Z94.谷川岳(MAC山行)

1.動 機
 水戸アルパインクラブの9月例会として「谷川岳から万太郎山、仙の倉山、平標山、三国峠まで歩く」2泊3日の縦走計画が募集された。評判が良くて久しぶりに20人の参加者があったが、生憎台風17号が来襲してきて谷川岳から引き返すことになって1泊2日の往復登山になってしまった。それでも、谷川岳山頂付近の紅葉は見頃で、山小屋では久しぶりの賑やかな酒宴を楽しむことができた。
 
2.データ
a)山域:谷川岳トマノ耳(1963m)、谷川岳オキノ耳(1977m)
b)登山日:2012/9/29(土)〜30(日)
c)日程:
9/29 アクセス:日立電鉄南営業所 = 水戸IC = 水上IC 谷川岳ロープウエー麓駅
9/29:谷川岳ロープウエー麓駅 =(ロープウエ−)= 天神平 =(リフト)= 天神峠---- 肩の小屋----トマノ耳----オキの耳----肩の小屋(泊)
9/30:肩の小屋 ---- 天神平 =(ロープウエ−)= 谷川岳ロープウエー麓駅 =
9/30 帰途バス: 谷川岳ロープウエー麓駅 = 猿ヶ京温泉(入浴・昼食) = たくみの里 = 月夜野IC = 水戸IC = 日立電鉄南営業所
(谷川岳ルート)
黒線:実歩行ルート黄緑線:計画ルート

(谷川岳実歩行ルートの標高差)

d)同行者:水戸アルパイン会員19名(男13、女6)、和子は不参加
e)地形図:1/25000 「水上」

3.山行記録
(9/29):晴:谷川岳ロープウエーまでアクセス
森山自宅 4:00 = 4:10 日立電鉄南営業所 4:15 = 4:45 勝田 = 5:05 水戸駅 = 5:30 水戸IC = 5:45 笠間PA 5:55 = 7:15 波志江PA 7:35 = 8:15 水上IC = 8:35 谷川岳ロープウエー麓駅

 朝も明けきらぬうちに我家を出発、日立電鉄南営業所まで今回不参加の和子に送って貰ってバスに一番乗りして水戸に向かう。今回の参加者は総勢20名、水戸ICから高速に乗って賑やかに北関東道に入る。笠間PAでトイレ休憩後、波志江PAで朝食や昼食の食材を買い込んで朝食をとりながら、富士山、日光連山、赤城山、榛名山など眺めながら走って行く。マイカーを運転していては味わえない楽しみである。関越道に入ると、去年の忘年山行で登った水沢山や今年の忘年山行の十二ヶ岳も見えてきて、担当の会長さんの宣伝が続く。子持山が大きく見えてきて、ここにも近いうち登りたいなとの声も聞こえてくる。水上ICで高速を降り、山靴を履いたり身繕いを整えている間にバスはR291を走って8時35分に谷川岳ロープウエー乗り場に到着した。紅葉の時期には少し早いようで駐車場はまだ空いていた。

1日目(9/29):晴:谷川岳登頂
谷川岳ロープウエー麓駅 8:55 =(ロープウエ−)= 9:10 天神平 9:15 =(リフト)= 9:20 天神峠 9:45 ---- 10:10 分岐 ---- 10:45 熊穴沢避難小屋 10:55 ---- 11:35 天狗の溜まり場 11:40 ---- 12:50 肩の小屋 13:05 ---- 13:10 トマノ耳 13:20 ---- 13:35 オキの耳 13:50 ---- 14:10 肩の小屋(泊)

 幹事が切符を買っている間に、2,3台の団体バスが相次いで入ってきてロープウエー乗り場は混雑してきた。若い山ガールや派手な衣装の山ボーイが多い。他の山では見られない程の若者の多さは、東京に近い有名な山で、ロープウエーで楽に日帰り登山ができることに惹かれて気軽にやってくる若者が多いのだろうか。登山人口が若者に広がるのは嬉しい気がする。
 2本のワイヤーに支えられている自動循環式ゴンドラは揺れが少なく室内も広くて座席に座ってゆっくりと外を眺めながら運ばれてゆく。もう1〜2週間もしたら一面紅葉になって素晴らしい眺めになるとの事だが、反面大変な混雑になることに覚悟が必要らしい。下の沢にはわずかな流れがあり、綺麗な滝も見えていた。
 15分程で天神平に到着すると、今日は天気が良くて展望が利きそうなので天神峠まで登ってみることになり、リフトに乗った。ペアリフトに一人づつ乗せてくれたので、ザックの処理も楽で、周りの景色を楽しむゆとりがあった。少し紅葉が始まりかけたところ、山頂では綺麗に紅葉しているかもと期待させた。
(天神平までロープウエー)
(天神峠へリフト)

