう。インストラクタの人も7名おられ、たくさん見られた花や樹木の説明を聞きながら前回以上にゆっくりペースで歩いて、勉強しながらも賑やかなハイキングを楽しむことが出来た。
 数多くの花や樹木の写真をいつも以上にいっぱい撮ったが、植物の名前は頭ではちっとも覚えておらず、和子の取ったメモと付き合わせながらの整理が大変。植物の特定が出来た後も、今度はこのHPに載せる写真を絞り込むのに悩むことになり、必然的に山行記を纏め上げるのに時間がかかることになり、一週間後にやっとアップに漕ぎ着けた次第です。

2.データ
a)山域:御前山ハイキングコース東部分
b)登山日:2016/04/30(土)晴
c)コースタイム:森山 8:30 = 9:30道の駅かつらP 9:45 ---- 9:50東登山口 ---- 10:55案内板 ---- 11:20分岐 ---- 11:25鐘つき堂跡(昼食)12:05 ---- 12:10分岐 ---- 12:20青少年旅行村分岐 ---- 13:05西登山口13:10 ---- 13:25カタクリクリンソウ再生試験場 ---- 13:55皇都川消える ---- 14:00道の駅かつら(解散14:20)14:40 = 15:40森山

(「城里町御前山ハイキングと観察会」の歩経路)
d)同行者:参加者25名+役員7名(不確か)、和子

3.山行記録
 朝食後に我家の車に4人乗って時間にはゆとりを持って出発した積りだったが、常陸太田・常陸大宮と走って那珂川大橋を渡ってすぐの道の駅かつらの駐車場に到着したのは集合時間の9時30分丁度だった。出発前にトイレを済ませておいてくださいと言われて、道の駅のトイレを使ってから駐車場に戻るともう準備運動が始まっていた。30名以上の参加者が運動をしており、後で聞いたところでは、一般参加者は27名で森林インストラクター会員の役員が7名だったとのこと(数字怪しいかも)。役員さんが多いので、道中出会ったいろいろな植物について詳しい説明を受けながら歩くことが出来た。
 準備運動が終わって「御前山で見られる春の花」などの資料を貰ってハイキングの始まり。常緑樹が立ち並ぶ道の駅の裏庭を歩いて那珂川大橋の脇で国道を渡り、県道を少し歩いたところに御前山への東登山口があった。
(準備運動)
(道の駅かつらの裏庭を通って)
 東登山口の入口には色々な植物が生えていて、列の先頭の方で早速説明が始まり、後ろは渋滞気味。
(東登山口)
(早速植物の説明が始まる)
 道沿いにはニリンソウやハコべ、アキギリソウなどの花、両面シダやベニシダ、カンスゲなどの草花について一つ一つ説明が入る。
(ニリンソウ)
(両面シダ)
 すぐに登り坂にさしかかって少し山歩きらしくなると、アラカシ、サカキ、アカカシ、シラカシ、モミノキなど樹木の説明も始まった。
(登り坂)
(アラカシ)
 樹木に巻き付いているイタビカズラやマメズタなどの蔦類も出てきた。
(イタビカズラ)
(マメズタ)
 シロバナニシキゴロモやフモトスミレ、ホウチャクソウなどの花類も。
(シロバナニシキゴロモ)
(フモトスミレ)
 斜面が緩やかになってくるとギンリョウソウがあり、ツリバナを見て緩やかに登っていくと環境庁・茨城県観光物産課による御前山の案内板が立っていた。この山奥のように見える御前山が昔から中央にも名の通ったところだったことに驚かされる。
(ツリバナ)
(御前山の案内板)
 案内板の先からは、カシノキやヒノキなどの高い木が立ち並ぶ森の中を歩くなだらかな森林浴の道になり、いろいろな説明を聞きながら気分良く歩いていった。
 山菜採りで御馴染みである五つ葉のコシアブラの脇に、似たような形の三枚葉の植物があり、こっちはタカノツメの幼木とのことだった。
(森林浴の道)
(タカノツメとコシアブラ)
 緑色のマムシソウがあり、これは年数がたった雌で、若いころは紫色で雄、同じ株が成長とともに性転換するとのことだった。
