X834.槍・穂高縦走4日目


(4日目:旭岳温泉−旭岳−白雲岳避難小屋)
今日は北穂高岳から涸沢岳に登って穂高山荘まで2km、短いが変化のあるコースだ。

北穂高小屋 6:30 ---- 6:35 北穂高岳 6:50 ---- 7:05 涸沢分岐 ---- 7:45 奥壁バンド ---- 8:05 地獄谷 ---- 9:15 涸沢のコル---- 9:20 カメ岩 ---- 10:45 涸沢岳 11:15 ---- 11:40 穂高山荘(泊)

今日もお天気が良くて、日の出が拝めた。今日は半日コースなので、朝食は2回目、朝食前に前庭に出て、常念岳の向こう浅間山の肩に上がる日の出の写真を撮ることができた。
やがて槍ヶ岳からここまでの大キレットの稜線が朝日を受けてくっきりと浮きあがってきて、昨日歩いてきた感激を新たにしながらしばらく見下ろしていた。
(今日も綺麗な日の出です)

朝食を頂いて、ゆっくりと身支度をして北穂高(北峰)山頂に登った。この時間になると空は晴れ渡ってきて、素晴らしい展望が広がっていた。先ずは準備運動をしてから、集合写真や記念写真の撮り合いをしたり周りを展望したりゆっくりと楽しんだ。
向かいを見ると、すぐ前に北穂高の南峰と涸沢岳の岩壁が見えており、その向こうに、明日歩く奥穂岳、吊尾根、前穂高岳の山並みが見えていた。明日もなかなか厳しそうだが、南峰と涸沢岳のあの岩壁をどうやって登っていくのかが差し迫った問題だ。
(北穂高岳山頂で準備運動)
(南峰、涸沢岳をバックに)

大キレットの写真もここからの方が、小屋まで全体像をきれいに撮れるので撮り直しをした。
(昨日歩いた槍ヶ岳からの大キレットルート)

北穂高岳北峰からの下りは早速凄い急斜面で始まり、それもガラガラの石の重なりで出来ていて、石は大きくて尖っているものが多い。間違えて落石を起こすと下の人はヘルメットを被っていてもただでは済みそうにない。慎重に慎重に下って行った。
下り切ると南峰を巻いて歩くルートが出来ていて、途中、涸沢に下る分岐があった。ザレた道で足を滑らさないよう気を遣わなければならなかった。
(今日も難所が始まった)
(南峰を巻いていく)

南峰の南側に登り返すと、ドームの岩峰が見えるようになり、涸沢岳から奥穂岳、前穂岳のルートがはっきりと見えるようになった。北峰から見たよりももっと厳しい険しさをもって迫ってきた。大キレットと同じように気を引き締めて歩かなければならなくなった。
大キレットよりも危険かもしれないと言うジャンダルムの峰々も奥穂岳と涸沢岳の間に見えていた。
(前穂高岳、吊尾根、奥穂高岳、涸沢岳、ドーム)

南峰から崖を下ってドームの北基部に下り、登り返してドームの左に上がる。ドームに登る踏跡もあったが、そのまま岩棚を登って巻いて歩き、また鎖で飛騨側に下ると絶壁の上の狭い足がかりを頼りのトラバースになった。
ここから稜線に登ってまた鎖で下る。少しも気を抜かせてくれない大キレット以上に疲れるルートだ。緊張で喉がすぐにからからになり、ペットボトルに口が行く。1Lの水を持ったが、半日のルートなのに足りるかどうか心配になってきた。
(奥壁バンド付近)

最低コルの表示板がある涸沢のコルで一息入れて進むと、涸沢槍の稜線上にカメ岩という岩の重なりで出来た小さなコブがあった。これを乗り越えて鞍部に下りると涸沢槍への登りが始まる。
涸沢槍の頂上には登らないが、長い鎖や梯子が続いて渋滞気味になった。
(カメ岩)
(涸沢槍の長い鎖)

涸沢槍を過ぎて涸沢側に出ると、長いトラバースが待っていた。一枚岩で滑りそうな怖いところもあり、鎖が付いているところでは、御岩山で実習した要領でカナビラをかませながら渡って行った。今まで、いつもどこかで何かドジをやる私だが、今回だけは一度も足を滑らせることもなく、ハッとする思いをすることもなく歩き通せた。ヘルメットやハーネスは万一に備えての安全装備だが、危険なところを歩いているのだと自覚させる効果が大きかったのではないかと思う。
(鎖のあるトラバース)
(一枚岩のトラバース)

トラバースが終わったら、いよいよ涸沢岳に向かっての急登になる。大きな岩を登るところでは、鎖を掴んで腕力で登るしかない所もある。女性には少々きつそうに思われるが、水戸アルパインの女性陣には問題なかったようで渋滞は起こらなかった。
(涸沢岳北壁)

稜線に上がると石を積み上げたような涸沢岳の山頂が見えていた。元気を出して山頂まで登り切った。
今日のルートもきつかったが、これで今回の難所は殆んどこなしたことになるのだろう。バンザーイ!! みんな安心して座り込み、喜びを語り合った。一人の落伍者もなく、一つの事故も起こさないでここまでみんなを引っ張り上げてきたリーダの喜び、安心のまた一方ならぬものがあるだろう。感謝。感謝。
(涸沢岳到着)
(涸沢岳に着いて一安心)

穂高山荘までガラガラの急斜面をジグザグに下って行った。山荘に着いてみんなで喜びのハイタッチをし合ったのは11時40分、北穂高小屋を出てから5時間ほど、時間以上に疲れもしたが充実した山行だった。生ビールが無かったのが残念、缶ビールでの乾杯になったが、山荘で頂いたカレーライスは美味しかった。和子はラーメンも美味しかったと言う。
山荘に着いてから時間はいっぱいあったが、もう歩きまわる元気はないし、景色は歩行中に十分に楽しんだので外に出る気はしない。談話室でセルフサービスのコーヒを飲みながら、昨日今日の難コースの話に花を咲かせた。
部屋に戻ってからはロープの結び方の講習会が始まった。実演される手品みたいな色々な結び方に、みんな興味津々、大いに賑わった。自分でも何度も練習する熱心な人も多かった。
横になっていた女性のTmさんが頭が少し痛いと言いだした。高山病の症状のようで、高山病では先輩格の和子が、「寝てはだめよ」と起こして酸素水など飲ませて介抱していた。
17時からの一回目の夕食を頂いてからは、やることもなくなって早々に布団にもぐりこんで眠り呆けた。
(穂高山荘へ下る)
(穂高山荘前にて)





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