 天神峠でリフトを降りると、少し登ったところの展望台に案内された。観光客や登山者で賑やかな展望台からは、2週間前に登った朝日岳、笠ヶ岳、白毛門が目の前に見え、その右奥に至仏山や笠ヶ岳、武尊山まで見えていた。
(天神峠展望台から)

 リフト降場まで下って準備運動をしてから、いよいよ谷川岳へ向かって歩き始める。先ずは天神平からの巻道まで一旦下る。始めは緩やかだったが、途中から雨水に掘られて荒れた坂道を50mほど下るようになった。分岐点の道標には「天神平0.6km、谷川岳山頂3.3km」の道標が立っていた。
(天神峠で準備運動)
(一旦下る)

 巻道に合流してからは木道や板の階段で整備された歩きやすい道をなだらかに登って行く。合流点から35分ほどで赤い板壁の熊穴沢避難小屋に到着した。ここから谷川温泉に下る「いわお新道」が分岐していて、「二俣へ2.2km」の道標が立っていた。小屋の内外に2グループが休憩中だったが、みんな若い人たちだ。
(なだらかに登る)
(熊穴沢避難小屋)

 避難小屋で一休みしてからは急な坂道が続いた。急な岩場もある登りが続き、汗を絞られた。谷川岳には2001年8月に山水会のファミリー登山に参加して案内して貰って、今日と同じようにロープウエーで天神平まで上がってから谷川岳に登ったのだが、その時にはこんなに急坂が続いたという記憶はまるでない。11年前にはこれ位の坂は平気の平左でそれだけ元気だったと言うことだろう。楽チン登山と決め込んでいたので、どこまで登っても楽にならない登山道に、11年間の体力減退を嘆きながら皆さんの後を追って登って行った。
(岩場の連続)
(意外と長かった登山道)

 避難小屋から40分頑張ると大岩が重なったところに着いた。「天狗の溜まり場」の立札があって一休みしたいところだが、皆さん岩の上に登って「眺めがいいよ」と言っているので、私も皆さんが下りてから登ってみた。
 眼下に天神平のロープウエー駅や天神峠のリフト駅が見え、その先には水上の街並みも見えていた。天神峠からここまで登ってきた登山道がくっきりと見えていて、2時間ほどでよく歩いたもんだなあと感じ入った。
(天狗の溜まり場)
(天神峠を振り返る)

 「天狗の溜まり場」を過ぎると斜度は少し緩やかになったとはいえ、まだまだ登りが続いた。右手には雲に隠れ気味だが、明日歩く予定の万太郎山、仙の倉山、平標山への稜線が見えており、オジカ沢の頭?の尖った山容が気になった。
(オキの耳から万太郎山、仙の倉山、平標山への稜線)
 チシマザサの中を登り、やがて肩の小屋に近付いてくると丸太で土止めした階段道になってきた。このあたりから下って来る登山者に頻繁に出会うようになって、相変わらず若いカップルや若者のグループが多い。元気を貰いながら登って行った。
(まだまだ登る)
(肩の小屋近し)

 午後1時前に肩の小屋に登り着くと、小屋前の広場は休憩中の登山者でごった返していた。 玄関前の鐘を鳴らして小屋の中に入ると、食堂で昼食を食べている人が大勢いた。小屋番ご夫婦は対応で大忙し、宿泊の受付は後にして、ザックを置かせて貰って空身で谷川岳に向かった。
 ここまで高度が上がってくると紅葉も進んでいて、目を楽しませてくれる。下山して来る人と挨拶を交わすのが更に忙しくなり、中には小学生位の子供連れの若いご夫婦にも何組か出会った。
(肩の小屋前は満員)
(トマの耳へ)

 10分程でトマの耳の山頂(1963m)に登り着いて、早速集合写真。大勢の登山者と順番待ちなので各自の記念写真の撮り合いが忙しい。
 向かいには右が切れ落ちたオキの耳があり、その向こうに一の倉岳、茂倉岳の気持よさそうな稜線が見えていた。2週間前の朝日岳登頂の時にこの稜線歩きをしていたら、下の新道を歩くよりもよっぽど気持が良かっただろうと思われたが、今日の体調ではここまで歩いてきただけで結構疲れていて、これから蓬峠まで歩くのは結構きついような気もした。
(トマの耳山頂)
(トマの耳山頂から一の倉岳、茂倉岳)

 トマの耳山頂から下ってオキの耳との鞍部まで来て振り返ると、トマの耳が尖った山容を紅葉で飾ってとても綺麗で印象的だった。
 右手(西側)にはオジカ沢への山の斜面がチシマザサの緑一色絨毯のようで、これも紅葉と対比してとても綺麗だった。
(トマノ耳を振り返る)
(チシマササの山肌)
 前方のオキの耳側を見ると、左の西斜面は紅葉真っ盛り、右の急斜面にはゴツゴツした岩稜がガスで見え隠れしていて好対照をみせていた。
(オキの耳の左斜面)
(オキの耳の右斜面)