 「ミヤマナルコユリがあったよ」と言いながら葉裏を見せながら説明してくれた。上から見ると判らないが、下から見ると茎の両側に花房が別れてぶら下がっている。良く見るナルコユリは花房を真下にぶら下がっているが、このミヤマナルコユリは茎から両側に振り分けられている。花がまだ小さいのでよく判らないが、成長するとさぞ綺麗になることだろう。
(マムシソウ雌)
(ミヤマナルコユリ)
 色々な説明を聞きながら森林浴気分で歩いていくと「関東ふれあいの道」と彫った石柱が立っていた。関東ふれあいの道はあちこちのハイキングで出会ったことがあり、ここの東登山口には「@青少年旅行村のある道A並木道の美しい道」を特徴としているとの説明板があった。
 その先でイイギリの木の説明があり、幹から放射状に出している枝についた葉がお日様を受けて透き通るように黄緑色に輝いてとても綺麗だった。
(関東ふれあい道標識)
(イイギリ)
 東登山口からポケナビの表示で2kmほどのところに道標があり「青少年旅行村」と「那珂川大橋」との間に「鐘つき堂跡」の道が分岐していた。
 分岐からもアサダやアオハダの木の説明を聞きながら100mほど歩いたところに鐘つき堂跡の標識がある小広場があり、四阿も立っていた。少し早いがここで昼食休憩になり、それぞれ適当に陣取って弁当を広げた。
(鐘つき堂跡分岐)
(鐘つき堂跡)
 鐘つき堂跡の広場からは南方の展望が開けていて、「目の前の尖った山が赤沢富士だよ」と参加者の一人が大きな声で案内してくれた。この赤沢富士には二度登ったことがあり、茨城の富士山には19座ぐらい登ったような記憶があったが、その脇の山並みの山名はその時はさっぱり思い浮かばなかった。あとで調べたら、左に白山、右に住谷山津室山、井殿山と登ったことのある山が並んでいることが分かった。
(鐘つき堂からの展望)
 賑やかな語らいの時間も過ぎて出発。分岐標のところまで引返して、青少年旅行村・西登山口の方向に向かい、森林浴をしながら歩いていくと山頂部辺りに大きな瘤を持った樹が立っていた。人間なら癌に相当しそうだが、よく生きながらえているものだ。
(次に向かいましょう)
(大きな瘤:山頂付近)
 下り気味になった道を少し歩くと西登山口への道が左に別れていた。この辺りは木の名前は覚えていないが、針葉樹の中で陽の光を受けた新緑の葉が広がって綺麗だった。
(西登山口へ)
(日を受けて新緑綺麗)
 分岐に入ってしばらくは急坂で階段道になっていた。道がなだらかになると、カラス山椒、テイカカズラ、タチガシワ、アオキ、イヌショウマ、梅花ツツジ、億両、コゴメウツギ、イヌシダ、チゴユりリなどの草木の説明が続いた。
(下り道)
(タチガシワ)
 アオキの花を説明されて初めて見た気がした。アオキの木は赤い実が綺麗で良く知っており、震災前には我が家の庭にもあったが、その気になって花を見たことはなかった。花はなんでも綺麗なものと思い込んでいたが、こんな目立たない花もあるのだ。
(アオキの花)
(イヌショウマ)
 ツクバネキンモンソウを紹介されたが、登り道でも同じ花を見せられたと思ってその時撮影したシロバナニシキゴロモと見比べてみたが区別がつかない。帰宅後PCモニタの上で写真を並べてみるとちょっと違うような気はする。植物の分類は細かな違いで別種扱いになっていて私にはとても付いていけない。
(ツクバキンモンソウ)
(チゴユリ)
 分岐から45分で皇都川沿いの西登山口に降り立った。色々な案内板が立っているが、足元にはニリンソウの群落があって綺麗で、タニギキョウ、谷ウツギ、ヒカゲスミレなどの説明が入り、道案内の話は一切ない。
(皇都川沿いの西登山口))
(ニリンソウが賑やか)
 西登山口からは道の駅まで車道歩きでペースが速くなるなと思っていたが、「ここから色々な植物が豊富になり、観察が忙しくなりますよ」とあるインストラクタが耳打ちしてくれた。
 少し歩くと、コンロンソウの白い花の群落が見られ、この花は御前山のシンボルになっているとのこと。
(御前山のシンボル、コンロンソウの群落)
(コンロンソウ拡大)
 皇都川の岸辺にも沢山咲いていて、水面と合わせると一層ひきたつ花だった
(皇都川岸辺にもコンロンソウ群落)

 道沿いの樹林からはガマヅミのような木が張り出していたが、少し葉が小さいのでコバノガマズミという名前が付いているとのこと。そう言えば少し違うような−−−。
(舗装道でも説明が続く)
(コバノガマズミ)
 東登山口にも咲いていたハコべの花のところにしゃがみこんだインストラクタ、「変わったハコべがあるよ。」「普通のハコべは花弁全体が付け根まで別れているが、この花はサクラの花のように先だけ切れていているでしょう」と言って見せてくれた。名前をメモし忘れたが、サクラハコべとも呼んでおきましょう。よく見付け出しますねえ!
(ハコべ)
(サクラハコベ)
 その先に「カタクリ・イチリンソウ群落の再生試験」の説明板が立っていて、分かれ道に入ると再生試験場は皇都川を渡った向こう岸にあるようだった。
 皇都川の流れ上に伸びた長い枝から、緑色のサルオガセが垂れ下がっていた。山中の登山道脇で見たときは綺麗な植物だとは思わなかったが、ここで見るとなかなか綺麗に見えた。
(再生試験場)
(サルオガセ)
 ウワバミソウやラショウモンカズラ、ヒメウツギ、ヤブデマリ、ヤマウコギ、セントウソウなど多くの花たちが現れてシャッタ押しも忙しい。
(ウワバミソウ)
(ラショウモンカズラ)
 川辺にヒメウツギの白い花が咲いていて、和子に「可愛いね」と言うと「我家の庭にも咲いているわよ」とのこと。私は見たことがないと思ったが、帰宅後庭に出て「あの庭石の後に咲いているの」と教えられて岩の後を覗くと、同じ白い花をいっぱいに咲かせている小さな木があり、葉の形も同じだった。知り合いからもらった枝を挿し穂して育てたとのこと。
(ヒメウツギ)
(我家のヒメウツギ)
 その先で皇都川の流れが急に途絶えてしまう不思議な光景があった。上流で見た流れの水は全部川底に滲み込んでいるのだろうが、凄い水量を吸い込んで良く陥没など起きない物だ。下流側は川の形態を残したままになっているので、時々大雨になるときには下流にも水が流れていくことがあるのだろう。道路から見下ろしてみると、河原には子供連れの若夫婦がいて「その先で藤倉の滝を見てから道の駅に向かっていたら流れが消えているのが見えて、不思議なので下りて見ているんです。」とのこと。子育て上手なご夫婦とみた。
 ここから道が二手に別れていて、左手の杉林の中の道を歩いていった。マムシグサやヘビイチゴなど見ながら歩くと部落に出て、カラスノエンドウやホトケノザやオオイヌノフグリ、ペンペングサ、ハルジオンなど里の花が見られる様になった。 
(光都川の流れはここで消える)
(ハルジオン)
 歩き始めて4時間ちょいで道の駅に戻り、トイレを使って駐車場に戻るとまだ着いている人は少ない様に見え、植物観察に熱心な参加者が多いようだった。4人で河畔公園に下りてベンチに座っておしゃべりしたりしている間に解散式が始まっていた。慌てて駐車場に戻って無事会長さんのお言葉には間に合い、皆さんと解散の挨拶を交わすことが出来た。
(那珂川河畔で)
(解散式)
 解散後、道の駅でお土産を買って帰途に付き、15時40分に森山に到着した。楽しく歩き、たくさん勉強もした嬉しい一日でした。
 

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