 オキの耳に登ると、1977mの山頂には谷川岳山頂の標柱が立っている。三角点はトマの耳にあるが、標高はオキの耳の方が14m高い。
 時刻は午後2時に近い、日帰りの登山者はそろそろ引き返さないと5時の最終ロープウエーに間に合わないので大分空いて来た。集合写真と各自の記念写真を撮り合う。
(オキの耳へ)
(オキの耳山頂)

 だんだんとガスが出てきて展望が利かなくなってきたので小屋へ帰ることにする。帰りはトマノ耳を巻いて下ったが、小屋へ帰る途中に西黒尾根との分岐点がある。道標は立っているのだが、直進方向が西黒尾根なので間違えやすく、うっかり間違えて西黒尾根に降りてしまうと大変なことになるとの注意があった。小屋に入ったのは2時過ぎ、5時からの夕食までたっぷり時間があった。水戸アルパイン20名に2階の二部屋を自由に使えとのこと。
 台風17号が接近していて明日の天気が心配。天気予報でも明日は曇り?雨?台風通過時間もはっきりしない。次の平標山の家に「もしかしたら宿泊取り消しかも」との予告だけして、明日の行動の最終決定は明朝にしようということになった。
 一階に談話室があるが、自炊の人が使っていたので、二階に戻って酒盛りしながら山談議に花を咲かせた。いい気持ちになってから夕食を頂いて早々に眠りについた。
(酒宴)
(夕食)

 
2日目(9/30):晴後曇:台風予報で下山
肩の屋 6:30 ---- 7:25 休み 7:30 ---- 7:35 天狗の溜まり場 ---- 8:10 休み 8:15 ---- ---- 8:20 熊穴沢避難小屋 ----8:50 分岐 ----9:15 天神平 9:20 =(ロープウエ−)= 9:35 谷川岳ロープウエー麓駅

 朝、外はガスで10m先が良く見えない。5時からの朝食が終わってから役員さんが打ち合わせて、「縦走は止めにして、ここから土合に下山して今日のうちに茨城に帰る」ことに決定した。肩の小屋から平標山の家迄長い縦走をする自信が揺らいでいた私は心底ホッとした。
 全員雨具を付けて、小屋前で準備運動をして6時半に下山開始した。先頭が良く見えないほどの濃いガスの中を下る。ガスで濡れた岩場は滑りやすくて緊張しながら下って行った。緊張すると下りでも暑くなる。雨も降って来ないので、途中の休憩時間に雨具の上着は脱いでしまった。
(ガスの中で準備運動)
(往路を下る)

 天神峠への分岐のところでは直進して巻道に入り、直接天神平に向かった。こんなお天気なのに、登って来る登山者が結構いるのに驚いた。「山頂まで登っても何も見えないだろうに御苦労さま」と言いたいのをこらえる。
 今日は日曜日、天神平には観光客も大勢いて記念写真など撮っている。ロープウエーに乗って下界に下って行くとだんだんと周りが明るくなってきて、麓駅ではお日様も顔を出しそうな空模様だった。この空模様を見たら誰だって「折角ここまで来たのだから山頂まで登ろうよ」ということになりそうだ。
(天神峠を巻いて天神平へ)
(天神平ロープウエー)


9/30 帰途バス: 谷川岳ロープウエー麓駅 10:00 = 10:40 猿ヶ京温泉(入浴・昼食) 12:30 = 12:50 たくみの里 13:55 = 14:25 月夜野IC = 16:30 笠間PA 16:35 = 16:50 水戸IC = 17:10 水戸駅 = 17:30 勝田 = 18:05 日立電鉄南営業所

 携帯電話で予定変更を連絡してあったのでバスは駐車場で待っていた。「時間もあるから一の倉沢展望地まで歩きたい」というお元気なご希望もあったが却下、明日三国峠から下ってから入る予定だった猿ヶ京温泉の「まんてんの星の湯」へ向かった。赤谷ダム湖湖畔に建つこの日帰り温泉は内湯、露天風呂共に浴槽が多くていい温泉だった。露天風呂からの赤谷ダム湖の眺めはなかなか良かった。
 「まんてんの星の湯」でビール付きの昼食をいただいてから、「たくみの里」の観光に立ち寄った。木工や竹細工、そば打ちなどができる24戸のたくみの家が点在している集落だが、じっくり実習でもしないと余り面白くない。野仏2番から9番まで歩けば2kmほど、与えられた1時間に丁度好さそうだが、今日はそんな元気がない。ソフトクリームをなめながら街道を少し歩き、資料館や物産店を覗いてバスに戻った。
 そのまま月夜野ICから高速に乗り、水戸ICに明るいうちに到着、6時過ぎに日立電鉄南営業所について、和子のお迎えを受けた。「今日は台風対策で大変だったのよ」と、何もしないで飛び出して、一日早く帰っても何の役にもたたない私に相当ご不満のようだった。その夜、外では嵐がごうごうと唸っていました。
(まんてんの星の湯)
(たくみの里)



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